2022年9月19日は敬老の日です。「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日」と定められるこの日は、親や祖父母を想うことが大切です。
そうは言っても、今の高齢者は元気な方が多いですよね。内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」によれば、健康寿命は男性で72.68歳、女性で75.38歳とされています。
こう考えると、60歳代はまだまだこれからという年代と言えるのかもしれません。
人生100年代と言われる今日、今の60歳代は老後にむけて、いくら貯蓄を保有しているのでしょうか。
「老後2000問題」と向き合う世代のリアルな貯蓄事情を紐解いていきます。年金の支給額についてもチェックしてみましょう。
60歳代「貯蓄2000万円」クリアはたった3割
さっそく、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」より、60歳代の貯蓄の平均値・中央値を見ていきます。
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出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年調査結果)」
60歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 平均:2427万円
- 中央値:810万円
「平均」は一部の富裕層に引っ張られる傾向があるため、中央値がより実態に近いと言えます。
60歳代の貯蓄分布
- 金融資産非保有:19.0%
- 100万円未満:6.4%
- 100~200万円未満:4.8%
- 200~300万円未満:3.4%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.6%
- 500~700万円未満:5.9%
- 700~1000万円未満:5.3%
- 1000~1500万円未満:8.4%
- 1500~2000万円未満:6.0%
- 2000~3000万円未満:9.6%
- 3000万円以上:22.8%
- 無回答:2.6%
貯蓄2000万円以上を保有する世帯は約3割という結果になりました。一方で、金融資産非保有は19.0%です。
60歳代といえば、バブル期を経験した世代です。「銀行に預けるだけでお金が増える」という時代を経験した結果の貯蓄事情を見るに、現在の低金利を生きる現役世代では、さらに厳しい貯蓄格差が予想できます。
60歳代の貯蓄には退職金や相続資産等も影響しますが、現役時代から貯蓄をコツコツ進めてきた人とそうでない人の差も表れているのかもしれません。
次は退職金について見ていきましょう。
60歳代は退職金を平均いくらかもらっているのか
今の高齢者は退職金を受け取り、年金にて老後生活を送っているというイメージがあるかもしれません。
しかし、そもそも退職金がない人もいるでしょう。厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」によれば、退職給付(一時金・年金)がある企業は8割程度。つまり、退職金がない企業も一定数あるのです。
同調査によると、企業の規模が大きければ大きいほど退職金制度がある割合が大きくなっていることがわかりました。
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出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」
続いて退職金の平均額も見ていきましょう。
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出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」
平均退職給付額「勤続20年以上かつ45歳以上の退職者(退職事由が定年退職)」
- 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1983万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1618万円
- 高校卒(現業職):1159万円
退職金は大学・大学院卒であれば約2000万円に近い金額となります。退職金制度が充実した企業で定年退職を迎えた方は、2000万円近い退職金を期待できるかもしれません。
ただし、退職金制度は縮小傾向にあります。ご自身が勤める企業の制度について、一度しっかり確認することが大切です。
「厚生年金と国民年金」はいくら受給しているか
最後に厚生年金と国民年金の平均受給額を知ることで、シニアの生活の実態を確認してみましょう。
受給額については、厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
国民年金の平均月額
2階建ての年金制度のうち、1階に位置する国民年金(基礎年金)の受給額は以下の通りです。
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
厚生年金(第1号)の平均月額
続いて会社員が上乗せして加入する厚生年金(第1号)の受給額も確認しましょう。
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
たとえば、専業主婦の妻と会社員の夫の場合は、女性の国民年金+男性の厚生年金の合計になるため、年金は約22万円程度になることがわかります。
年金や退職金を見据えた老後計画を
60歳代の貯蓄や退職金、年金受給額の実情について解説してきました。
60歳代の前にそびえる「老後2000万円問題」ですが、実際にクリアできているのは約3割にとどまります。
そもそも老後2000万円問題とは、高齢無職夫婦が老後30年を過ごすにあたり、年金では不足する金額のシミュレーション結果です。
当然老後の収支は世帯によって異なるので、全員にあてはまる数字ではありません。子ども世帯に面倒を見てもらう場合などは、2000万円がなくても生活できるでしょう。
ただし、今後は年金受給額が減る可能性が高いです。持ち家よりも賃貸を選ぶ世帯も増える今、2000万円では足りなくなる可能性は高いと言えます。
退職金や年金は個人差があるので、まずは目安となる金額をしっかり把握しましょう。
これを機に、ご自身のライフプランについてじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
■参考資料
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)各種分類別データ」
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査」
- 厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」
太田 彩子
