「帰国子女」というと、ネイティブさながらに英語を流暢に話すイメージがあります。子どもは物事を覚えるのが早くてうらやましい限りですが、同じくらいのスピードで忘れるのも早いものです。

英語圏で幼少期を過ごし日本へ戻ってきた帰国子女でも、そのスキルは数週間~数ヶ月で低下します。大人になって海外赴任で英語を習得した人も、帰国してからの英語力の衰えに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

なぜ英語を忘れてしまうのでしょうか。本記事ではカナダのイマージョン教育の例を参考に、英語力をキープする方法を解説します。

イマージョン教育の成果はどうだったのか?

カナダで40年ほど前から広まりだした「フレンチ・イマージョン」という教育法をご存知でしょうか。「イマージョン」とは「immerse(浸す)」から派生した言葉です。

カナダの公用語は英語とフランス語ですが、英語しか話せない国民も多いことが問題となっていました。

そこで英語を話す子どもに、家庭では英語を使って生活する一方で、幼稚園から高校までの授業をすべてフランス語で行い、いわゆる「フランス語漬け」の取り組みが始まりました。この教育法が「フレンチ・イマージョン」です。

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着目すべきはこの効果です。フレンチ・イマージョンを卒業しても、バイリンガルになった子どもは半分程度だったとのこと。

さらに、バイリンガルになった子どもでも、大人になる頃にはフランス語を忘れてしまった人が多いという話もあります。

「幼稚園から高校までフランス語漬け」という徹底したフランス語教育もってしても、結局大半の子どもが、大人になってフランス語を忘れてしまっていたのです。