オバマケア代替法案撤回へ。トランプ政権が暗礁に乗り上げる
2017年3月24日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より177円22銭高の19,262円53銭となりました。
今週の日経平均は軟調な展開でした。連休明けの21日、22日には大幅に続落し、特に22日の終値は、19,041円となり、およそ1か月半ぶりの安値水準となりました。
背景には、米トランプ政権の政策への先行き不透明感と、それにともなう円高・ドル安があります。週初には、トランプ大統領が公約に掲げていた医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案を巡り、共和党内からも反対の声が相次いでいるというニュースが伝わりました。これを受けて、21日の米ダウ工業株30種平均は237ドル安と、トランプ相場で最大の下落となりました。
同法案は、採決が24日に延期されましたが、けっきょく、採択は行われず、法案は事実上撤回されました。トランプ政権は早くも暗礁に乗り上げたと言えるでしょう。24日のダウは7日続落し、59ドル安の20,596ドルで終えました。
今後の展開はどうなるでしょうか。まずトランプ政権に対する市場の見方については、オバマケア代替法案の採決は見送られたものの、米株式市場大引け後に行われた、ライアン下院議長の記者会見では、オバマケアを当面存続させるとともに、減税関連の協議を先行させると示唆しました。
これを受けて、24日のニューヨーク外国為替市場ではドルが買われる動きとなり、円相場は9営業日ぶりに反落し、1ドル=111円30~40銭で取引を終えています。依然として警戒感はあるものの、下支えの動きは感じられます。
国内は、「森友問題」により、海外の投資家は様子見傾向です。これが長期化し、政策が空転すると判断されると、さらに売りにつながる可能性もあります。
ただし、来週は年度末にあたることから、個別の銘柄については、配当取りとなる28日の権利付き最終売買日まで買われる動きになるでしょう。
一時19,000円割れ。75日移動平均線も下抜ける
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。21日に米ダウ工業株30種平均が大幅に下落したことを受けて、22日は大きく窓を開けて下落しました。
さらに、米国の大統領選の開票日(2016年11月9日)以来、初めて75日移動平均線を下抜けました。23日には、ザラ場で一時18,973円となり、19,000円を割り込みました。ただし、その翌日24日には大きな陽線となり、75日移動平均線も回復しています。
しばらくレンジ相場が続くことも。柔軟に判断したいところ
今後の動きはどうなるでしょうか。まず、75日移動平均線を下抜けたにもかかわらず、すぐに回復した点に注目したいと思います。
最近続いていた下値の切り上げは持続できませんでしたが、それでも直近の安値である2月27日の安値(18,995円)付近の下値支持線でしっかりと反発しています。チャートは、レンジの下限付近で押し目が入った形と言えます。
このレンジは昨年の12月から続いています。先週までは、下値が順調に切り上がっていたことから、上に抜けていく可能性が高いと考えられていました。日柄調整という点でも、そろそろ上抜ける時期です。
ただ、米国および国内の政局に不透明感があることから、今後もさらにレンジ相場が続くことも考えられます。本格的な出動は、一段上のステージとなる、19,600円付近の上抜けを確認してからでも遅くないでしょう。それまでは、レンジの下限付近で押し目を拾う戦略も効果的だと考えられます。
ただし、来週初から再度75日移動平均線や19,000円を割るようであれば、目線は下になり、下放れの動きに備えることになります。ここは柔軟に対応を考えたいと思います。
下原 一晃