足踏み続く日本株

日経平均が2万円回復まであとわずかになりました。振り返ってみると、2016年11月以降のトランプラリーで約2千円急上昇したあと、2カ月以上にわたって1万9千5百円をはさむ一進一退を続けています。米国のNYダウなどが最高値を更新する動きとは対照的で、2017年の株価パフォーマンスも米株に比べて日本株は遅れをとっています。

このように足踏みが続く日本株の状況を、2017年2月26日までの日本株の投資部門別売買状況から考えてみましょう。

2月は海外投資家が売り越しに転じた

日本取引所グループが公表している2月の投資部門別売買状況を見ますと、日本株を買い越したのは主に事業法人(+1,419億円の買い越し)です。

一方、売り越し部門を見ると、海外投資家は2016年9月以来、5カ月ぶりの売り越しに転じました(▲2,567億円)。信託銀行は3カ月ぶりの売り越し(▲1,749億円)、続いて投信が5カ月連続売り越し(▲1,646億円)となっています。なお、個人は売り買いがほぼ拮抗しました(+1億円の買い越し)。

2017年1月からの累計では、投信、個人、海外投資家、信託銀行という主要な部門がいずれも売り越しです。

日銀の買いが突出

買い手不在に見えますが、実は最大の買い手は日銀です。株式関連のETFの買付額は2月が+5,167億円、年初来では+1兆1,019億円にも上ります。

日経平均の水準だけを見ていると、もみ合いを抜けてすぐにでも2万円越えという声を聞きますが、実は投資部門別に見ると買い主体が日銀に偏っていて、他の投資家の熱量が高まらないと相場の水準が切り上がるのは難しいのではないかと思います。

2017年度下期の業績をどう見るか

投資家を悩ませているのは2017年度、特に下期の業績ではないでしょうか。

現在のドル円相場の水準は2016年度上半期に対しては円安ですが、同下半期に対してはやや円高になるため海外で収益を上げている企業の業績に対してはマイナス要因になります。さらに、トランプ政権の関税政策や通貨政策次第では業績に大きなマイナスの影響が出る輸出企業が出てくる可能性があるでしょう。

このような不確定要因が払拭されるか、あるいは債券から株式への資金シフトが新たに発生するのか。日銀を除く主要な投資部門が日本株を買い上がるには、この2つの点がポイントになりそうです。

LIMO編集部