全国人民代表大会、3月5日から開催

中国の国会にあたる全国人民代表大会(以下、全人代)が3月5日から北京で開催されます。今週はトランプ大統領の議会演説に目が奪われがちですが、中国の全人代でどのような経済運営の方向性が示されるのか注目されることでしょう。

2016年12月の中央経済工作会議では、経済の安定的かつ健全な発展を目標とし、経済構造の改革を進める重要性が確認されました。

2016年~2020年を対象とする第13次5カ年計画では「年平均6.5%以上」のGDP成長が目標とされています。2016年の実質GDP成長率は+6.7%でこれをクリアしていますし、足もとの景気指標はしっかりしています。

しかし、過剰能力の調整や非効率な産業の構造調整を進めながら不動産価格の高騰を抑制する姿勢を続けるならば、景気への一定のマイナス影響も想定されます。

しかも米国のトランプ政権が軍事、外交、通商、通貨などの点で中国との対決姿勢を強めつつあり、また人民元相場の安定化のために(水準は依然高いものの)外貨準備が減少を続けています。

中国政府がこのような環境の中で効率的な総需要政策(インフラ投資など)と構造改革を進め、債務問題の懸念を払拭しながら経済構造を成熟化させていくのか、全人代の内容に注目が集まるでしょう。

上海総合指数は3月は荒れがち

次に、重要な政治イベントを控える中国株の値動きの特徴を見てみましょう。

上海総合指数の過去10年間の月間騰落率を並べてみると、大きく上げたり、大きく下げたりする傾向が強いのが、1月、3月、8月、10月となっています。一方、あまり値動きが出ないのは2月、5月、9月です。

3月の平均的なリターンは+2%という結果です。しかし上昇回数6回、下落回数4回となり、上昇が約束された月とは言えません。

また、実際のリターンのブレ具合を見ると、3月は8月と並んで大きく上げたり、大きく下げたりしがちです。過去10年間の最大上昇率は+14%、最大下落率は▲20%となっています。

このように、3月の中国の株式市場は大きく動く傾向があります。2017年は秋に5年に1度の共産党党大会を控えるため安定成長が期待されるとはいえ、過去の党大会の年の3月が必ず上昇しているわけではありません。海外市場にも大きな影響を及ぼす可能性もありますので、注意を怠れない月になるでしょう。

LIMO編集部