家計の苦しい世帯の子が走り回っている時代ではない
全国規模ではないにせよ、自治体の協力で行われた新しい視点での「格差」が問いかけるものは「経済力と学力」以上にインパクトがあります。
たしかに、現在の小学生は昭和的な「暇な子は公園などで思いっきり遊び元気いっぱいで、習い事や通塾で忙しい子は軟弱」というイメージが一掃されています。
子どものスポーツというとまず浮かんでくるのが野球やサッカーを代表とする小学校のスポーツ少年団や定番のスイミングです。それ以外にも、空手といった武術、陸上、ダンス、体操教室、はたまたロッククライミングなど一口に「スポーツの習い事」と言ってもひと昔前とは打って変わって多種多様なラインナップになっています。中には掛け持ちしている子もいるほどです。
どれを習ってもスポーツの習い事をするには月謝の支払いや道具も必要になりお金がかかります。休日に大会がある場合は送迎や車出しなど親の負担も軽くはなく、家計だけでなく時間の余裕もないと運動系の習い事を積極的にやらせられません。
かといって子どもが公園で遊びたくても遊び相手は習い事をしていない。結果として放課後は家で動画視聴やゲームをして過ごしてほとんど体を動かさないまま学年が上がっていきます。
放課後や休日に意識してスポーツをする機会を増やすにも、親の心がけや家計に左右されます。「子どもの体力・スポーツ格差に関する基礎的実証研究」を踏まえると「つけるべき体力をつける機会がないまま成長する子」と「小さい頃から指導者の元でスポーツを習い鍛えられている子」に分かれてしまっているのです。