2022年1月14日に行われた、ジェイフロンティア株式会社2022年5月期第2四半期決算説明及び中期経営目標説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ジェイフロンティア株式会社 代表取締役・社長執行役員 中村篤弘 氏

2022年5月期第2四半期(累計)連結決算実績ハイライト

中村篤弘氏(以下、中村):こんにちは。ジェイフロンティア株式会社、代表取締役の中村です。2022年5月期第2四半期の決算実績をご報告いたします。

グループ全体の業績ハイライトですが、売上高は39億1,200万円で進捗率が38パーセント、営業利益は2億6,300万円で進捗率が31パーセントとなりました。

第1四半期で広告費を投下しきれず、新規顧客の獲得が遅れましたが、第2四半期は新規顧客の獲得コストを抑えながらも、獲得数をリカバリーすることができました。獲得の進捗は1年間の計画に対し、61パーセントとなっています。

各事業ごとの内訳ですが、メディカルケアセールス事業においては、売上高が14億4,500万円、進捗率が43パーセントとなっています。

SOKUYAKU事業の病院・薬局の提携状況は極めて好調で、病院は82パーセント、薬局は77パーセント、会員数は56パーセントの進捗となっています。また「SOKUYAKU」をASPとして企業へ導入するほか、「SOKUYAKU」の端末の導入、医療人材の紹介事業の開始等、新たなサービスの提供を開始しています。

ヘルスケアセールス事業における売上高は19億1,500万円、ヘルスケアマーケティング事業における売上高は5億5,200万円となりました。

連結損益計算書サマリー

連結損益計算書です。D2C事業の客単価の低い新規顧客向け売上が多く、売上金額の進捗率は約40パーセントとなりました。ただし、D2C事業における新規定期顧客の獲得数は好調で、進捗率61パーセントとなっています。少ない広告費で新規顧客獲得を実現しており、営業利益は計画よりも上振れています。

連結貸借対照表サマリー

連結貸借対照表です。純資産も増強され、純資産比率が78.9パーセントと強固な財務体質となっています。M&Aを実施し、2社を子会社化しました。のれんが1億5,400万円となっています。

また、4.5億円で20万株の自社株式の買い取りを実施しました。株主利益の向上、今後のM&Aの機動的な資本政策の遂行等を目的としています。

【SOKUYAKU事業】KPI進捗

SOKUYAKU事業のKPI進捗についてご報告します。2021年11月末の時点で、病院・薬局の導入数は合計2,551件となっています。

通期計画に対しての進捗率は、提携病院数は82パーセント、提携薬局数は77パーセントです。「SOKUYAKU」のユーザー数は13万6,000人で、進捗率は56パーセントとなっています。

【SOKUYAKU事業】トピック

こちらは「SOKUYAKU」の新たにスタートした取り組みです。1つ目は地方医療の充実化に向けた取り組みで、アプリをダウンロードしなくても、端末でオンライン診療ができる仕組みです。僻地の医師不足を解消し、専門医に診察してもらう取り組みです。

2つ目に、大手の薬局との連携も加速しています。宅配が可能な地域の薬局やドラッグストアを拡充し、その地域でテレビCMを強化することで、会員の増加を強化していきます。

3つ目に、医学会などでブースを出展して、新たな医療機関の獲得も強化しています。

【SOKUYAKU事業】当日宅配エリアの進捗

宅配の地域も拡大しており、今年1月から名古屋市でもスタートしました。2年以内に、全国配送網整備を目指して拡大していきます。

【D2C事業】業績進捗

D2C事業についてご説明します。売上金額ベースの進捗率は40パーセント程度ですが、主要経営指標である新規顧客の獲得数は進捗率61パーセントとなり、好調に推移しています。

リピートの顧客が増えていることで、第3四半期、第4四半期で自ずと売上はついてきます。ヘルスケアセールス事業の進捗率は36パーセント、メディカルケアセールス事業の進捗率は46パーセントとなっています。

【D2C事業】KPI進捗

新規顧客の獲得数の推移です。年間で34万件の獲得目標に対し、第2四半期で21万件の顧客の獲得ができており、達成率は61パーセントとなっています。

【D2C事業】収益構造

D2C事業の売上進捗がビハインドしていることが、今期の業績に大きな影響がない理由をこちらでご説明します。

定期のD2Cのビジネスモデルは、初回の購入における客単価が低く、2回目、3回目のリピート売上で売上利益が向上していきます。初回申し込みから、3ヶ月から5ヶ月後の回収モデルとしているため、第3四半期、第4四半期で売上、利益がついてくることになります。

【B2B事業(ヘルスケアマーケ)】KPI進捗とトピック

ヘルスケアマーケティング事業についてご説明します。主要経営指標である取引社数の進捗は、167社の目標に対して162社、達成率は97パーセントとなっています。

新たなトピックとして、テレビショッピングのバイヤーとヘルスケアメーカーとをマッチングするクラウドサービス「VENDIN」をリリースしました。

2022年5月期 連結業績見通し

2022年5月期の見通しです。売上高は前年比24パーセント増の105億円、営業利益は前年比27パーセント増の8.5億円を見込んでいます。

1.戦略的M&Aの実施

新規事業の取り組みについてお話しします。第2四半期に、2社の戦略的なM&Aを実施しました。1社目はAIGATEキャリアで、医療人材を中心とした人材紹介を行っています。

事業シナジーとしては、1つ目は「SOKUYAKU」における提携先の病院・薬局向け人材の支援、2つ目は当社D2C事業におけるコールセンター業務の内製化、3つ目はEC通販事業者向けのサービスの提供拡大です。

2社目は「LILAY」というヘアケアブランドの事業譲渡です。ロフトや東急ハンズなどの専門店を中心に卸売を行うブランドで、1店舗あたりの月間販売数が非常に好調なヒット商品です。単品リピート通販モデルの確立や、現在卸売を行っていないドラッグストアへの展開など、さらに販売チャネルを拡大していきます。

2.【SOKUYAKU事業】ASPサービス リリース

「SOKUYAKU」をASP化して、法人顧客専用のオンライン診療環境の提供をスタートしました。100店舗以上あるドラッグストアや調剤薬局、複数展開している病院や大学病院などの医療機関や企業等で、患者や顧客の囲い込みを行いたいニーズがあります。そのような法人顧客に対して、専用のオンライン診療を提供するサービスです。

【SOKUYAKU事業】ASPサービス 導入例:バリューHR社

ASPサービスの一例です。従業員と産業医をつなぐサービスを運営するバリューHR社に、オンライン診療システムの提供を行っています。医療機関だけでなく、企業からも多数お問い合わせをいただいている状況です。

【SOKUYAKU事業】収益手段の拡大

「SOKUYAKU」の収益強化の多角化を推進し、ビジネスモデルを増やしていきます。患者向けサービスの売上高は、「アプリ会員数×アクティブ率×診察料」です。企業向けサービスの売上高は、医療機関、企業等への「導入件数×月額利用料」です。

当社グループ中長期的展望と2025年5月期の中期経営目標

当社グループの中長期的展望と、2025年5月期の中期経営目標について発表します。当社は「人と社会を健康に美しく」を経営理念に、ヘルスケアテックカンパニーとして、デジタル技術を活用し、人々の幸福な生活に欠かせない医療・ヘルスケア領域にフォーカスした事業を展開しています。

これまでのパンデミックと社会経済構造変化

まずは、簡単な歴史の振り返りです。これまでパンデミックを契機に、社会経済構造は変化してきました。14世紀、17世紀のペスト流行時は、ロンドンで労働力が不足して産業革命が加速しました。

19世紀のコレラ流行時には、下水や水洗トイレなどの公共施設の整備が進み、20世紀前半のスペイン風邪流行時は設備投資が加速しました。今まさに、新型コロナウイルス感染拡大時において変革期が来ています。テレワーク、巣ごもり消費、ECの拡大、DX投資の加速です。

医療の現場においては、在宅が増えて消費者の健康志向が向上する一方、医療体制の脆弱性が明らかになりました。具体的には、医療資源の不足、院内感染の拡大と来院・来局者の減少、情報の不透明さです。当社はヘルスケア関連の商品の提供に加え、デジタル技術で医療のニューノーマルを確立したいと考えています。

当社グループの現在の事業ポートフォリオ

当社グループの現在の事業ポートフォリオについてお話しします。1つ目は、オンライン診療・服薬指導アプリ「SOKUYAKU」と、医療人材紹介等を行うSOKUYAKU事業です。

2つ目は、医薬品含むヘルスケア商品・化粧品等のEC通販事業を行うD2C事業です。

3つ目は、ヘルスケア関連のEC通販事業者に対するマーケティング支援等を行うB2B事業です。以上の3つの領域で展開しています。

当社が目指す将来の事業モデル

当社が目指す中長期展望についてお話しします。「SOKUYAKU」の会員データや治療情報、D2C事業におけるヘルスケア商品を購入した会員データの情報、各種医療機関のシステム、電子カルテや電子処方箋、電子お薬手帳等の情報、それらのデータを活用し、顧客一人ひとりのステータスに合った商品や医薬品、医療の機会を提供します。

スライド下部の「ヘルスケアサイクル」をご覧ください。左端から1つ目で、未病の状態におけるセルフメディケーションとして、健康食品や漢方などの提供です。2つ目に、疾病の初期症状に合わせたサービスの提供です。3つ目は、疾病に対する医療機関への相談および診療の提供、4つ目は疾病の後期状態における処方薬やOTCの提供です。5つ目は治療後の未病サイクルの維持の提供です。

この5つから成るヘルスケアサイクルをすべてカバーすることができる「SOKUYAKUヘルスケア経済圏」の確立を目指します。

“SOKUYAKUヘルスケア経済圏”のイメージ

「SOKUYAKUヘルスケア経済圏」のイメージです。「SOKUYAKU」に蓄積されたパーソナルデータを活用することで、ヘルスケアサイクルのすべてのアクションが完結します。これはTo Cの顧客向けだけではなく、金融機関や製薬メーカー等、企業向けにもサービスを提供していくことが可能です。

疾病期間を効果的、効率的に短縮すること、未病期間を長期化することで国民の「健康寿命」の伸長に貢献します。

SOKUYAKUによる“疾病”領域ヘルスケアデータの蓄積

「SOKUYAKU」による「疾病」領域のヘルスケアデータの蓄積のサイクルです。病院・医師の検索、治療、薬の宅配データを蓄積し、いつでもどこでもあらゆる病院で診療でき、薬を受け取れる社会の実現を目指します。

中長期アクションプラン

中長期のアクションプランです。2025年に売上高300億円、2028年には売上高1,000億円を目指します。それを実現するために、3つの施策を実施していきます。

1つ目が既存事業の成長、2つ目がヘルスケアサイクルを拡充するM&Aによる成長です。3つ目が「SOKUYAKU」を軸としたヘルスケアインフラに基づくサービスの強化です。

当社グループ中期経営方針 “Challenge 2025”

2025年までの経営目標である「Challenge 2025」についてご説明します。パーソナルヘルスケアデータの蓄積を推進し、国民の「健康寿命」伸長に貢献するIT企業としての成長基盤の確立を目指します。

1つ目に、パーソナルヘルスケアデータの蓄積に向けたプラットフォーム構築です。SOKUYAKU事業とD2C事業の会員データ統合、「SOKUYAKU」と各種医療データ、例えば電子カルテ、電子処方箋、保険証、マイナンバー、バイタルデータ等の情報の連携を行います。

2つ目に、蓄積したパーソナルヘルスケアデータのAI等による解析、および「健康寿命」伸長に寄与するヘルスケアサイクルとのデータ連携です。「未病→疾病→未病」のヘルスケアサイクルと蓄積データとの紐付けを検証します。

3つ目に、他社との連携も含め、蓄積されたパーソナルヘルスケアデータを活用します。ヘルスケアサイクルにおける新たなサービス開発に着手し、一人ひとりの健康状態に即した商品、アクション、サービスのタイムリーな提案・提供を行っていきます。

これら3つを推進することにより、将来の「SOKUYAKUヘルスケア経済圏」の創出を加速化します。

中期(2025年5月期)の経営目標

3年後となる2025年5月期の経営目標です。売上高300億円、営業利益25億円、会員数1,100万人を目指します。

中期(2025年5月期)の成長戦略

3ヶ年の成長戦略です。3つの事業軸のうち、特にSOKUYAKU事業とD2C事業を融合させながら、両事業を加速度的に成長させて、「未病→疾病→未病」の ヘルスケアサイクルの充実化を目指します。ヘルスケアサイクルサービス充実により、2025年以降も売上高CAGR40パーセントの成長を維持していきます。

中期経営目標達成のための戦術(SOKUYAKU事業)

SOKUYAKU事業は、CAGR150パーセント以上の売上高成長を達成するとともに、営業利益率20パーセントの実現を目指し、2軸の収益手段でマネタイズを加速していきます。

1つ目は「To C サービス」の強化で、オンライン診療、服薬指導、処方薬の宅配です。

2つ目は「To B サービス」の拡大です。ASP、端末設置、医療人材紹介、自由診療への患者送客などです。またパーソナルヘルスケアデータ蓄積に向けた各種システム開発・連携を促進し、さらに戦略的M&Aを実施します。

3年後のSOKUYAKU事業の収益戦略(To C)

3年後のSOKUYAKU事業の収益戦略です。年間の処方箋枚数は8億枚で、そのうちの1パーセントの800万枚がターゲットです。オンライン診療は「800万枚×150円(手数料)=12億円」、オンライン服薬指導は「680万枚×150円(手数料)=10億円」です。合計すると22億円の売上高、粗利益となります。

SOKUYAKU事業(To C)の事業展開イメージ

今期は、病院、薬局の開拓に注力しています。インフラを確保し面を取っていき、来期以降は積極的な広告投資により、会員獲得を強化していきます。2025年5月期以降は国内で圧倒的なシェアを取るオンライン診療、服薬指導のプラットフォームを確立します。

SOKUYAKU事業の主要アクションプラン

SOKUYAKU事業の​​具体的な3ヶ年のアクションプランです。会員数は2023年5月期に200万人、2024年5月期に400万人、2025年5月期には650万人を目指します。医療機関は病院、薬局をあわせて2万件の導入を目指していきます。

中期経営目標達成のための戦術(D2C事業)

D2C事業の目標達成のための戦略です。CAGR35パーセント以上の売上高成長を達成するとともに、広告投資をしながらも営業利益率10パーセントは最低限維持します。2025年には売上高210億円、営業利益23億円、会員数450万人、商品数200種類を目指し、D2C事業を通じて、「未病」領域のパーソナルヘルスケアデータを蓄積していきます。

中期経営目標達成のための戦術(B2B事業)

B2B事業の目標達成のための戦略です。CAGR30パーセント以上の売上高成長を達成するとともに、営業利益率5パーセントを確保します。当社グループの「To C サービス」であるSOKUYAKU事業、D2C事業の側面支援を行い、ヘルスケアサイクルサービスの拡充に貢献します。そして、売上高40億円、営業利益2億円、取引先社数300社を目指します。

戦略的M&Aの推進

M&A戦略です。「SOKUYAKUヘルスケア経済圏」の確立に向けて、「未病→疾病→治療→完治→未病」のヘルスケアサイクルに関連するサービスを拡充していきます。

スライドの図はM&Aのマッピングですが、黄色で示しているファンクションは、すでにM&Aを実施した企業です。未病の事業領域では今後、OEM製造企業、EC管理システム、倉庫物流、決済に関する企業などを検討しています。疾病の事業領域では、バイタル情報、医療ナレッジ共有、病院検索、オフライン診療、調剤薬局、宅配業者などの拡充を検討していきます。

以上で、2022年5月期第2四半期決算と中期経営目標の発表を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:第2四半期の業績の進捗について

質問1:「第2四半期の業績は計画どおりに進捗しているのでしょうか?」というご質問です。

中村:売上高は若干ビハインドしていますが、営業利益は獲得効率を重視して少ない広告費で顧客を獲得できているため計画を上回っています。

広告費として第1四半期が8億円、第2四半期も8億円くらい使用しているのですが、第2四半期は新たな広告媒体を活用し、第1四半期よりも安価に新規顧客を獲得できています。先ほどの動画でお伝えした今期34万件の獲得目標に対して、現在累計で21万件の獲得となっています。

質疑応答:商品のLTVについて

質問2:「商品のLTVはいくらでしょうか?」というご質問です。

中村:ライフタイムバリューですね。こちらは商品によって異なりますが、平均するとだいたい3万円程度になっています。

質疑応答:メディカルケアセールスの営業利益の進捗について

質問3:「メディカルケアセールスの営業利益の進捗がよくないようですが、その理由と今後の見通しについて教えてください」というご質問です。

中村:「防風通聖散」という漢方薬が非常に好調だったため、広告投資を積極的に実施したことが理由の1つに挙げられます。もう1つは「SOKUYAKU」の病院・薬局に対する初期導入手数料を戦略的に無償化したことです。まずは面を確保して、来期に会員獲得に投資できるように現在積極的に導入を進めています。こちらもKPIの進捗率含めて獲得数を優先させていく戦略で考えています。

ただし、SOKUYAKUの新たなマネタイズとして先ほどの動画にもあったASPのサービスや医療人材紹介、また、漢方薬に関しては、リピート売上が第3四半期や第4四半期に計上されていくことから、利益は計画どおりに進捗する予定です。

質疑応答:ヘルスケアセールス事業の見通しについて

質問4:「ヘルスケアセールス事業の見通しについて教えてください」というご質問です。

中村:こちらは進捗率で言いますと、36パーセントではありますが、新規媒体、YouTube、SNSを活用しての顧客獲得が順調に推移しています。先ほどの漢方薬のご説明と同様、リピート売上の計上が第3四半期以降に見込まれるため、業績達成の見通しとなっています。

質疑応答:連結業績予想について

質問5:「連結業績予想を別途開示で出していますが、この業績予想はどのように考えたらよいでしょうか?」というご質問です。

中村:ジェイフロンティア単体、各種連結子会社業績のいずれも保守的に見て組んでいるため、達成可能性の高い水準であると考えています。D2C事業のリピート売上計画自体も固く見ているのは、新規広告媒体で獲得した顧客のLTVの検証がこれからということもあるため、保守的にリピート売上高を見込むことにしました。

質疑応答:連結子会社の連結タイミングについて

質問6:「連結子会社の連結タイミングについて教えてください」というご質問です。

中村:第2四半期末からは、シーディ、バイオセーフのみです。ただし、こちらはB/Sだけの連結であり、P/Lは連結していません。アルファラン、AIGATEキャリアなどは第3四半期以降で連結する調整をしています。

質疑応答:「SOKUYAKU」のASPサービスについて

質問7:「本日リリースされていた『SOKUYAKU』のASPサービスについて詳しく教えてください」というご質問です。

中村:100店舗、200店舗あるようなドラッグストアや、チェーン展開している医療法人が患者の囲い込みをされたいという場合に、表側はその企業の名前でサービスを提供するのですが、裏は「SOKUYAKU」のシステムを提供してASP、アプリケーションサービスプロバイダというかたちで提供しています。

先ほどの動画にもありましたが、バリューHR社は自社の従業員向けに産業医とつなぐようなオンラインドクターという仕組みの提供を「SOKUYAKU」ASPでしています。この場合、通常の「SOKUYAKU」の診察料をいただくというマネタイズではなくて、月額のASP利用料をいただくかたちとなっています。

質疑応答:ASPサービスの収益について

質問8:「ASPサービス1件あたりいくらくらいの収益になりますか?」というご質問です。

中村:月額利用料は先方との交渉があり、カスタマイズのボリュームですとか、運用保守の工数を勘案して算出しています。月に数十万円から数百万円になり、カスタマイズする時も基本は料金をいただくような形になっています。

質疑応答:中期計画におけるM&Aの貢献度について

質問9:「中期計画の目標、売上高300億円、営業利益25億円におけるM&Aの貢献度はどの程度織り込んでいますか?」というご質問です。

中村:現在の既存事業のオーガニックな成長として180億円で、M&A100億円、「SOKUYAKU」のヘルスケアサイクルの新規事業で20億円と考えています。

質疑応答:売上高目標について

質問10:「2025年に売上高300億円達成という目標の実現性について教えてください」というご質問です。

中村:これは達成できると考えています。そのためにはM&Aなどの事業スピードを上げることは重要な戦略であり、積極的に取り組んでいきます。ただし、手当たり次第ではなく、きっちり精査や見極めを行って、我々の事業とシナジーがある企業と取り組んでいきたいと考えています。高値づかみを絶対にしないように、しっかり内容を検討していきます。

質疑応答:テレビ広告について

質問11:「『SOKUYAKU』のテレビ広告はいつ、どのエリアで実施していますか? また、その効果や今後のテレビ広告についてのお考えを教えてください」というご質問です。

中村:実際に1月も福岡県で地上波でテレビCMを打っているのですが、福岡の方からのWeb検索とダウンロード、PVが非常に上がっており、順調に登録も増えています。どのような広告戦略かと言いますと、CMの最後に提携していただいた薬局の企業名を「どこどこの薬局で『SOKUYAKU』が利用できます」というかたちで掲載しています。

「SOKUYAKU」にはマイ薬局登録という機能があるのですが、実際にそのようなCMを打つことで名前を掲載している薬局に会員登録する患者さんが非常に増えており、導入していただいた企業とのリレーション、連携もしっかり進めていけるかたちになっています。今後も、当日宅配できる地域から順次、CMを拡大していきます。

本当は関東圏でも実施していきたいとは考えていますが、そのためには千葉・埼玉・群馬・栃木などでの当日宅配の配送業者との提携が重要になってきます。こちらに関しては現在各物流会社、配送会社と最終調整しています。エリアも随時拡大していき、そちらも適宜情報開示させていただきます。

質疑応答:AIGATEキャリアについて

質問12:「AIGATEキャリアについて詳しく教えてください」というご質問です。

中村:AIGATEキャリアは医療人材の紹介などを行っている会社で、看護師では年間200名強の紹介実績があります。事業シナジーとしては、「SOKUYAKU」を導入した医療機関は、AIGATEキャリアで現在改修中の医療人材紹介サイトに無料で人材募集の情報掲載ができるようにする予定です。オンライン診療のツールを入れると同時に、無料掲載で新たに採用したい医療人材の獲得ができるというサービスメリットを医療機関に提供して、提携医療機関数をさらに拡大していきます。

「SOKUYAKU」の会員獲得は、先ほどのお話とも少し重複はありますが、Web広告とエリア限定のテレビ広告との併用で、現在安価での獲得が実現できています。

今後さらにテレビ広告のエリアを拡大していくと、もう少し単価が上がってくるかと思います。ただし、Web検索からのダウンロードのコンバージョンをさらに上げることで、この単価もさらに抑えつつ拡大できると考えているため、そのような検証のPDCAスピードを加速度的に上げていきます。

質疑応答:「SOKUYAKU」における中期経営計画売上目標について

質問13:「『SOKUYAKU』における中期経営計画目標50億円に対して、800万枚の処方箋獲得で22億円の売上とのことですが、残りの売上はTo Bで獲得するということでよろしいですか?」というご質問です。

中村:おっしゃるとおり、800万枚を達成できるように会員獲得し、残りの売上28億円に対しては、新しいTo B向けの事業で収益を作っていきます。

質疑応答:処方箋1パーセント獲得目標について

質問14:「処方箋1パーセントを取るのは何年後の目標ですか? またその時の会員数とアクティブ率はどのように想定していますか?」というご質問です。

中村:3年後の2025年達成が目標で、会員数は650万人、アクティブ率は12パーセント程度を想定しています。参考程度のお話ですが、PayPayのダウンロード数は4,200万件で利用率46パーセントです。メルカリは1億件くらいです。出前館のアクティブユーザー数は650万人です。

質疑応答:来期の会員獲得や業績について

質問15:「来期以降、『SOKUYAKU』の会員獲得に向けて積極的に広告投下するとのことですが、来期の業績は減益見込みでしょうか?」というご質問です。

中村:現在、獲得効率や事業スピードをどのタイミングで上げるかを精査、検討しており、必要なタイミングで開示します。

質疑応答:医療機関の提携営業について

質問16:「医療機関の提携営業は現在どのように進めていますか?」というご質問です。

中村:最初は、外部のコールセンターを活用してアポイントを取り、当社側の営業マンがWeb面談または対面面談を行いアウトバウンドで獲得してきました。現在はインサイドセールスに切り替えています。Web上で資料請求や問い合わせのお申し込みをいただいてリードを獲得し、そこに対して効率的な面談を行っています。

また、医師の方々が集まる学会などにブースを出展し、そこで医師の方や病院のアカウント情報をいただき営業活動しています。

また、病院に導入いただくと、その近くにある薬局にも導入していただけます。さらに、薬局に導入していただくと、自分のところで一番処方箋の枚数が多い病院を紹介してくださるといったかたちで、紹介で増えていくようなよいサイクルにもなってきています。今期も、計画以上の件数の医療機関との提携が可能だと考えています。

質疑応答:電子カルテや電子処方箋との連携について

質問17:「電子カルテや電子処方箋との連携はどのようにするのでしょうか? M&Aでしょうか?」というご質問です。

中村:電子カルテについては、大手とのアライアンスも視野に入れています。電子処方箋に関しては、これは今年の秋から制度としてスタートしていきます。したがって、電子処方箋に切り替えると想定される大手病院や薬局等と事前に「SOKUYAKU」導入の提携をしておくことが重要だと考えます。

また、定期的に厚生労働省の担当者と勉強会を行っています。ガイドラインを含めて、いち早く情報をピックアップし、システムに反映させて優先順位を上げて開発していきたいと考えています。

質疑応答:M&A候補先について

質問18:「M&A候補先のマッピングの中で特に優先順位が高いところはどこですか?」というご質問です。

中村:M&Aの候補先はすべて重要だとは考えていますが、現在優先的に検討しているのは「SOKUYAKU」提携の病院数や薬局数の増加につながるようなM&A、例えば病院や医師の検索サイトや医療人材向けSNS・メディア等です。「面を取る」を加速する意図です。

また、「未病」領域で、セルフメディケーションや健康維持・管理に貢献するヘルスケア商品・サービスを提供するD2C事業者の優先順位も高いです。そのようなD2C事業者で「SOKUYAKU」とシナジーがあるようなプロダクトを扱っている企業のM&Aを検討していきたいと考えています。

質疑応答:D2C事業の営業利益率低下の理由について

質問19:「D2C事業の営業利益率が2022年5月期と比べて下がっている理由はなんですか?」というご質問です。

中村:2022年5月期は14パーセントで、2025年5月期は11パーセントになっています。これは新商品を立ち上げていくための先行投資で、積極的に広告投下をしていきたいと考えていることが理由です。

質疑応答:M&A資金について

質問20:「M&A資金は今後どうするのですか?」というご質問です。

中村:いろいろな資金調達手段を検討していきたいと考えています。

質疑応答:「SOKUYAKU」の物流について

質問21:「『SOKUYAKU』の物流はどうやって広げていくのですか?」というご質問です。

中村:全国をマッピングし、順次そこの地域に密着した物流会社や配送網を持っている企業と交渉しています。今は1件あたり500円、税込みで550円で当日宅配を行っています。

ただし、例えば北海道の僻地で500円で配達するということはやはり難しいため、配送料金の金額設定も地域によって柔軟に対応していきます。550円にこだわって交渉していくと、提携スピードや配送網が一気に増えないため、そのようなことを考慮して取り組んでいきます。

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