2022年1月14日に行われた、株式会社銚子丸2022年5月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社銚子丸 代表取締役社長 石田満 氏
株式会社銚子丸 取締役管理本部長 仁科善生 氏

目次

仁科善生氏:管理本部長の仁科でございます。私から上期の決算概要についてご説明します。戦略と今後の取り組みなどについては、後ほど社長の石田からご報告しますので、重なる部分については割愛します。

業績ハイライト

4ページの業績ハイライトをご覧ください。先期までが旧会計基準で、今期初より新会計基準となり、会計基準が改定されています。会計基準が新か旧かで、都度都度ご説明しながら比較・検証していきますので、ご了承願います。

まず、当期の上期の売上ですが、新会計基準では78億6,000万円となっています。増減としては9億2,700万円の減少、パーセンテージで10.6パーセントの減少となっており、大変厳しい結果であると認識しています。

当上期の売上を旧会計基準に見直すと79億6,900万円、前年分の87億8,800万円と比較すると売上は8億1,900万円の減少、増減率は9.3パーセントのマイナスとなっています。

営業損益は会計基準の変更による影響を受けないため、そのまま比較します。上期は1億100万円のマイナスとなりました。先期が3億5,600万円のプラスだったため、前年同期比では4億5,700万円の減益となっています。売上利益は大幅な減収減益という結果です。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大防止への協力をし、協力金をいただいています。この金額が合計で9億6,900万円あり、営業外収益に計上しているため、経常利益は最終的に8億7,600万円となっています。前年が3億8,500万円ですので、4億9,100万円の増益となっています。

同様に、税引前四半期純利益は8億4,700万円、前年比で5億3,200万円の増額となっています。四半期純利益は5億4,000万円、前年比で3億3,700万円の増益となっています。スライドの経常利益よりも下の損益については、前年比で大幅な増益となりました。

最近のトピックス

5ページの最近のトピックスは項目だけなぞります。後ほど社長から具体的にご説明します。

前年度の下期の2021年4月にデジタルサイネージを全店に導入しました。スライドには記載していませんが、同時にセミセルフレジも全店に導入しました。これらは広告宣伝のレベルアップと営業力の強化、ならびに、この新型コロナウイルス感染拡大の環境下で、現金を介在したお客さまとの接触を極力少なくするというかたちです。

今期に入り、上期は6月に組織改編・DX推進プロジェクトの立上げ、7月にフードバンク活動を開始、8月にテイクアウト専門店第4号店「すし銚子丸落合店」オープン、10月には当社創業45周年を記念して、サンリオの人気キャラクター「ポムポムプリン」を題材とした、初のコラボレーション企画を実施しました。

下期に入り、すでにお知らせのとおり、12月に価格改定を実施しています。また、同じく12月には、来年4月4日の東京証券取引所の市場再編による新市場において、当社が「スタンダード市場」を選択する旨の申請をしました。

店舗政策

店舗の政策についてです。上期の出店では、8月にテイクアウト専門店4号店となる落合店をオープンしています。一方で退店では、9月に「すし銚子丸東葛西店」を閉めました。こちらは都市計画区域に所在しており、その土地の収用のために閉店を余儀なくされたものです。

次に改装ですが、このような厳しい環境の中で新店を出店するのは、なかなかハードルが高い状況です。ついては、改装にも相当に力を入れてきました。特に来店客数の多い既存店を対象にして席数を増やすこと、ならびに機械化・省力化によってコストを削減することの両方を実現できるような改装を目標として、6月に日吉店、9月に佐倉店、10月に調布店と、「すし銚子丸」3店の大規模な改装を実施しました。

この結果として、今上期末時点で当社店舗数は91店舗となっています。

エリア別売上

エリア別の売上です。こちらに記載のとおり、1都3県で営業している当社の売上は、全社の売上が全般に落ちたことに並行して、それぞれの地域で落ちています。特に千葉県での減少が大きいのですが、こちらは昨年の上期と今年の上期を比較しています。

店舗数が大きく変わっています。千葉県は昨年の上期末が40店舗、今期が37店舗となっています。「すし銚子丸 雅 アトレ松戸店」「すし銚子丸船橋店」と「すし銚子丸八千代店」の3店を閉店しています。

東京都は、「江戸前すし百萬石 新小岩店」を閉店した一方で、「すし銚子丸テイクアウト専門店」の荻窪店と落合店を新規オープンしています。店舗の新たな新店オープンと退店がいくつかあり、トータルで店舗数が変わった結果として、このような増減となっています。

既存店売上高 前期比

次ページ以降は、既存店の売上高、客数、客単価についての表を記載しています。数字は掲示していますが、比較するのはかなり難しい環境になっています。前年度が新型コロナウイルス感染拡大防止のためのさまざまな施策やご指導の結果として、随分と増減が著しく、参考としてはあまり使えないため、この部分についてのご説明は割愛します。

営業利益の変動

11ページの営業利益の変動をご覧ください。昨年上期の営業利益3億5,600万円に対して、当上期の営業損失は1億100万円となっています。この差分が何でできているかについてですが、先ほどお話ししたとおり、売上は新店で7,300万円増加し、既存店で10億100万円減少、差し引き9億2,800万円の営業収益の減少、売上減となっています。

これに対して、売上原価が2億9,900万円プラスとなっていますが、売上が減っている分、売上原価も減っています。同じく人件費も1億2,200万円減少、広告宣伝・販促費も1億1,700万円の減少です。なお、この中で赤字で記載している部分は旧会計基準の数字です。

営業収益の9億2,800万円の減少は旧基準の売上から、今上期については新基準で売上を計上しており、その差分が新旧一緒になっているため、どの部分の品目が影響しているかわかるように書いています。

広告宣伝費では、1億1,700万円の減少分のうち8,000万円が会計基準の変更要因、その他の経費では、2,800万円が会計基準の変更要因です。具体的に何が変わったのかご説明しますと、例えばクーポンの売上があります。1万円利用されたお客さまに1,000円のクーポンをお渡しした場合、旧来は1万円の売上を立てて、クーポンの1,000円を販促費として費用計上していました。

新会計基準では、両方を相殺して9,000円で売上計上することになります。実際に1,000円分はお金をいただいているため、この分は預り金というかたちで処理し、次にお客さまが来られた時の売上にこの1,000円を足していくというのが、新会計基準の取り扱い概要です。

もう1つ、その他の経費ですが、当社は社員に対し、食事代を現金ではなく食事で提供しています。例えば500円の食事を店舗内で食べた時、従来は500円で売上を立てて福利厚生費で落としていました。新基準ではこれも売上には計上せず、費用からも落とすことになります。この主な2つの会計基準の変更による、売上ならびに経費の減少要因を、ここに内書きしています。

売上原価と主要な販管費

12ページをご覧ください。こちらも新会計基準と旧会計基準で入り組んでいるため、そのあたりをご説明します。一番上が旧会計基準に洗い替えした売上です。右側に青で括弧書きしている数字がありますが、先ほどお伝えしたように、8,000万円がクーポンなど販促費の修正額、下の2,800万円が福利厚生費のうち社員の食事代の部分となります。

この部分を、新会計基準の売上高78億6,000万円に対し、売上と経費に復元していることから、旧会計基準の売上高が79億6,900万円となっています。同時に経費にも計上するため、これを足して売上総利益ならびに販管費を計算したものがこちらの数字です。

この洗い替え後の79億6,900万円に対する経費の比率を出しています。基準変更によって売上が減った分に対して比率を出しても、対前年の比較ができないため、このようなかたちで算定していることをご了承ください。

結果として、ほとんど比率は変わっていません。減益の要因は、売上が大きく落ち、その分粗利が減ったことにありますが、経費について同じように減らすには、すでに損益分岐点に近くなっています。

人件費をなんとか減らしてきていますが、現状ここまで売上が落ちると、売上ならびに粗利の減少をカバーするほどの削減はなかなか難しいという理由から、1億100万円の営業損失計上となりました。

2022年5月期 通期業績見通し

最後に、新会計基準で通期の業績見通しを発表しています。今期の通期売上予想は171億400万円で、期初に発表した予想の179億5,300万円から8億4,800万円減っています。そのほか、利益もそれぞれ減ってはいるのですが、期初に予想した下期の数字はそのまま据え置き、上期の実績を上期の予想部分に塗り替えています。

理由として、上期の終わりにかけてワクチン接種が進んだことにより、新型コロナウイルス感染拡大がかなり落ち着きを見せました。売上も回復基調にあるため、あらためて下期の見通しを変更する必要はないだろうと判断し、下期の計画は期初どおりの数字を据え置いています。詳細については15ページをご覧ください。

アフターコロナ時代を見据えた店舗戦略①

石田:それでは、私から下期以降の取り組み・施策についてご説明します。2021年の上期は、9月末に緊急事態宣言が解除されはしたものの、ほぼ全期間、コロナ禍に翻弄された成績となってしまいました。そして今なお、オミクロン株の出現で予断を許さない状況が続いていることを考えると、今下期も感染拡大と収束を繰り返す、まさにウィズコロナを覚悟した営業を強いられる年となったと考えています。

先ほどお伝えしたように、2022年5月期も上期決算では営業利益でマイナスとなっている状況です。期初に描いていた、夏休み頃にはお客さまも増え、売上も上向くとした思惑はあっさりと外れてしまいました。そのような状況の中で、下期以降の成長に向けた取り組みについては、地道な目標を堅実に進めていくことになります。

まずは、引き続き既存店の改装を進めていきます。実効性のある改装を目的とし、売上高や作業効率がアップすることを重視しています。資料のとおり、上期3店舗、下期2店舗で実施予定です。

我々銚子丸の強みは、職人が握るお寿司と銚子丸劇場であることから、職人さんの存在は欠かせません。大手チェーン店のような極端な機械化は、お客さまからも劇団員からも受け入れられないと考えています。

しかし、加速する人手不足の世にあって、いかに大きな売上を作るといえども、人海戦術では成り立ちません。来期以降をも見据えた目標となりますが、お客さまから見える範囲の機械化・省人化は現在の改装店並みにとどめることとして、お客さまから見えない作業については、できる限りの機械化で驚くほどの生産性向上を目指すこととします。

アフターコロナ時代を見据えた店舗戦略②

テイクアウト専門店の出店も積極的に行います。今期で10店舗にする計画で動いてはいますが、人手不足の状況に陥りつつあり、店舗開発のスピードが不安定になってしまっています。

テイクアウト自体が、外食・イートインとのトレードオフの関係でもあり、現在のところ大当たりはありませんが、テイクアウト店は堅調に推移しています。売上高も追いつつ生産性向上に注力するため、開店から一定期間経過後には従来の営業部に移管し、食材や人材の効率運用を可能とします。

アフターコロナ時代を見据えた店舗戦略③

さらに、成功モデルである「すし銚子丸」での出店を確実に進めます。2021年1月8日から第2回目の緊急事態宣言が発出され、9月30日までの間、245日にものぼる制限下での暮らしにより、お客さまの外出意欲や消費スタイルは大きく変わりました。

銚子丸の営業にとっても、テイクアウトやデリバリーの増加だけでなく、さまざまな場面で変化への対応を迫られた年となりました。そのような中で、店舗運営体制の効率化や原価コントロールにいっそうの注力をして、収益モデルの構築に努めてきました。

一方、出店候補地については、コロナ禍で各社の撤退物件が増加してはいるものの、現在のところ弊社適格地の情報が少ない状況が続いています。出店スピードとしては、コロナ禍での半導体不足などの影響により、建築期間の長期化が大きな阻害要因となっています。

現在確定できている物件が2件ありますが、あと1店舗を厳選した上で、できるだけ早く決めたいと考えています。

ウィズ・コロナ時代に対応したサービスの拡充①

また、顧客接点の充実策として、継続的に銚子丸アプリのブラッシュアップと電子決済の拡充に注力します。決済ブランドもだいぶ出揃ってきました。オーダーや会計がスムーズになることでお客さまのストレスが軽減し、顧客満足につながります。特にQRコード決済ではレジの作業が簡素化されているため、効率化の意味でも推奨すべきと考えています。

ウィズ・コロナ時代に対応したサービスの拡充②

続いて出張回転寿司の拡大についてご説明します。まさに銚子丸の経営理念を実践できる事業であり、潜在的なポテンシャルの大きい事業です。コロナ禍により伸び悩んではいますが、リピーター作りにじっくりと力を入れていきます。

大好評の出張回転寿司、そして板前を派遣してのケータリングがありますが、コロナ禍により大口のテイクアウトに振り替わる例も多くなり、マグロ解体ショーなども人気のメニューとして、これから時機を見ながら積極的に進めていきます。

ウィズ・コロナ時代に対応したサービスの拡充③

ECサイトの活性化についてです。おせちの販売などでは大きく動きがありましたが、実際はまだまだで、成功事例を勉強しています。

ウィズ・コロナ時代の銚子丸劇場の深化①

ウィズ・コロナの店舗運営に関してはご覧のとおりです。営業時間の短縮と自治体ごとの制限や要請に積極的に対応していった結果、遅滞なく認証を取得でき、上期では9億6,900万円の協力金を受給しました。

ウィズ・コロナ時代の銚子丸劇場の深化②

良質な外食体験の提供を旨としています。理念の実現の実行方法という位置付けで、今後も徹底して邁進していきます。今、社内で「お客さまが本当に求めているものを、突き詰めて考えたら何だろう?」という問いを立てています。

それは、ご家族や大切な人との楽しい食事であり、奥さまやお子さま、お相手の喜ぶ顔であり、できれば懐にも優しいという三拍子が揃った時に、最高に満足するのだと思っています。この下期は、お客さまが本当に求めているものについて満足していただけるよう、徹底的に進めます。

ウィズ・コロナ時代の銚子丸劇場の深化③

大きなことは言えませんが、今年から来期を投資の年と位置付けます。その中心は人材投資となります。ウィズ・コロナ時代になって以来、銚子丸の店舗劇団員の人手不足感は増すばかりです。銚子丸の成長は、成功モデルである銚子丸での出店と、銚子丸既存店のブラッシュアップにかかっています。

そのため、従前からの出店と改装にかかる投資だけでなく、積極的な出店や改装を支える組織体制作りと人材の確保、既存業態での生産性向上を担う人材の育成など、採用活動や教育に対する投資に力を入れます。その一環として、業績向上をにらんで、社員・劇団員の給与アップも努力していきます。

企業価値向上の取り組み①

統合的マーティング・プロモーションの実現を掲げていますが、既存事業の営業を支える商品と販売促進に対してITの思考を大幅に取り入れるとともに、新たにマーケティングの手法を取り入れて、統合的にマーケティング・プロモーションを展開していきます。

マーケティングに基づいてイベントが企画され、企画に沿った商品の仕入れが実現すれば、お客さまにイベントや企画の意図がしっかりと伝わり、集客力が劇的にアップすると考えます。

加えて、アプリやタッチパネルから入力される注文データやレジでの販売データなど、日々の営業の内部で動いている数値情報については、スピーディかつ正確に集計し、発注から納品、在庫から販売、売上から本部の会計処理まで、一気通貫のシステム化を強力に推進します。

お客さま情報や注文データから販促企画が生まれ、その企画が商品化につながり、企画に沿った仕入れが実現するなど、おいしい舞台、おもてなしの舞台の裏側で、明日の売上・利益を作り出すあらゆるデータが行き交う、いわゆるハイテク企業の側面に注力していきたいと考えています。

そこに携わる組織作りや専門人材の採用、および育成という人材投資に加えて、部門横断的なシステム網やAIの導入など、必要かつ十分なIT投資も行っていきます。また、このような将来の成長にコミットするための人材戦略を起案し、その実行に責任を持つような幹部人材の登用も含めて、まさに人材投資を中心とする投資の年が始まります。

その背景には、消費者心理の変化に伴って顧客満足のあり方が変わり、要求されるサービスが高度化する中で、既存社員の高齢化なども視野に入れた人手不足と、それに伴う人件費の高騰が進み、必要な人材が確保しにくい状況になってきたことがあります。

そして、集客強化が叫ばれる中、時代に合った販促方法やマーケティング視点でのデータ活用など、DXの必要性が急激に緊急度を増してきたことが挙げられます。これをしっかりと認識して確実に手を打っていきます。

企業価値向上の取り組み②

企業価値向上の取り組みとして、昨年12月に皿価格の一部を改定しました。想定する結果は、6パーセント程度の売上高上昇要因と考えています。

ご覧のとおり、コストアップに押されたかたちでの価格改定ではありますが、仕入れ食材の品質を下げることなく、良質な外食体験を提供し、銚子丸のブランド価値を維持・向上させるために、あえて改定した次第です。

現在のところ、苦情やご指摘の類がほとんどなかったことを考えると、改定価格とお客さまが感じる満足度とのバランスは取れていたのではないかと考えています。

企業価値向上の取り組み③

SDGsの取り組みについてです。SDGs、CSR推進のための検討会を現在立ち上げており、すでにできていること、そして行おうとすればできることなどの整理から始めています。

魚のあらや廃油のリサイクル、節水の取り組み、紙折への変更など、従前から行っていたことに加えて、フードバンク活動やMEL認証取得に向けた検討、そしてマイナビ世界子ども教育財団との協業の検討、食品リサイクルループの構築などを検討しています。

現在はフードバンクちばとの取り組みを始めており、昨年7月から実際に8回ほど実施しているところです。まだまだ勉強しながらですが、できるところからしっかりと進めていきたいと考えています。

スライド下のコーポレートガバナンス・コードに関する取り組みについては、先日当社のCGコードを策定し、開示しました。それについては詳細をご覧いただければと思っています。

質疑応答:テイクアウト専門店について

司会者:テイクアウト専門店についてもう少し詳しく、ということで「寿司はどこで握っているのでしょうか? ロス管理はどのようにしていますか? レジの単価はいくらくらいですか?」というご質問です。

石田:テイクアウト専門店については、お寿司は店内で握っています。社員の配置は少し重いのですが、複数店舗で複数人の社員を配置しており、社員が握るだけでなく、パート・アルバイトに教育して、パート化していく流れの中で、店内調理を行っています。

ロス管理については、製造途中でのロスについては今手元で把握しているものがありませんが、商品化が済んでいるものについては、値引きして売り切っている状況です。

客単価については、もちろん1レジ1客というかたちのためレジ単価となりますが、通常の銚子丸より若干低く、1,500円から1,700円くらいだと認識しています。

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