SBテクノロジー、CFOが第3次中計の成長を解説 デジタル庁設立もあり公共ビジネスの受注好調

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2021年9月11日にログミーFinance主催で行われた、第24回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナー 第2部・SBテクノロジー株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:SBテクノロジー株式会社 取締役 CFO 岡崎正明 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フリーアナウンサー 八木ひとみ 氏

本日のご説明

岡崎正明氏(以下、岡崎):みなさま、こんにちは。SBテクノロジー取締役CFOの岡崎と申します。本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございます。

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本日は、SBテクノロジーの事業と成長戦略についてご説明します。当社の親会社であるソフトバンクとの関係や、当社の強みと特徴について知っていただき、ぜひSBテクノロジーに興味を持っていただければと思います。

SBテクノロジーの概要

岡崎:本日は、SBテクノロジーの概要、続いて成長戦略と取り組み内容、最後に数値目標・株主還元の以上3点についてご説明します。

最初に、SBテクノロジーの概要です。SBテクノロジーは、ソフトバンクグループの一員です。法人・公共向けビジネスを行うBtoBのICT企業で、クラウドとセキュリティを得意分野としています。

スライド4ページの写真は、ソフトバンクが毎年開催している「SoftBank World」というイベントの様子です。昨年は、ソフトバンクを中心に、テクノロジーを強みとする主要子会社のCEOが集まり、「データとテクノロジーによって変革する社会」と題したパネルディスカッションを行いました。当社の社長である阿多親市も参加し、各社のCEOとともにディスカッションを行っています。

グループストラクチャー

岡崎:当社とソフトバンクとの関係について、ご説明します。孫正義が代表を務めるソフトバンクグループと、携帯電話で知られるソフトバンク株式会社が親会社となります。ソフトバンク株式会社の傘下には多数の子会社がありますが、当社はその中でも株式上場している数少ない会社です。

当社にも主な連結子会社が7社あり、各社固有の技術を持っています。グループとして、それぞれの技術やリソースを活用しながらシナジーを出しているところが特徴です。

経営理念

岡崎:「情報革命で人々を幸せに~技術の力で、未来をつくる~」を、経営理念に掲げています。ソフトバンクの掲げる「情報革命で人々を幸せに」という経営理念に、テクノロジーの会社として「技術の力で、未来をつくる」という志を加えています。

そして、それを実現するため、2018年にビジョンおよびバリューを全社員で考え、スライドにお示ししたように設定しました。SBテクノロジーグループは、ICTサービスの提供を通じて、豊かな情報化社会の実現ならびにSDGsの達成に貢献していきたいと考えています。

経営者のご紹介

岡崎:現在の代表取締役社長は阿多親市です。阿多は、日本マイクロソフト社の社長を務めた後にソフトバンクの取締役を務め、2012年に当社の代表取締役社長CEOに就任しました。後ほどご説明しますが、当社はマイクロソフト社の製品に対する知見と強みを持っており、その理由の1つには阿多の存在があります。

これまでの歩み

岡崎:当社の沿革についてご説明します。1990年にソフトバンクの子会社として、ソフトバンク・テクノロジーが誕生しました。現在はSBテクノロジーに社名変更しています。

そして、1999年に株式を店頭公開し、2006年に東証一部へ上場しています。2012年には、阿多が代表取締役CEOに就任し、「大きく成長する」という目標を掲げました。就任後、3年ごとに中期計画を立て目標を定め、追求し、達成していきました。

まず、2013年からの第1次中期計画では、クラウドとセキュリティを注力領域に定めました。また、会社を大きく成長させるため採用活動を積極的に進め、当時約400名だった社員数を約800名に倍増させました。

第2次中期計画では、新規案件をクラウド関連案件に集中させるとともに、利益率の低い機器販売のビジネスをやめるなど、事業の中身を転換しました。まだ世間にクラウドが浸透する前から注力して取り組んだこともあり、マイクロソフト社のクラウド導入実績No.1のポジションを確立できました。

現在の第3次中期計画では、クラウドやセキュリティで培ってきた技術をサービス化し、展開することに取り組んでいます。また、主なお客さまである企業や官公庁については、情報システム部門だけではなく、実際にビジネスを行っている事業部門へも技術や価値を提供可能にすることを進めています。現在は連結従業員数が1,300名を超え、ほぼ1,400名になっており、さらに拡大中です。

事業領域(セグメント)について

岡崎:事業領域についてご説明します。現在当社は、ビジネスITソリューション、コーポレートITソリューション、テクニカルソリューション、ECソリューションの4つに事業を分類しています。

クラウド事業領域であるビジネスITソリューションおよびコーポレートITソリューションを注力事業領域に定め、事業展開を進めています。

ビジネスITソリューションは、例えば、農林水産省の申請業務のデジタル化と電子化、クラウドを活用した建設業向けID管理サービスの提供などを行うことで、顧客の事業拡大に直接貢献するITソリューションです。お客さま自身のビジネスをITソリューションを活用し、拡大させることを目的としています。

コーポレートITソリューションは、顧客の情報システム部門を支援するソリューションで、メールシステムなどのコミュニケーション基盤などのクラウド環境への移行や、セキュリティサービスなど、IT化による業務の効率化や生産性向上に寄与することを目的にしています。

IT業界の概要

岡崎:事業セグメントでご説明したとおり、当社はITソリューションを提供しており、いわゆるIT業界に身を置いていますが、一言で「IT業界」と言っても幅広く、分類の仕方もさまざまです。

スライドの図は、IT業界を5つに分類したものです。例えば、ソフトバンクグループを例にすると、Yahoo!やLINEは「インターネット・ウェブ」に、ソフトバンクは「通信」にカテゴリーされますが、当社は「情報処理サービス」を中心に提供しています。

IT業界の動向

岡崎:IT業界の動向について、ご説明します。国内のIT市場は、2012年から継続して拡大しています。2019年から2020年にかけては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、新規プロジェクトの先送りや進行中のプロジェクトの中断や遅れなどもあり、一時低迷していましたが、2020年の後半から、ITサービス事業者の受注状況は回復傾向にあり、2021年はプラス成長に回帰すると見込まれています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):DX投資の本格化に伴い、投資額も増加しています。DXという大きな括りでお話ししていますが、御社がお仕事されている中で、企業が注力していると感じる分野を教えてください。

岡崎:最近では、特に働き方の変化に伴う投資や、事業拡大のための投資に対して、各社の投資力が旺盛だと感じています。働き方の変化に伴う投資ですが、いわゆるコロナ禍で、クラウドサービスを活用したテレワークの導入や、それに伴うサイバーセキュリティ対策の重要性が非常に強く意識され始めており、特に、ゼロトラストセキュリティ分野への投資が増えています。

事業拡大のためのIT投資というのは、例えば、当社の注力顧客である建設業では、スマートビルやスマートシティ、また、建設現場での生産性向上のためのIT投資が多くなっています。

坂本:建設業はDXが遅れていると言われています。人が一番動くところだからという理由もあると思うのですが、そのあたりは御社が得意としているクラウドとあわせて勝機になっているのでしょうか?

岡崎:おっしゃるとおりです。

八木ひとみ氏(以下、八木):これからますます成長し、どんどんDXが進んでいく分野を強みに持っているということですね。

業績推移:売上高

岡崎:ここからは、当社の業績推移についてご説明しますが、売上高の計上基準が一部変更になっております。ECソリューションにカテゴリーされるセキュリティソフト販売の売上高について、従来は販売額の総額を売上高に計上していましたが、今期からは販売額から仕入れ額を差し引いた純額のみを売上高に計上しています。

事業構造自体には変わりないものの、前期までと比べ今期のほうが売上高が減少して見えるようになっています。その規模が約180億円弱と非常に大きいため、スライドのグラフでは、前期以前の売上高についても新会計基準ベースに置き直して表示しています。

阿多が社長に就任した2012年からの10年間で、売上高は3倍強に成長しています。第2次中期計画の期間では、売上高が横ばい、または若干下がるところがあります。これは、この期間に機器販売をやめてクラウド関連事業に集中するといった事業構造の転換を行ったことが影響しています。

しかし、第2次中期計画の最終年度である2018年度には、売上高に対して営業利益が大きく伸びており、第3次中期計画のさらなる伸びにつながる、大きな成長のための準備期間であったと捉えていただければと思います。

売上高の推移およびIT市場の成長性からも、今期以降の成長見通しについても期待を持っていただけるのではないかと考えています。

業績推移:営業利益

岡崎:売上高と同様に、営業利益についても、2012年度からの10年間で約3倍に成長させることができました。今期は第3次中期計画の最終年度ですので、しっかりと計画数字を達成させ、今後も引き続き成長を継続していきます。

2022年3月期第1四半期の進捗

岡崎:今期の進捗についてご説明します。今期の売上高は590億円を目指していますが、6月末で終了した第1四半期の結果は149億円となりました。過去2年間の第1四半期と比較しても、通期進捗率は25.4パーセントと順調に進捗しています。

また、今期の営業利益は43億円の予想ですが、第1四半期は9.1億円となりました。過去2年間の第1四半期と比較しても、通期進捗率が21.2パーセントと非常に順調なスタートを切ることができています。期初に発表した当期の業績予想に対して、上振れの基調で推移しています。

株価推移

岡崎:株価推移ですが、業績の拡大・成長とともに、株価もスライドの図のとおり順調に伸びています。阿多がSBテクノロジーの社長に就任する直前の2012年1月時点では、300円前後で推移していましたが、現状は3,000円前後を維持しており、株価は約10倍になっています。

当社強み

岡崎:次に、成長戦略と取り組み内容についてご説明します。繰り返しになりますが、当社は「クラウド&セキュリティに強みを持つ企業」です。

「クラウド」とは何か

岡崎:まず、「『クラウド』とは何か?」について、簡単にご説明します。クラウドサービスとは、今までは利用者が手元のパソコンで利用していたソフトウェアなどを、ネットワーク経由でサービスとして利用できるものです。現在、生活のさまざまなシーンで利用されています。

クラウドサービスが広まる理由はさまざまです。例えば、社内に資産や保守体制が必要なくなる、災害時のバックアップとしても機能する、テレワークでもどこからでも利用できる、設備の管理面からも安定的な運用ができる、データが増えてもすぐに拡張できることなどが挙げられます。

「クラウド」の広まり

岡崎:10年前からさかのぼってみますと、クラウドはスライドの図のような変遷を遂げています。2012年頃は、まだクラウドの利用も少なく、自社で情報資産を設置し運用管理する「オンプレミス」と呼ばれるスタイルが主流でした。

クラウドサービスのメリットが注目され、2019年頃までに徐々に利用が広まったものの、全社的にクラウドを利用する企業は4割弱と言われていました。

ところが、2020年からの新型コロナウイルス感染の急拡大によってテレワークを余儀なくされ、社外から業務を行うにあたり、クラウドへの移行がさらに加速しています。また、官公庁においても、デジタル庁の創設などデジタル化を推進しようという流れが拡大傾向にあり、間違いなくクラウド活用が加速すると思われます。

坂本:クラウド化の現状について質問です。スライドの2019年頃の図で「全社的にクラウド利用する企業の割合が40パーセント弱」と書かれています。企業のすべてのシステムをクラウド化した割合でしょうか? それともオンプレミスは残し、一部可能なものからクラウド化していった数字なのでしょうか?

岡崎:結論から言うと、すべてのシステムをクラウドに移行したわけではありません。例えば、メール等の全社のコミュニケーションインフラだけをクラウド化したが、業務系のシステムはまだオンプレで利用しているといった会社の比率も、この40パーセントに入っています。

坂本:ということは、将来的なクラウド化の需要は、もっと企業に残っているというイメージで正しいでしょうか?

岡崎:おっしゃるとおりです。もちろん我々にとってもその残り60パーセントはオポチュニティですし、先ほどお話しした40パーセントの企業についても、まだまだ深掘りする余地が残っていると考えています。

なぜ「クラウド」に「セキュリティ」は重要なのか

岡崎:一方で、クラウドサービスには課題もあります。データがクラウドサービスの提供者側に保管されていることや、インターネット環境を介してデータなどがやり取りされることから、十分なセキュリティ対策が施されていることが重要になります。

昨今、インターネットを通じて悪意のある人間がウイルスを送りつけたり、政府や企業のシステムに不正にアクセスを行ったりという事件が増えています。これにより、サーバーやシステムが停止したり、ホームページが改ざんされたり、重要情報が盗み取られたりする可能性があります。

当社ではスライド右の写真のように、セキュリティ監視サービスを専門に行うスペースを設け、お客さまのセキュリティ支援を行っています。クラウドが広まると、当然ながらセキュリティ対策も必要となります。両者は車の両輪のように切り離せないものとして、需要は同時に拡大するものと考えています。以上、当社が「クラウド」と「セキュリティ」に注力する理由や背景をご覧いただきました。

当社の強み:クラウド

岡崎:続いて、「クラウド」と「セキュリティ」の当社の強みについて具体的に見ていきます。いくつかのクラウドサービス提供者がいますが、当社は特にマイクロソフト社のクラウドに関して知見や強みを持っています。

「クラウド」という言葉が出てきて間もなく、まだ一般には知られていない時期である2009年から、マイクロソフト社のクラウドビジネスを取り扱い、サービスを開始してきました。先端技術をいち早く手掛けていたために、早くから実績を積み上げることができました。

クラウドが徐々に浸透して、大企業や官公庁が導入し始めようとした時に、多くの実績や事例がある当社にお声掛けいただき、その結果、導入実績としては約1,100社を超える規模となりました。

これらの結果、クラウドソリューションを扱うパートナーとして、マイクロソフト社からクラウドに関する5分野における実績を認定されています。また、世界のパートナーの中から導入実績や先進的な取り組みを評価され、8年連続でアワードを受賞しています。

坂本:クラウドを持っている会社は、だいたいAmazonかマイクロソフト社の2社から導入するかたちになっていると思います。もともと阿多社長のバックボーンがあったとは思いますが、マイクロソフト社が御社を選択された経緯を教えてください。

また、Amazonとマイクロソフト社の性能の違いはありますか? 例えば、この業種なら「AWS」を使い、この業種なら「Azure」を使うというような、ユーザーや業種による嗜好の違いはありますか?

岡崎:当社は、主にいわゆるエンタープライズ企業に向けて活動していますが、それらの企業の多くはマイクロソフト社の「Office 365」を導入しているケースが多いです。そのような意味でも、マイクロソフト社製品に対する信頼感やその親和性が非常に高いという理由があります。

また、企業へのアプローチでも、大手のSIerがたくさん入られている、いわゆる基幹システムといったところはなかなか競争が厳しい面があります。

坂本:おっしゃるとおり、動かすのもなかなか難しいと思います。

岡崎:メールや「Teams」といったコミュニケーションインフラの領域から、弊社はアプローチすることが多いです。そうした意味でも、そこに強みを持っているマイクロソフト社のクラウドというところをメインにしています。

また、業種によってどちらを好むかについては、もちろんすべての業種についてヒアリングしたわけではありませんが、好みの傾向はあまりないと感じています。

当社の強み:セキュリティ

岡崎:続いては、セキュリティに関する強みです。セキュリティは、監視を中心に大手の通信キャリア、自治体、製造業、建設業などへのセキュリティサービス提供実績があります。

また、セキュリティアナリストによる経験と知識を基にしたAIで、セキュリティログの分析を行っています。世界各国のパートナーから、こうした導入実績や取り組みを評価され、多数の外部表彰を受賞しています。

顧客別売上高

岡崎:阿多の社長就任から現在まで、当社の強みをもとに売上の伸びを牽引した要因について、顧客別にスライドにお示ししています。

2012年から現在までで、注力事業であるクラウドおよびセキュリティを提供してきました。ソフトバンク各社向けには約3倍、法人や官公庁・自治体といった公許のお客さまに向けた売上は約4倍に成長しています。注力事業を定めて顧客基盤を拡大してきたことが、現在の成長へつながっていると言えます。

坂本:ありがとうございます。ソフトバンク向けの仕事が約3倍というお話をされていますが、ソフトバンク向けの仕事にはどのようなものがありますか?

岡崎:従来から、IT運用やアプリ開発などはもちろん行っていました。近年出てきているのが、ベンダーマネジメントという領域の仕事です。

ソフトバンクは数千人の外部パートナーに協力いただきながら、いろいろな開発を行っています。ベンダーマネジメントとは、ソフトバンク側が行っていたパートナー企業の管理を我々が代わりに行うという仕事になります。

これによって、ソフトバンク側にも我々にもメリットが生じます。まず、ソフトバンク側のメリットとして、ベンダー管理業務には時間も工数もかかっていましたが、その時間に担当者が新規事業のIT開発などの分野に向かえるようになりました。

我々にとっても、パートナーの数が物理的に増えるため、交渉力が上がり、仕事もたくさん受注できます。かつ効率化も進めやすくなる効果があります。

一方で、外部のパートナーさまにとっても、ソフトバンクの仕事だけを行うのに比べ、我々が得意としているクラウドやセキュリティの仕事も入ってくるため、先端技術に関与できますので、誰もがハッピーになる仕事だと感じています。

主なお客様

岡崎:この強みをどこに対して発揮しているのかということで、主なお客様をスライドで具体的にご紹介しています。

当社は、年商数千億円以上のグローバル製造業や、建設業を中心とした大手企業、ソフトバンクおよびソフトバンクグループ企業、また官公庁や地方自治体に向けてサービスを提供しています。

SBTのクラウド構築(官公庁)

岡崎:先ほど、法人向けのビジネスが2012年から約4倍とお話ししましたが、そのうち官公庁ビジネスは昨年から2倍になる見込みです。デジタル庁も創設されたことで、今後ますますIT需要が高まると考えられる、官公庁・自治体向けのビジネスについてご紹介します。

当社の官公庁向けのビジネスは、2015年から農林水産省のデジタル化に携わったところからスタートしています。2015年に「全国農地ナビ」という日本全国の農地情報を検索できるシステムを構築しました。

2016年には「全国農地ナビ」のデータをもとに、農地の利活用の活性化サービスができるシステム「農地の窓口」を開発しました。さらに2020年には、「農林水産省における申請のデジタル化、1号案件」と呼ばれている、電子申請を構築しました。

ほかにも、厚生労働省や国土交通省での実績もあり、中央省庁のデジタル化を今後も支援していきたいと考えています。

自治体情報セキュリティクラウドへの取り組み

岡崎:また、本年度における当社の注力事業の1つに、総務省が推進している「自治体情報セキュリティクラウド」があります。これは、2015年の5月に発覚した日本年金機構へのサイバー攻撃による情報流出を機に、総務省の要請で検討が開始されたものです。

2015年の12月に、総務省は新たな自治体情報セキュリティ対策の抜本的強化策を発表して、対策に510億円程度をかけたと言われています。

当社は、この取り組みがスタートした2016年に、4県121市町の自治体情報セキュリティクラウドを受注・構築し、現在も運用を行っています。ちなみに4県からの受注は、1企業としては最多の実績です。

2022年より始まる『次期自治体情報セキュリティクラウド』

岡崎:2016年から2017年に構築された現行の仕組みが、現在、更新の時期を迎えています。現行のセキュリティクラウドでは、短期間で自治体における情報セキュリティ対策を抜本的に強化することができた一方で、要件検討を自治体ごとに行ったために、セキュリティレベルに差が出てしまっています。

また、行政手続きの電子化やテレワークといった働き方改革などの新たな時代への対応も求められるようになってきています。このような背景から、次期の自治体情報セキュリティクラウドは、標準要件(最低限満たすべき事項)を国が提示することになります。それらの標準要件に加えて、自治体ごとにオプション機能を自由に選択できることも求められています。

次期自治体情報セキュリティクラウドへの取り組み(FY21注力)

岡崎:先ほど、当社は現行システムを4県から受注したとお伝えしました。この4県のシステム構築や、4年間の運用で蓄積した知見とノウハウを活用し、総務省の必須要件を満たすサービス型の自治体情報セキュリティクラウドの構築を、いち早く開始しました。

当社のサービスは総務省の要件を満たしているため、仕様書の作成や初期導入にかかる時間の短縮、コスト抑制が実現できます。加えて、クラウドを活用したサービス型業務システムの標準化や共通化、エリアを問わない共同調達への対応が可能です。

このような取り組みの結果、東北・新潟合わせて7県の自治体情報セキュリティクラウドサービスを落札しました。前回の4県も最多でしたが、今回はすでに7県で落札となりました。今後もさらに幅広い自治体への提供を目指して活動を進めていきます。

坂本:中央官庁や県などのお仕事は、「ある程度セキュリティを標準化しなさい」という方向性で増えてきたとお話しされていたのですが、この先、東北以外にも引き合いと言いますか、入札も控えている状況でしょうか?

岡崎:先ほどお伝えした共通申請サービスについても、当初は10億円くらいの規模でしたが、その後の運用や、さらなる開発の部分で約40億円、周辺のデジタル地図関連で10億円、さらに昨年度末に50億円の受注がありました。

次期自治体情報セキュリティクラウドについても、今後さらに多くの地方自治体、各都道府県への入札が待っています。引き続き多くの受注が獲得できるように進めていきたいと考えています。

坂本:50億円となると、御社の売上評価から見ると非常に大きな案件になりますよね。

岡崎:おっしゃるとおりです。

坂本:それが積み上がっていくと面白いと思い、質問を伺ってみました。

成長の方向性

岡崎:新型コロナウイルスによって急激にさまざまな変化が起こりましたが、当社は1次・2次中期経営計画を通じて、その時の状況の先を見据えて変化してきました。冒頭にお伝えしたとおり、阿多の就任前はEC販売やICT機器販売をメインに安定的な事業運営を行っていました。

阿多の就任後、1次・2次中期経営計画において新規案件はクラウド関連ビジネスのみに絞り、必須のセキュリティ対策に関しても運用・監視サービスを開始するなど、クラウドとセキュリティ事業に特化していきました。

今後は、クラウドセキュリティ事業で培ったノウハウ等を活用して自社サービスを展開し、ストック型ビジネスの拡大で利益率改善や事業規模の拡大を図りたいと考えています。

第3次中期経営計画 豊かな情報化社会の実現

岡崎:繰り返しお伝えするかたちとなりますが、当社はクラウドセキュリティに関する知見とノウハウをもとにお客さまのデジタル化をさらに支援していきたいと考えています。そしてお客さまのデジタル化を通じ、豊かな情報化社会の実現に貢献していきます。

第3次中期経営計画におけるFY21経営目標

岡崎:数値目標および株主還元についてご説明します。2019年度から2021年度の3ヶ年が第3次中期経営計画の期間です。スライドに記載のとおり、最終年度にあたる今年度の経営指標に3つのことを掲げています。営業利益43億円と、当社の主力事業のビジネスITとコーポレートITの売上高構成比率50パーセント達成、それからROEの13パーセント達成です。

ROEについては前期で14パーセントとすでに数値目標を達成していますが、今期もその水準を継続して達成することを目指しています。これら3つの経営指標をすべて達成すべく、まい進しているところです。

配当方針/株主還元

岡崎:スライド33ページは配当方針と株主還元についてです。当社グループは、株主のみなさまの利益を重要な経営方針の1つと位置付け、安定的かつ継続的な配当を実施する方針です。業績が順調に伸びているため、2019年3月期から3期連続で増配を行いました。また、2020年3月期から中間配当を実施するなど、株主のみなさまへの利益還元の充実を図っています。

坂本:これについて質問です。配当性向について理論上、足元で33パーセントくらいですが、これを基準にするのか、あるいは今後もう少し配当性向を高くするのかについて聞かせてください。

ビジネス的観点だと積み上げていくビジネスであるため、現在の市場環境を考えると利益拡大が進み、あまり減益となることはイメージできません。しかし、仮に何らかの成長投資をされた場合、もう少し安定配当を意識するのか、あるいは配当性向を意識するのかという配当政策のイメージを教えてほしいです。ただ、いかなる場合でも減益額によるとは考えています。

岡崎:明確な配当性向の目標は、今の時点では特に定めていません。先ほどお伝えしたとおり、株主のみなさまの利益を重要な経営方針の1つに掲げているため、過去にも成長に応じて配当額を増やしてきました。今後も、この方向で進めていくつもりです。減益についてはあまりイメージできません。

坂本:おっしゃるとおりです。私も減益についてはあまりイメージできません。どちらを選択されるのか興味があったため、一応お伺いました。

岡崎:減益要因が短期的なものなのか、それとも長期におよぶ要因なのかによっても異なると思います。短期的な要因であれば配当額を意識しながら、一定の配当水準をキープしたいと考えています。

坂本:自社株買いも株主還元の1つだと思います。しかし御社が親会社であるため、自社株買いというより配当のイメージがあるのですが、その認識は正しいでしょうか?

岡崎:おっしゃるとおりです。昨日の株価終値が3,105円で、PERが24.2倍とPBRが3.4倍、時価総額が705億円強ですが、個人的には、特にPERがまだ低水準だと思います。

坂本:ありがとうございます。あの成長を考えると、もう少し株価が反応してもよいかもしれませんね。

岡崎:そのため、割安感のある株ではないかと考えています。

坂本:将来の事業展開と現状の足元についてご説明いただいたため、興味を抱く投資家もいると思います。

SBテクノロジーのまとめ

岡崎:本日お話ししたまとめをスライドにお示ししています。補足が1点あるのですが、みなさまご存知のとおり、2022年4月から東証の市場区分が再編されます。

現在は東証一部上場企業ですが、次の新市場区分ではプライム市場の基準に適合していると確認しています。説明は以上です。

質疑応答:セキュリティクラウドの競合他社について

坂本:お話しされたことに関する質問が多いのですが、セキュリティクラウドについて、あらためて質問します。御社が最優秀社になったことで今後、実際の導入はかなり優位性を持って進められるだろうとおっしゃっていたのですが、本案件の競合他社とはどのような会社ですか?

岡崎:本件の競合としては大手のSIer企業ももちろんですが、いわゆる地元のシステムベンダーも競合相手です。そのため、当社の強みもきちんと発揮できるところで勝負していきたいと考えています。

質疑応答:「自社サービスの展開(人員によらない拡大)」について

八木:スライド30ページの内容について、会場から質問がありました。今後の成長性のところでお話ししていた「自社サービスの展開(人員によらない拡大)」について、さらに詳しく教えてくださいとのことです。

岡崎:スライドにもブランド名が書いてありますが、ここで述べた自社サービスとは、「clouXion(クラウジョン)」というクラウドの環境下で、コミュニケーションツールを含めてよりよく使えるようにするものと、建設業界を含め数多くの建設現場でIT管理を行いやすくするサービスを指します。

SIerとしては受注が取れれば取れるほど、どうしてもシステム開発技術者の数も増やさなければなりません。自社サービスは、どちらかというと先行投資型で、最初に出費してシステムを作っておけば、そのサービスが役に立つお客さまに展開できるというストック型のサービスビジネスとなります。

「人員によらない拡大」とは、今後SIerをやめるということではなく、SIerのポーションを増やしながら進めるということです。

坂本:バリエーションを増やしていくということですよね。

岡崎:おっしゃるとおりです。自社サービスも増やしながら拡大していきたいと考えています。

坂本:そのように考えると、先行投資がかかるものも拡販できるとけっこうな利益率になります。昔のパッケージソフトではありませんが、そこをうまくつないだり、個別のサービスを行ったりするイメージですよね。

岡崎:おっしゃるとおりです。SIerとして各業界に入り込むことで、各社が共通で持つ悩みを知識としてかなり得られたため、業界全体にはまるようなサービスを構築していきたいと考えています。

質疑応答:採用状況について

八木:人員によらない拡大ということですが、開発には優秀な人材を採用することがキーポイントになってくると思います。現在の採用状況はいかがですか?

岡崎:正直なところ、苦労しています。

八木:どの会社さまもそのようにおっしゃる方が多いですよね。

岡崎:ただ、先ほどもお伝えしたとおり、当社は業務が多岐にわたっていることが強みですので、SIerだけではなくサービスプロバイダーも増やしていこうと考えています。

そのような広い視野を持って仕事ができる点で、他社と比べてより興味を持っていただける機会が増やせるのではないかと思います。そこを強みとしてアピールしながら一生懸命に採用活動を行っていますが、環境としては難しいです。

質疑応答:M&Aの可能性について

坂本:事業規模を拡大する過程でM&Aも選択されてきたと思います。今後いろいろなことに取り組まれる中で足りないパーツに対するM&Aなどの可能性はありますか? グループ企業さまからも話が来るかもしれませんが、ある程度案件があればM&Aは継続と考えてよいでしょうか? それとも、現在はある程度落ち着いたのでしょうか?

岡崎:M&Aについては常に検討しています。おっしゃるとおり、これからサービスプロバイダーになるにあたり、足りない技術やマーケティング要素を強化していかなければならない点など、今までの当社に足りない分野がいくつかありますので、そのようなところをスピード感をもって進めるには、M&Aも有効な手段だと考えています。

記事提供:ログミーファイナンス

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