定年退職したあとの生活をイメージされたことはあるでしょうか。世帯状況によっては、家族が独立し、生活費も少なくなるだろうと考える方も多いかもしれません。

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、2020年の二人以上の世帯(平均世帯人員2.95人,世帯主の平均年齢59.7歳)の消費支出は,1世帯当たり1か月平均27万7926円です。

これらのことも踏まえると、定年退職後に厚生年金を月額30万円以上受け取ることができれば、安定的な老後生活を過ごせそうと感じる方は多いのではないでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまからお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ今回は、厚生年金の30万円以上受給者の割合についてみていきながら、老後のお金事情についてお話していきたいと思います。

厚生年金の平均額はいくら?

まずは、厚生年金の全体平均の受給額から見ていきましょう。厚生労働省年金局が2020年12月に公表した「令和元年(2019年)度厚生年金・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給額の月額は下記の通りです。

厚生年金保険(第1号)平均年金月額

14万4268円(うち男性16万4770円・女性10万3159円)
※厚生年金保険(第1号)の平均年金月額には老齢基礎年金月額が含まれます。

厚生年金の受給額は男性のほうが約6万円多く、男女差があることがわかります。

厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務していたか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額に大きく影響するのです。

よって、結婚や出産・育児などで家庭に入る可能性の高い女性の受給額が低くなっていると考えられます。

平均値を見る限り、「月額30万円以上」を受け取る人を「高額受給者」と呼べることは間違いないでしょう。

では、厚生年金を「月額30万円以上」を受け取る人は、どのくらいいるのでしょうか。次で見ていきます。

厚生年金「月額30万円以上」は1%未満!

では、「月額30万円以上」年金を受給できる人はどれくらいいるのでしょうか。同調査から厚生年金受給額の分布を見ていきましょう。

厚生年金 年金月額階級別老齢年金受給権者数(男性)

  • ~5万円未満…15万977人
  • 5万円以上~10万円未満…97万6724人
  • 10万円以上~15万円未満…261万3866人
  • 15万円以上~20万円未満…436万9884人
  • 20万円以上~25万円未満…224万9128人
  • 25万円以上~30万円未満…28万8776人
  • 30万円以上…1万7626人

合計…1066万6981人

厚生年金 年金月額階級別老齢年金受給権者数(女性)

  • ~5万円未満…31万5100人
  • 5万円以上~10万円未満…234万1321人
  • 10万円以上~15万円未満…218万2510人
  • 15万円以上~20万円未満…41万2963人
  • 20万円以上~25万円未満…6万3539人
  • 25万円以上~30万円未満…4166人
  • 30万円以上…379人

合計…531万9978人

「月額30万円以上」の年金受給者の割合は、男性で全体の約0.17%、女性は全体の約0.007%と、ごくごく一部の人に限られていることがわかります。

ゆとりある老後の生活を年金収入だけに頼るのは、難しそうかもしれませんね。

「老後のお金」を考える

退職後のセカンドライフは、時間に縛られることがなく自由な時間も増えることになるでしょう。

そうなると、今までできなかった趣味や旅行など自身への投資(出費)だけでなく、世帯の状況によっては子供の結婚や孫の誕生など、新たなライフイベントによる出費も考えておかなければなりません。

最近では、新型コロナウイルスの影響もあり、自宅で過ごす時間が増えたという人も多いかと思います。

そんな、いまだからこそ「老後のお金」について、考えてみてはいかがでしょうか。

まずは、将来受け取れる年金額を確認してみることから始めてみてもよいかもしれません。

そこから、老後にやりたいことを達成するためには、いくら必要になるかを考えてみると、「今から準備すべき資金(老後のお金)」が算出されます。

「時間」を味方につける

お金を増やすためには、時間が必要となります。準備すべき資金の大きさによっては、効率よくお金を増やしていくこと、すなわち資産運用が必要となるかもしれませんね。

資産運用に対して、「難しそう」「リスクが怖い」といったイメージをお持ちのために、なかなか踏み出せないという方もいらっしゃるでしょう。

一般的に、資産運用は運用期間が長くなるほど、リスクが軽減しリターンが安定してきますので、早めのスタートがポイントです。

老後の自由な時間を満喫するためにも、今から資産運用のはじめの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

参考資料