富士電機の2021年4~6月期決算で、半導体事業(半導体+ディスク媒体ほか)の売上高は前年同期比27%増の445億円、営業利益は同2.1倍の56億円となった。増産や研究開発の費用が増加したものの、電気自動車(xEV)向けと産業分野向けのパワー半導体の需要拡大が牽引した。

先行受注などで供給追い付かず

 半導体の売上高は同38%増の382億円で、内訳は産業用が同20%増の218億円、電装用が同73%増の164億円となった。脱炭素への加速を受け、パワー半導体市場が計画を上回って拡大しており、21年4~6月期の受注は産業向けがFA用の増加で同35%増、電装用がxEV用の増加で同72%増とそれぞれ大きく伸びた。

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 21年4~6月期は先行受注もあって、パワー半導体の需要は非常に強く、供給が追い付いていない状況。21年7~9月期以降も対前年で受注増を見込んでおり、売上高も2桁増を見込む。

 また、ディスク媒体(ハードディスク用磁気記録媒体)では、顧客の方針転換で需要がなくなることが確定したため、整理・撤退することを決めた。7月で生産を終了し、受注残分を納入していく予定だが、マレーシア工場でディスク媒体を生産しているクリーンルームを半導体へ転用し、前工程・後工程の両方で生産能力増強を図ることを決定した。これによりディスク媒体の売り上げと営業利益にマイナスの影響が出るが、好調なパワー半導体でカバーしていく。

SiCパワー半導体にも期待

 21年度の設備投資額は410億円を計画しており、前工程では主に富士電機津軽セミコンダクタに充て、下期から8インチで量産を開始する。22年度も津軽を中心に増産する予定で、23年度以降はマレーシアを含めて増産する計画だ。

 また、シリコン300mmウエハーとSiC(シリコンカーバイド)を用いたパワー半導体の量産化を進めるなか、当初の想定以上にSiCパワー半導体の需要が早く立ち上がる見通し。EUが2035年までに内燃機関車の新車販売を事実上禁止する方針を打ち出し、これにハイブリッド車も含まれる見込みであることから、今後はEVの需要が大きく伸びる見通しになったため。これに伴い、SiCパワー半導体の需要が立ち上がってくる時期が、従来想定の25年より半年~1年程度前倒しになるとみており、同社では自動車向けに6インチでの増産を視野に入れていく考えだ。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏