年末相場は引き続き強い展開が続いています。最近では、トランプ相場の持続性に加えて、いずれバブルに向かうのかという議論すら見られるようになってきました。金ピカのトランプタワーが頻繁に映し出されると、そうした“好景気再来”への夢が広がりますが、実際にはどうなるのでしょうか。今回は以下の3つの記事から考えてみたいと思います。
米新政権がドル高政策を取るかがカギに
ところで、バブル期がどの時代を指すのかは人によって様々です。27年前の1989年12月末に日経平均株価が3万8,915円の最高値を記録した「平成バブル」を思い出す方も多いと思いますが、筆者の場合は2000年の「ITバブル」が強く印象に残っています。
たとえば、富士通(6702)の株価は5,030円(2016年12月7日の終値は673円)まで上昇し、外資系投資銀行のオフサイトと呼ばれる社外での会議はマイアミのビーチで行われていた、そんな時代です。
また、そこまで遡らなくても、「リーマン前、リーマン後」という言い方があるように、米国での住宅バブルや中国の急速な経済発展などを背景にした2003年から2008年までの好景気も記憶に新しいところです。この“バブル”は言うまでもなく、2008年9月に起こった金融危機で終息しました。
では、果たして日本の株式市場はこれから”バブル”へ向かうのでしょうか。この問いへの直接的な答えではないものの、以下の記事は、これから円安が進むのか、あるいは円高に逆戻りするのかという両極のシナリオを解説した興味深い内容です。
この記事では、米国が緊縮財政と金融引き締めの組み合わせでドル高政策(=円安容認)を取るのであれば、米国景気の拡大が持続することが示唆されています。
もちろん、トランプ新政権が国益を守るためにドル高是正に動くリスクは残ることや、ドル高政策はドイツや日本を除くと米国以外の海外経済にマイナスになるリスクには注意が必要です。
しかし、この局面でのドル高政策は、ITバブルが起きたクリントン政権(2期目)のルービノミクスに重なるため、そうした動きが実際に起きるかどうか注視したいと思います。もしそうなれば、やはり”バブルへGO!”になるのではないでしょうか。
2017年の上値余地は2万円超
2016年12月の米国株式市場は、トランプ新政権の誕生を前にリフレ期待が台頭し、債券売りと株式買いというグレートローテーションによる株高が続いています。
また、日本株についても、海外の投資家からは「世界の景気敏感株」と見られていることもあり、世界的なリスクオンの流れと日米金利差拡大を背景にした円安の進展により、外国人買いをサポートに上昇トレンドが続いています。
では、2017年はどうなるのでしょうか。この記事では、「業績見通し改善とバリュエーション向上で、新年(2017年)を視野に入れた日経平均の上値余地は2万円超へ」という分析が詳細に行われています。
また、1981年のレーガノミクス当時の株価の動きと、現在の経済環境の違いについても言及されていますので、来年の相場について頭の体操を行いたい方はぜひ参考にしてみてください。
欧州問題は深刻だが対処可能
2017年を考える時、アメリカについては新政権による政策の全貌がまだ明らかになっていないという不透明感が残るものの、経済のファンダメンタルズ自体は堅調に回復しているということがほぼコンセンサスになっています。また、欧州には不良債権問題という大きな重しが依然として残っているのも、専門家の共通見解であると思います。
そうした観点で、12月4日に行われたイタリアの国民投票は大きな注目を集めていましたが、与党敗北、首相辞任という結果にもかかわらず、世界の金融市場への影響は拍子抜けするほど軽微なものに留まりました。
とはいえ、欧州が深刻な問題を抱えていることに変わりはありません。このため、欧州の状況については今回のような政治イベントが過ぎた後も引き続き注視していく必要があると思われます。
なお、この記事によると「欧州中央銀行(ECB)など当局にサポートの準備が見られ、不良債権に苦しむイタリアの銀行も処理の具体策を進めている」ことから、事態は深刻ながら対応は可能という指摘が述べられています。こうしたことも頭に入れながら、仮に欧州の不良債権問題でマーケットが大きく下落した場合に備えたいと思います。
出所:話題のイタリア、問題はどこにあるのか(ピクテ投信投資顧問)
LIMO編集部