一方、キリンは2月、ミャンマーのクーデターを巡って国軍への非難が高まるなか、国軍系企業との合弁解消を突如発表。カゴメも4月、新疆ウイグル産トマトの輸入を停止することを明らかにした。
日本企業は「経済安全保障」にどう対処するか
現在、ミャンマーの事例でもウイグルの事例でも、日本は欧米と共同歩調を取っているわけではない。
企業人の中にはリスク回避の立場から、このまま日本は静観的な立場を維持するべきだと思う人もいるだろう。当然ながら、日本が欧米的な立場を鮮明にすると、日中経済の間で摩擦が大きくなることが予想される。
しかし、現在、欧米と日系企業の間では間接的だが経済的な摩擦が生じている。ユニクロのケースはその典型的なもので、日本企業と決して対立軸にはないところから経済的な障害が生じている。
この間接的な影響が肥大化する可能性は高くはないが、主要国が経済安全保障を重視していくなか、日本企業は多角的な視点から想定される影響を事前に考える必要があろう。
和田 大樹