しばしば話題となる、国民年金と厚生年金の「受給額格差」についての話はいったんおいておき…。一例として、ほとんどの方が年金生活に入っていると考えられる「70代前半世帯」の年金額を見てみましょう。
「会社員の夫と専業主婦の妻」の二人世帯であれば、月の平均年金額はおよそ20万円です。単身世帯であれば、平均15万円弱、ということになりますね。
これはあくまでも上記の平均年金額を単純に足し算したものです。実際の年金受給事情は、世帯によって大きな差がありますので、あくまでもご参考程度にお考えください。
では、実際の「老後の生活」には、どのくらいお金がかかりそうでしょうか。引き続き同調査の結果より、いまどきのシニアの実感を見ていきましょう。
いくらかかる?「老後の生活費」
いまどきのシニア世代がどのくらい年金額を受け取っているかを眺めたあとは、老後の生活に必要となるお金についても触れていきます。
同調査では、「老後のひと月当たり生活費」と「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」についてもたずねています。世代ごとの結果を見てみましょう。
ひと月あたりの最低生活費
60歳代:28万円
70歳以上:31万円
年金支給時に最低準備しておく金融資産残高
60歳代:2027万円
70歳以上:1954万円
上記はシニア世代の実感を表すものですが、現役世代が「予想する金額」も見てみましょう。
30歳代・40歳代が予想する「ひと月あたりの必要最低生活費」は、30歳代・40歳代で24万円。50歳代で30万円です。
また、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」については、30歳代で2293万円、40歳代で2354万円、50歳代で2325万円となっています。
リタイヤまで比較的時間のある世代には、まだ「老後の毎月の生活費」を具体的にイメージするのは難しいかもしれません。しかし、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は、30歳代から50歳代まで、いずれも2300万円前後です。
2019年に話題となった「老後2000万円問題」がこの背景にあることは確かであるといえそうです。長期化するコロナ禍、将来への「備え」に対する意識は、世代を超えて共通するもの、と考えてよいかもしれませんね。