長引くコロナ禍。先行きの見通しが立ちにくい今、はたらき盛りの現役世代の多くが、将来に対する漠然とした不安を抱えているはずです。
還暦過ぎの生活についても「年金だけで悠々自適に暮らそう」という発想から、「公的年金だけでは不安…。老後資金はしっかり貯めておこう」「元気なうちは働き続けよう」という発想にシフトする傾向があるように思えますね。
そこで、すでに年金生活に入っているシニア世代のみなさんの「お金事情」をちょっと覗いてみましょう。年金をどのくらいもらっているのか、生活費はどのくらい必要なのか…。
筆者を含めた現役世代のみんなが、ちょっと知りたい「老後の暮らし」。いまの、リアルなすがたを数字で見ていきます。
【年齢層別】国民年金・厚生年金「みんな、どのくらいもらってる?」
さいしょに、60代以上の年金の受給額を、厚生労働省の「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(2019年度)」から抜粋していきます。今回は、年齢層ごとの平均年金月額をとりあげます。
国民年金の平均年金月額
60~64歳:4万2023円
65~69歳:5万7108円
70~74歳:5万6697円
75~79歳:5万5922円
80~84歳:5万6572円
85~89歳:5万5175円
90歳以上:4万9232円
厚生年金の平均年金月額
60~64歳:8万1279円
65~69歳:14万2764円
70~74歳:14万6421円
75~79歳:15万1963円
80~84歳:16万575円
85~89歳:16万3489円
90歳以上:16万1044円
※厚生年金の金額は国民年金の年金月額を含みます。
しばしば話題となる、国民年金と厚生年金の「受給額格差」についての話はいったんおいておき…。一例として、ほとんどの方が年金生活に入っていると考えられる「70代前半世帯」の年金額を見てみましょう。
「会社員の夫と専業主婦の妻」の二人世帯であれば、月の平均年金額はおよそ20万円です。単身世帯であれば、平均15万円弱、ということになりますね。
これはあくまでも上記の平均年金額を単純に足し算したものです。実際の年金受給事情は、世帯によって大きな差がありますので、あくまでもご参考程度にお考えください。
では、実際の「老後の生活」には、どのくらいお金がかかりそうでしょうか。引き続き同調査の結果より、いまどきのシニアの実感を見ていきましょう。
いくらかかる?「老後の生活費」
いまどきのシニア世代がどのくらい年金額を受け取っているかを眺めたあとは、老後の生活に必要となるお金についても触れていきます。
同調査では、「老後のひと月当たり生活費」と「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」についてもたずねています。世代ごとの結果を見てみましょう。
ひと月あたりの最低生活費
60歳代:28万円
70歳以上:31万円
年金支給時に最低準備しておく金融資産残高
60歳代:2027万円
70歳以上:1954万円
上記はシニア世代の実感を表すものですが、現役世代が「予想する金額」も見てみましょう。
30歳代・40歳代が予想する「ひと月あたりの必要最低生活費」は、30歳代・40歳代で24万円。50歳代で30万円です。
また、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」については、30歳代で2293万円、40歳代で2354万円、50歳代で2325万円となっています。
リタイヤまで比較的時間のある世代には、まだ「老後の毎月の生活費」を具体的にイメージするのは難しいかもしれません。しかし、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は、30歳代から50歳代まで、いずれも2300万円前後です。
2019年に話題となった「老後2000万円問題」がこの背景にあることは確かであるといえそうです。長期化するコロナ禍、将来への「備え」に対する意識は、世代を超えて共通するもの、と考えてよいかもしれませんね。
老後に向けた「お金の準備」
日常の生活費は、ライフスタイルや家族構成、さらには健康状態など、さまざまな要因の影響を受けますので、当然、世帯によってさまざまです。
「我が家の貯蓄状況で、老後は大丈夫だろうか」
そんな不安が頭をよぎったときは、ぜひ、今後の「収入」と「支出」の予定を書き出してみましょう。ざっくりで構いません。そして、老後、とりわけ「年金受給スタート」までに目標金額を貯めるためには、今の貯蓄ペースでよさそうか、検討されることをお勧めします。
いずれにせよ、老後は「公的年金収入のみ」で生活していくことを前提に考えると、ほとんどの世帯で、不足分をご自身の貯蓄でまかなう必要があると考えられます。
「備えあれば、憂いなし」
ぜひ、若いうちからコツコツと準備していきたいものですね。
安心できる「年金生活」のために、できること
今日は、シニア世代の年金事情を眺めたあと、老後の生活費についても考えてみました。
「人生100年時代」を目前に控えたいま。老後の早い段階で貯蓄が尽きてしまう事態は避けたいものです。
これからの長寿時代に生きる私たちには、自分自身の健康寿命とセットで、「資産寿命」を延ばすという発想が求められているのかもしれません。
バランスよく資産を持ち、増やしていくために、老後を見据えた資産形成はできるだけ早めのスタートをお勧めします。
預貯金や投資信託、保険商品などを上手に組み合わせたポートフォリオは、安心とゆとりの老後を支える一つの柱となるでしょう。
貯蓄スタイルの見直しや金融商品の選び方で、迷ったり困ったりしたことはありませんか?そんな場合は、「お金のプロ」のアドバイスを受けてみるのもおススメです。
参考資料
- 厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年調査結果」
- 熊谷良子(LIMO)「「年金・貯金の平均は?」いまどき70代のお金事情」
鶴田 綾
