「老後資金」はどのくらい必要なのか

先述の「毎月4万3000円」の赤字分を、貯蓄の取り崩しで補うことを想定してみます。

必要な額を単純計算すると、

1年間で4万3000円×12カ月=51万6000円
20年間で1032万円

となります。

仮にこの条件で「60歳で退職した無職の夫婦が、ともに100歳まで生きる」ことを考えた場合、必要な老後資金はおおよそ2000万円となります。

生活スタイルや家族構成、健康状態などによって、老後に必要となる金額は変わってくるでしょう。

持ち家派であれば自宅の老朽化に備えて修繕費を用意しておく必要があります。また、健康状態しだいで介護や通院にかかる費用が発生します。

交通の便が悪いところにお住まいであればタクシーを使うこともあるでしょう。また、家事分担をするパートナーや家族がいない場合は、比較的早い段階で家事をアウトソーシングする必要があるかもしれません。

さらに、いわゆる「孫費用」や、趣味や友人とのお付き合いのためのお金も必要経費としてプールしておきたい、という方も多いかと思います。

50代、そろそろ老後が見え始めてきたな…というみなさんは、現在のライフスタイル、そして「ご自身が過ごしたいセカンドライフ」の青写真を描いてみてもよいですね。

「元気なうちは細く長く働き続ける」「現役時代がんばったぶん、定年退職後はのんびり過ごしたい」

それぞれのライフプランを立て、年金生活が始まるまでに安心できる老後資金を準備しておきたいものです。

そこで、次では70代の貯蓄事情についてみていきたいと思います。今の70代以上のみなさんが、どのくらいの貯蓄を保有し、どのように管理されているかを見ていきます。