とはいえ、子ども本人が勉強した単元を理解し、覚えているかどうかは別問題です。さらに時間的な余裕がなかった分、本来の目玉である英語やプログラミング教育が十分に行き届かなかったのではないかと、多くの親が考えるのは自然なことでしょう。

2020年度からの教育改革への期待値が高かった分、コロナ禍で翻弄された反動もあり「本当に当初の予定通り行われたのか」という不安の声が大きくなるのは無理もないことです。

学校外での学習機会の格差が広がる懸念

2020年度から始まったプログラミング教育は、専門の教科が追加されたわけではありません。既存の教科にプログラミング的な要素、すなわち思考力を鍛えるような内容で授業を実施するということになっています。

学校のパソコン室で授業を行うことはありますが、「アプリを作る」「ロボットを動かす」という、いわゆる習い事のプログラミング教室と同じようなことは多くの公立学校では実施されていません。

一方、英語に関してはスピーキングやリスニング中心で小学5年生から教科として扱われ、成績がつけられます。

小学校低学年では本格的な英語教育が行われるわけではありませんが、ひと昔前に比べて学校外で英語を学ぶ環境も整ってきています。たとえば全国に教室のある公文や学研に通ったり、あるいはタブレット端末でも小学校入学前から英語を学ぶことができます。

こうして以前よりも英語を学ぶ敷居が低くなったため、「小学校で英語が始まるから早めに習わせる」という家庭が増えても何ら不思議ではありません。学校での教育改革に合わせるように学校外での学びの機会を増やす家庭もあれば、そうでない家庭もある、というような分断も起きるでしょう。