70代。多くの方がリタイヤ後のゆったりした生活を送られている時期ではないかと思います。とはいえ、就労による定期的な収入がなくなり、健康面の問題が生じる、といった不安要素も増える世代ともいえますね。

そんな70代にとって、「貯蓄額」は、安心した老後生活を支えるたいせつなものであるといえるでしょう。

日本のシルバーエイジは「お金持ち」というイメージを持つ人は少なくないかもしれませんが、実際のところはいかに。

今回は、とりわけ70代以上世帯の現状にフォーカスしつつ、高齢者層全体の貯蓄事情を深掘りしていきます。

そもそも「貯蓄」とは?

総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説によると、貯蓄とは、

ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。

なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。

とあります。

つまり「貯蓄額」とは、「預貯金以外の金融資産」も含まれているわけです。次では、シニア世代の金融資産事情を、さらに深掘りしていきます。

60代以上リタイヤ世帯の貯蓄事情

最初に「60歳以上・無職高齢者」というくくりで、シルバー世代の貯蓄事情をながめていきます。

60歳以上・無職世帯の貯蓄額

先述の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2019年(令和元年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、高齢(60歳以上)無職世帯の貯蓄現在高は以下のように、4年連続減少しています。

  • 2014年・・・2372万円
  • 2015年・・・2430万円
  • 2016年・・・2363万円
  • 2017年・・・2348万円
  • 2018年・・・2280万円
  • 2019年・・・2244万円

2019年の貯蓄現在高である「2244万円」の内訳は以下の通りです。

高齢無職世帯の貯蓄の種類別貯蓄現在高(二人以上の世帯)

金融機関

  • 通貨性預貯金・・・552万円(24.6%)
  • 定期性預貯金・・・948万円(42.2%)
  • 生命保険など・・・374万円(16.7%)
  • 有価証券・・・361万円(16.1%)

金融機関外・・・8万円(0.4%)

【解説】貯蓄の種類について

「通貨性預貯金」…自由に入出金可能な普通預金など
「定期性預貯金」…金融機関に一定期間預ける定期預金など
「生命保険など」…生命保険会社の養老保険やこども保険などで、掛け捨ての保険は含まない