コロナ沈静後の日本企業のビジネスリスク〜世界で何が起こり得るか

一方、中東やアフリカのイスラム過激派が活動する国・地域では、新型コロナウイルス問題の長期化によって政府の財政的負担が増え、兵士や警察官への給与低下や未払いが発生し、テロ対策に従事する兵士や警察官の士気が下がることが懸念されている。

また、コロナ対策などに軍や警察の時間が割かれ、過激派組織への対応が疎かになり、過激派勢力が自由に活動できる空間が拡大し、治安が悪化する恐れもある。

昨年来、頻発する抗議デモや暴動

一方、より身近なリスクとして抗議デモ(暴動)がある。去年、コロナ規制や大統領選を巡るデモが、米国や欧州諸国、タイやインドネシア、香港やベラルーシなどで相次いで発生し、一部のデモでは暴動に発展した。

各国のケースの背景や原因はそれぞれ違うが、ロックダウンなどさまざまな社会規制がこの1年間各国で課されてきたなか、社会経済的な不満・怒りを積もらせている人々も多いことだろう。去年見られたような市民の不満・怒りは今でも収まっておらず、たとえ今後コロナ問題が落ちついたとしても治安的には大きな懸念が残っている。
 
コロナが終息することは歓迎すべきだが、治安上は上記のようなリスクが指摘されている。コロナ情勢が落ち着く方向になれば、グローバルなビジネスも日常を取り戻していくだろうが、海外に展開する日本企業としては上記のようなリスクを中長期的な経営戦略の中で考えていただきたい。

和田 大樹

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執筆者

清和大学講師/ オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー、岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員を兼務。
専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)、著書に『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら