2020年11月6日に行われた、ダイキン工業株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:ダイキン工業株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 十河政則 氏
ダイキン工業株式会社 執行役員 宮住光太 氏

Ⅰ.全社業績 ■全社上期実績

宮住光太氏:宮住でございます。本日はお忙しいところ、電話会議にご参加いただき誠にありがとうございます。第2四半期決算の概要について、資料に沿って説明させていただきます。

3ページをご覧ください。上期業績は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、世界的に景気が大きく減速する中、地域・事業・商品ごとに需要の回復状況を見極め、市場最寄化生産による安定供給と、顧客に密着した営業活動で需要を捉え、計画を上回る着地となりました。為替の実績はドル107円、ユーロ121円、中国元15.3円、対前年の為替影響は売上高で235億円、営業利益で50億円のマイナスとなりました。

■事業セグメント別上期実績

4ページをご覧ください。事業セグメント別の上期の実績です。空調事業は、新型コロナウイルスの影響で巣ごもり需要が拡大したこと、多くの国で経済活動再開の動きが早まったことから、住宅用を中心に当初の想定を上回る需要となり、当社も日本、欧州、中国を中心に販売確保に努めました。一方業務用では、景気悪化による設備投資減少の影響を大きく受けました。

化学事業は、半導体市場の回復遅れや自動車市場の需要減速の影響を受けましたが、テレワークの普及に伴うタブレット向けの需要や、医療防護服向けの撥油剤の需要を捉え、販売確保に努めました。その他事業は、油機事業で産業機械、建設機械向けの需要が落ち込みました。

上期の為替影響額については、空調事業で売上高227億円、営業利益47億円のマイナス、化学事業で売上高8億円、営業利益3億円のマイナスとなりました。各事業の状況、空調事業の地域別の状況については後ほどご説明します。

■連結損益計算書

5ページは連結損益計算書を掲載しています。粗利率は、新型コロナウイルスの影響で売上高が減少する中、調達を中心としたコストダウンの推進により、前年並の水準を維持しています。販管費は、固定費削減の取り組みを推進し、抑制に努めました。

■連結貸借対照表

6ページは連結貸借対照表を掲載しています。コロナの感染拡大に対応する資金需要の構えとして、新規借入等により手元資金を確保しています。

■営業利益増減分析-上期実績の対前年度比較

7ページをご覧ください。上期営業利益の対前年増減分析です。為替で50億円、新型コロナウイルスで1,200億円のマイナス影響に対して、拡販効果で583億円、売価で40億円、コストダウンで160億円、原材料で35億円、固定費などの抑制で65億円のプラスとなりました。セグメント別の内訳については記載のとおりです。

■地域別売上高の推移-空調事業

8ページをご覧ください。空調事業の地域別売上高は、日本、ヨーロッパ、中国、米州は落ち込みを抑えることができましたが、アジアではインドを中心とした活動制限の影響を大きく受けました。為替影響を除く実質の売上高前年比は、ヨーロッパは98パーセント、中国は93パーセント、米州は95パーセント、アジアは80パーセントとなっています。

年間計画は、上期実績と下期の需要動向を踏まえ、主要全地域で前回発表から上方修正しています。為替影響を除く実質の売上高前年比は、ヨーロッパは100パーセント、中国は104パーセント、米州は97パーセント、アジアは87パーセントを計画しています。

■地域別売上高の推移-化学事業

9ページをご覧ください。化学事業の地域別売上高は、半導体や自動車関連の需要減少と新型コロナウイルスの影響により、多くの地域で前年を下回りました。経済活動が早期に再開した中国では、エッチング材、表面防汚剤などの販売拡大により前年を上回りました。為替影響を除く実質の売上高前年比は、米州は77パーセント、中国は112パーセント、ヨーロッパは79パーセントとなっています。

年間計画は、上期の実績と下期の需要動向を踏まえて見直しており、為替影響を除く実質の売上高前年比は、米州は85パーセント、中国は112パーセント、ヨーロッパは85パーセントで計画しています。

■全社通期業績計画

10ページをご覧ください。通期の業績見通しについては、売上高は前回公表から250億円増の2兆4,250億円、営業利益は前回公表から120億円増の2,100億円に上方修正します。

感染症拡大の第2波の懸念が高まり、業務用空調を中心に需要環境の悪化が見込まれる中ではありますが、需要の変化に柔軟に対応できるSCMの構築、販売力や営業力の強化、空気質や換気への関心の高まりを捉えた新商品の投入など、「攻め」と「挑戦」の姿勢であらゆる施策を徹底して実行し、計画を上回る業績の達成を目指します。

下期の為替前提レートはドル108円、ユーロ120円、中国元15.2円としています。年間の為替影響額は売上高で505億円、営業利益で130億円のマイナスになると見ています。

■事業セグメント別通期業績計画

11ページをご覧ください。セグメント別の業績見通しです。年間の為替影響額については、空調事業で売上高497億円、営業利益127億円のマイナス、化学事業で売上高8億円、営業利益3億円のマイナスとみています。

■営業利益増減分析-通期計画の対前年度比較

12ページをご覧ください。年間の営業利益の対前年増減分析です。為替で130億円、固定費等の増加で140億円、新型コロナウイルスの感染拡大で1,800億円のマイナス影響に対して、拡販効果で1,070億円、売価で70億円、コストダウンで330億円、原材料市況で45億円のプラスを計画しています。セグメント別の内訳については記載のとおりです。

Ⅱ.部門別概況 ■空調事業‐日本

13ページをご覧ください。ここから空調事業の地域別の状況についてご説明します。まず日本の空調事業です。住宅用は巣ごもり需要や特別定額給付金の効果に加え、8月以降は天候の追い風もあり、業界需要は前年度を上回りました。

当社は「うるさらX」の換気機能を訴求した販売を強化し、在室時間の増加による省エネ性への関心や空気質ニーズの高まりを捉え、シェアを拡大しました。また、空気清浄機は供給力を強化し、好調な需要を捉え販売を大きく伸ばしました。

業務用は、学校空調の特需の反動に加え経済活動の停滞により、業界需要は前年度を下回りました。当社は需要の変化に対応した提案営業を強化し、政府の補助金も追い風となり、全熱交換器の販売が伸長しシェアを拡大しました。下期は空気質や換気への関心の高まりを捉え、販売を伸ばします。

住宅用ではストリーマ技術や換気機能を搭載した商品のラインアップを拡充し、シェアアップを目指します。業務用では、店舗向けに後付け可能な全熱交換器と空調機とをセットで提案し、更新需要の獲得を図ります。

■空調事業‐米州

14ページをご覧ください。米州空調事業です。景気は堅調に推移する中、当社はオンラインツールを活用した販売活動に努めましたが、感染症拡大防止のため4月にグッドマン工場を一時閉鎖した影響を受け、売上高は前年を下回りました。

住宅用ユニタリーは、製造人員の確保が困難で供給がひっ迫し、販売が減少しました。ダクトレスは、RA/SKYで居住空間の改善ニーズや好天による需要増を捉え、販売を拡大しました。グッドマン全体の売上高は、現地通貨ベースで前年比91パーセントとなりました。

下期はグッドマン工場の操業を安定させると共に、居住空間の環境改善ニーズに対応した換気商材や、省エネ性の高い商品の販売拡大を図ります。

■空調事業‐中国

15ページをご覧ください。中国空調事業は、4月、5月は新型コロナウイルスによる販売活動制限の影響を大きく受けましたが、6月からは本格的に市場が再開しており、第2四半期は前年を上回る売上高となりました。

住宅用マルチは「プロショップ」とオンラインを組み合わせた新たなビジネスモデルを構築し、6月以降の販売拡大に貢献しました。業務用市場では、大手ディベロッパーとの協業を推進するとともに、店舗物件向けに換気・洗浄・除菌を訴求した販売活動に取り組みました。アプライド市場ではデータセンター向けなど、成長分野に資源をシフトしています。

市場の回復を捉え、引き続きアフターコロナの需要の変化に対応した換気商材の品揃え強化、オンラインを活用した販売活動を加速し、年間で前年度を上回る売上高を目指します。

■空調事業‐欧州・中近東・アフリカ

16ページです。欧州空調事業は、ロックダウンが段階的に解除された後、住宅用の需要が回復に向かい、売上高は前年度並を確保しました。一方中近東は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う原油価格の下落や通貨安の影響により、売上高は前年を下回りました。

住宅用は、市場最寄化生産による安定供給で需要の回復を捉え、6月以降に販売を大きく伸ばしました。業務用は、全熱交換器など換気商材の拡販に努めましたが、ホテルや店舗、オフィスの需要減の影響を受けました。暖房事業は、ヒートポンプ式温水暖房機器への置換を促進するインセンティブにより更新需要を獲得し、販売を伸ばしました。

下期は回復商材の拡販を図るとともに、住宅用マルチエアコンや環境性能に優れたヒートポンプ式温水暖房機器など、高付加価値商品の販売に注力します。また、冷凍・冷蔵事業では買収したザノッティおよびAHTの販売網や商品ラインアップを活用し、コールドチェーン全体での事業展開に取り組みます。

■空調事業‐アジア・オセアニア

17ページをご覧ください。アジア・オセアニア空調事業は、居住空間の改善ニーズの高まりによる需要を捉え、オンラインツールを活用した販売活動に注力しましたが、インドをはじめとした各国での活動制限の影響が大きく、売上高は前年を下回りました。

住宅用は各国で家電量販店が閉鎖される中、当社独自の販売店ルートでの販売を推進し、オーストラリアとマレーシアの販売は前年を上回りました。インドでは、第1四半期は販売活動制限の影響を大きく受けましたが、オンライン研修など販売店との関係強化への取り組みを実施し、第2四半期の売上高は前年並みを確保しました。業務用では、建設現場での労働者不足や新型コロナウイルスによる物件の工事延期等の影響により、販売は減少しました。

下期は住宅用でオンライン販売の体制構築に取り組むとともに、空気質改善ニーズの高まりを捉えた新商品を拡販、業務用では新型コロナウイルスの影響を受けにくい学校や病院向けに販売を強化し、成約を目指します。

■化学事業

18ページをご覧ください。化学事業は半導体市場の回復遅れや自動車市場の需要減速、冷媒ガスの販売減に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、売上高は前年を下回りました。

ガスは、空調需要の減少によりグローバルで販売が落ち込みました。樹脂は半導体、自動車関連の世界的な需要減少に加え、米国での建築、航空機関連の需要の落ち込みもあり販売が減少しました。

ゴムは日本、欧米、アジアで自動車市場の需要減の影響を大きく受けました。化成品は中国、日本でタブレット向けに表面防汚コーティング剤の販売を拡大、また医療用防護服など医療関連用途で撥水撥油剤の販売を伸ばしました。

下期はテレワーク需要、医療分野向け需要を捉え、化成品の販売拡大を目指すとともに、5Gの導入により需要回復が見込まれる半導体関連市場への拡販を図ります。また、次世代自動車向けリチウムイオン電池材料など、用途開発の取り組みを推進します。

■フィルタ事業

19ページをご覧ください。フィルタ事業は事業体質の改善を加速しており、安定した供給体制の構築やトータルコストダウン、営業体制の強化に取り組んでいます。上期はエアフィルタ事業において換気ニーズの高まりを捉え、米国、アジアで高性能フィルタや陰圧機など感染症対策商材の販売を伸ばし、前年並みの売上を確保しました。

下期はエアフィルタ事業で安定した供給体制を確立し、感染症対策商材の需要拡大を捉え、販売拡大を目指します。またP&I事業では、安定した事業基盤の構築に向けて、アフターサービス事業の強化や固定費削減などトータルコストダウンに取り組みます。

■その他事業

20ページをご覧ください。油機事業は、産業機械向け、建設機械向けともに設備投資の鈍化により需要が減少し、売上高は前年を下回りました。下期も厳しい需要環境が続く見通しですが、オンラインでの販売活動を強化します。

特機事業は、新型コロナウイルス感染拡大による需要拡大を捉え、採血せずに血中の酸素飽和度を測定できるパルスオキシメータや酸素濃縮装置の販売を伸ばしましたが、防衛省向けの販売が減少し、売上高は前年を下回りました。

電子システム事業は製造業の投資鈍化により、研究開発支援システムの販売が減少し、売上高は前年を下回りました。

Ⅲ.株主還元

21ページをご覧ください。配当金については前公表どおり、年間160円を予定しています。配当方針について変更はありません。引き続き安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本に、株主還元の一層の充実を図ります。

≪補足データ≫■為替前提

22ページをご覧ください。為替の上期についておよび下期以降の前提レートについてはこちらのとおりです。為替感応度については期初の見方から変更はありません。営業利益に対して、対ドル1円の変動で13億円の影響、対ユーロ1円の変動で4億円の影響と試算しています。

■設備投資・減価償却費・研究開発費の推移

23ページをご覧ください。上期の設備投資の実績は633億円、減価償却費は503億円、研究開発費は330億円となりました。年間の計画については、設備投資、減価償却費、研究開発費のいずれも期初計画から変更していません。引き続き今後の事業発展に向けた成長投資を、積極的に実行します。私からの説明は以上です。ありがとうございました。

通期業績見通し

十河政則氏:みなさま、おはようございます。十河です。本日は多数のご参加をいただき、誠にありがとうございます。上期決算は宮住からお話ししたとおり、売上高、営業利益ともに先般10月5日に公表した計画を上回る業績を達成しました。今期の年間予算の策定においては、各部門、各地域がより高い目標の達成に向けて施策を猛烈に詰めてきました。

同時にアクションプランに落とし込んで、スピードをもって施策の徹底実行にも努めてきました。その手応えもあって、上期決算は公表値を上回る可能性があると思っていましたが、空調の住宅用を中心に想定以上に需要が回復したこともあり、計画を大幅に上回る業績を達成することができました。

年間計画については、先ほどご説明したとおり、上期の実績を踏まえて売上高2兆4,250億円、対公表でプラス250億円、営業利益は2,100億円、対公表で120億円プラスに上方修正します。

下期以降、欧州でのコロナの感染再拡大や第2波等、先行きの不透明感は高まっており、事業環境の厳しさは変わりませんが、我々がこれまで進めてきた「守りと攻めの施策」「体質改革」そして「6つの緊急プロジェクト」の成果創出を最大化していきます。加えて、今後もいろいろな環境変化が起こると思っていますが、それに対して先手先手で二の手、三の手を打つことで、より高い目標に挑戦していく考えです。

第2四半期決算

今期上期実績が、10月5日から1ヶ月という短期間で大きく上振れしましたが、その内訳は販売拡大で60億円強、固定費削減やコストダウンで30億円強とみています。まず日本では、住宅用空調で換気機能を訴求した販促活動を積極的に展開したことによって、お客さまが換気機能を持っている「うるさらX」を指定して購入される等、高付加価値商品の販売が好調に推移し、販売店への追加、出荷につながっています。

さらに、日本、欧州、アジアでの空気清浄機の販売、それから欧州でのヒートポンプ暖房機の販売についても需要が好調となる中、我々は営業、調達、生産が一体となって迅速に増産対応を取ることで、需要増のチャンスを逃すことなく拡販につなげることができたと思っています。

また化学事業では、中国において自動車や家電分野などの生産が想定よりも早く立ち上がっていたという動きを捉え、販売を積極的に行うことによって上積みすることができたのではないかと考えています。

下期以降の経営の考え方

それから次に、下期以降の事業拡大に向けた施策について少しお話ししたいと思います。10月に予算を発表した際には、各地域で業務用空調の需要を厳しく見直したうえで、「守りと攻めの施策」「体質改革」「6つの緊急プロジェクト」に取り組むことにより、下期の営業利益は770億円を必達目標としていました。

先ほどお話ししたように、足元ではコロナ感染の第2波のリスク、たとえばフランスなど欧州でのロックダウン、あるいはアジア各国の行動制限の延長等を背景に、予算を固めたときと比べ、業務用空調を中心に需要動向はむしろ厳しさが増していると思っています。

そのような中にあって、当社は堅調な住宅用空調や、コロナ禍で需要が高まっている換気、空気清浄などの商品の販売拡大、それから欧州を中心としたヒートポンプ暖房の販売拡大を図ることで、業務用でのマイナス影響をカバーし、下期の営業利益計画を今回784億円としました。

今お話ししたこの計画を必達するというだけではなく、さらに高い業績に向かって、引き続きスピードをもって施策を徹底実行していくことによって、年間の営業利益は2,100億円以上を目指したいと思っています。

下期以降の主な施策

次にそのドライバーについてどのように考えているかについて、重点的に取り組もうとしているテーマについて何点かお話しします。まず1つ目は空調についてです。業務用空調が依然として厳しいというお話をしましたが、業務用空調市場においては、いかに顧客と直接つながって、多様な顧客価値を満たすソリューションを提案していくかということが非常に重要になります。

営業とサービス、それから営業と販売店が連携して顧客データベースを活用することで、更新提案を推進していきます。それだけではなく、店舗やビル、データセンター等の市場別、用途別に空気・換気商品、フィルタ、低温商品などの当社グループが持つ多様な商品を組み合わせたシステム提案を展開をすることによって、業務用空調の拡販につなげていくことを目指します。

2つ目は、空気・換気関連商品の販売拡大と、市場用途別のソリューション事業の拡大です。今期、住宅用空気清浄機の販売計画はグローバルで約80万台ですが、旺盛な需要を踏まえて、日本、アジア、欧州を中心にさらなる販売拡大を目指したいと思っています。来年度の計画は今詰めていますが、最低でも100万台以上、できればそれ以上の販売拡大を目指すということで具体化をすすめてているところです。

また、各地域のニーズに合った差別化商品の投入だけではなく、空調機と組み合わせたシステム提案、病院や学校、店舗等の市場別、用途別にソリューション事業の拡大に取り組み、「ダイキンと言えば空気・換気事業のブランド」ということを確立して、さらなる事業拡大を図りたいと思っています。

下期以降の主な施策(地域別・事業別)①

次に、空調の地域別での取り組みについて、少しお話しします。まず北米ですが、米国の住宅市場は堅調に推移しています。足元だけではなく、来期以降も拡大が見込まれます。グッドマン工場で、コロナウイルスの感染拡大に伴い、従業員の安全確保を第一にということで4月に操業を3週間止めたことにより、在庫不足が課題となっていました。

しかし、10月以降は生産もようやく正常化し、在庫のひっ迫状況も改善しつつあります。需要に応じた増産体制を取って生産性を改善し、さらにコスト競争力を高めることで収益を拡大していく予定です。

次にアジア、オセアニアですが、各国でのさらなる事業拡大を図りたいと考えています。上期は、住宅用空調は比較的堅調に推移しましたが、やはり業務用を含めた空調需要全体の本格的な回復には少し時間がかかると思っており、場合によっては2年から3年かかるのではないかとみています。

下期の需要貢献と経済の回復期を見据えて、業務用の事業強化、それからオンラインを活用した販売店支援を展開するなど、オンラインとオフラインを組み合わせることで、さらに強い店づくり、販売網を拡充し、アジア全体の営業部で底上げを図って、さらなる事業拡大につなげていきたいと考えています。

アプライドについては非常に厳しい環境にありますが、政府のインフラ投資は今後出てくるものと見ています。今後の需要拡大が見込めるということで、部材や制御を含めた、アプライドのソリューション事業の強化を図ります。

次にヨーロッパ、欧州での環境対応商品の販売拡大、ヒートポンプ暖房の主力事業化です。みなさまご存じのとおり、欧州ではグリーンディール政策によるインセンティブが追い風となっています。ガスやオイルなどの燃焼暖房からヒートポンプ暖房への置き換えは、猛烈なスピードで進んでいるところです。

8月以降イタリア、イギリスをはじめとする各国で新たなインセンティブ、補助金政策が発表されており、新築住宅だけではなく、少しお金のかかる更新向けの需要についても拡大が見込まれています。これに対し我々は販売網やサービスの強化、さらに新商品投入によって販売拡大を図っていく予定です。

下期以降の主な施策(地域別・事業別)②

次に日本ですが、日本だけではなく、グローバルに空調や換気に関する新商品を次々と市場に投入していく予定です。日本では、当社の世界中の商品開発のリソースを集中、活用していち早く新商品を開発し、グローバルな販売強化につなげていきたいと考えています。

具体的にお話しすると、ルームエアコンについては、最上位の「うるさらX」を下期以降に、換気機能を搭載したいわゆるミドルゾーンは11月に、それから一番ボリュームゾーンのスタンダードモデルについては来年の3月ぐらいに投入していく予定です。さらには床置型、天井埋込カセット型のハウジングエアコンなども投入していく予定です。

業務用では、後付け可能な全熱交換器をこの9月に立ち上げましたが、それだけではなく、業務用空調機を組み合わせたいろいろなシステム商品をさらに開発し、販売につなげていこうと思っています。

中国については、世界中で最もコロナ感染の状況が早く収まり、経済活動も早期に回復しています。当社はコロナ禍の中でも販売店や「プロショップ」への販促支援、経営支援によって、より強固な関係を築きながら販売力を一層強化してきたと思っています。当社独自のこうした販売店の強さを生かして、オンラインとオフラインを組み合わせた販売で主力の住宅用マルチエアコンの競争力をさらに強化し、販売拡大につなげていく予定です。

次に化学事業ですが、半導体市場の回復、需要の立ち上がりを捉えて、販売拡大を進めていきたいと思っています。今、EV化やHV化の加速がどんどん進んでいますが、その加速によって大きな需要が見込める自動車市場向けのリチウムイオン電池材料などの用途開発の推進、さらには電池メーカーへのスペックイン活動の強化、この厳しい状況にあって、そうしたものを拡大していく予定です。

以上、事業別に下期以降の主な取り組みをご説明しました。10月5日の発表のときに、「このコロナ禍において、攻めと挑戦の姿勢をつらぬき、2022年度にはコロナ前の営業利益の水準に回復させ、創業100周年の2024年を最高業績を更新したうえで迎えたい」とお話ししました。

本日発表した上期の実績に加えて、今取り組んでいる成長、発展に向けた施策をより確実にスピードをもって成果につながるべく展開することで、最高業績更新のさらなる前倒しにも挑戦していきたいと思っています。

いずれにしても、このコロナ禍において半年経営のかじ取りをしてきて、「不透明の中にあっても、いかに挑戦的目標を高く掲げて、その実現に向けて実行に次ぐ実行をするか」「いかにスピードをもって早く意思決定し実行するか」そのようなことが非常に大切だと、あらためて実感している次第です。

下期以降も来年以降も、我々「攻めと挑戦」をキーワードに、目標を高く掲げて、スピードをあげて実行し、成果につなげてまいりたいと思っています。私からは以上です。

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