2020年10月30日に行われた、NECネッツエスアイ株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:NECネッツエスアイ株式会社 代表取締役執行役員社長 牛島祐之 氏

2021年3月期 上期 業績サマリー

牛島祐之氏:みなさま、おはようございます。お忙しいところ当社の決算説明会にご参加いただきましてありがとうございます。それでは、私から2021年3月期第2四半期の決算についてご説明します。まず上期の実績と通期業績の見通し、そして中期経営計画の施策の進捗状況ということで進めていきたいと思います。

はじめに上期の実績概要についてご説明します。上期の業績サマリーです。上期は受注、売上ともに二桁増と大きく伸長し、これに伴い利益項目も大幅に拡大、予想値も可達ということで、上期としては当社の過去最高の業績を更新できました。

受注高は1,779億円で、前期比でプラス17パーセントの増加となりました。GIGAスクール案件が非常に活況で受注を牽引した状況です。売上は1,512億円で、前期比でプラス11パーセントの増加となっています。

GIGAスクールの売上も一部貢献していますが、働き方関係の事業、通信キャリアの事業、またインフラ事業の全セグメントで増加しています。

利益ですが、上期は成長投資を前期比より増やしており、また新型コロナウイルスの影響もあって前期比でプラス24億円の67億円と大幅増益になっています。こちらは売上増による貢献と、今までいろいろな施策を打ってきたことの効果が少しずつ出てきているものと認識しています。

2021年3月期 上期 セグメント別受注高

セグメント別の受注高です。全社で前期比17パーセント増の1,779億円です。デジタルソリューションについては、子会社のニチワの案件であるGIGAスクール案件が牽引しており、また昨年から取り組んでいるDX関連が想定を上回る進捗でした。

新型コロナウイルスの影響を受けた企業の投資減速も一部顕在化していますが、結果としてプラス29パーセントの713億円という結果になりました。

ネットワークインフラ分野については、KNSIの拡大や海底地震計システムの大型プロジェクトがあり、プラス5パーセントの476億円という結果です。エンジニアリング&サポートサービスについても地域のGIGAスクール案件が牽引し、プラス17パーセントの543億円となりました。

2021年3月期 上期 セグメント別売上高

セグメント別の売上高です。全社で前年同期比11パーセント増の1,512億円となっています。デジタルソリューション分野ですが、働き方改革関連の拡大やGIGAスクールも売上に一部寄与し、プラス7パーセントの567億円と好調を維持しています。

ネットワークインフラについては、KNSIを中心とした通信事業者向けの事業が拡大し、前期比で7パーセント増の381億円となりました。エンジニアリング&サポートサービスについてはGIGAスクールが売上貢献したことに加え、メガソーラーの工事進捗によりプラス24パーセントの516億円となっています。

2021年3月期 上期 セグメント別営業利益

セグメント別の営業利益です。営業利益については、特に今年度は足場がための年という位置づけで成長費用の増加や新型コロナウイルスの影響を受けましたが、収益性が強化されて売上も伸長し、前年同期比でプラス24億円の67億円で増益となっています。

デジタルソリューションについては増収によるGP増により53億円、前年同期比でプラス5億円の増益となっています。営業利益率は0.4ポイントの改善です。

ネットワークインフラについては増収効果に加え、キャリアの技術者と社会公共系の技術者を一体化した組織の効果が出てきており、リソース効率やプロジェクトマネジメント強化として上期も継続して効果が出ています。前年同期でプラス4億円の22億円となっています。

エンジニアリング&サポートサービスについては増収効果に加え、不採算の改善で35億円、前年同期比で13億円の改善となりました。なお、成長費用については前年同期比から約10億円増の26億円です。

新型コロナウイルスによる実行の遅れなどもあり、計画からは5億円程度の遅れがありますが、今後の成長のため下期にはその分を含めて予定どおり投入していく計画です。

2021年3月期 通期 業績予想

通期の業績見通しをご説明します。通期の業績予想については見直しを行い、受注高は前期比でプラス5パーセントの3,200億円、売上はプラス8パーセントの3,270億円、営業利益は前期からプラス28億円の190億円、親会社に帰属する当期純利益はプラス19億円の113億円と考えています。

受注高はプラス100億円、売上高はプラス150億円、営業利益はプラス10億円、当期純利益はプラス8億円と、それぞれ上方修正になります。下期には上期に受注したGIGAスクール案件の構築に注力していき、また、好調な通信事業者向け事業を拡大すべく努力していきたいと思います。

それぞれの受注については、現段階のプロスペクト案件の状況としては昨年と比べてプラス方向にありますが、現在の新型コロナウイルスの状況を考え、やや厳しく評価した中での予測になります。

また、営業利益については新型コロナウイルスが非常に心配されています。ヨーロッパでもロックダウンのニュースが出ていますが、今後も第2波や再度の非常事態宣言の可能性もあるため、そちらをこの営業利益に10億円織り込んで計画しています。

2021年3月期 通期 セグメント別業績予想

セグメント別にはスライドの棒グラフのような修正となっています。売上高についてはGIGAスクールなども考慮し、デジタルソリューションでプラス50億円、エンジニアリング&サポートサービスでプラス90億円、キャリア向け事業が好調なネットワークインフラではプラス20億円の修正を行い、全社でプラス150億円の3,270億円を目指します。

営業利益については、デジタルソリューションでプラス2億円、ネットワークインフラでプラス4億円、エンジニアリング&サポートサービスでプラス2億円、その他/全社消去でもプラス2億円と、全セグメントで上方修正を行い、前回計画比でプラス10億円の190億円を目指したいと考えています。

配当について

配当については従来の方針のとおり、成長投資による企業価値拡大を図ると同時に安定配当をベースに株主還元を継続的に拡大していく考えで、引き続きDOEを考慮した配当を行っていきたいと考えています。この考えに基づき、中間期は予定どおり1株14円の配当を実施し、年間28円で14年連続の増配を計画しています。

振り返り:当社の価値創造モデル

中期経営計画施策の進捗状況についてお話しします。当社の中期計画の考え方についての振り返りです。

目指す社会像の「コミュニケーションで創る包括的で持続可能な社会」という方向に向かい、特にこの中期経営計画ではスライドの赤い領域の「デジタル」技術、そして「5G」技術にしっかりとした足場を作りながら、将来広がる社会貢献事業を広げていきたいというものです。

当社の全国対応力、技術、信頼性、事業総出力を持って、さまざまな方々との競争ビジネスを拡大していきます。

成長戦略の進捗:デジタル領域

1つ目は「デジタル領域」の進捗です。当社の「デジタル領域」、すなわちDX事業については働き方改革の中でこのDXを活用することからビジネスを拡大していく方針で進めています。

昨年度10月から本社の大改革ということで、本社のフロアをかなり縮小し、都市に乗り込む各路線の7ヶ所に分散のオフィスを配置する取り組みからスタートしています。

さまざまなDX技術を使いながら離れた場所でも働けるという取り組みですが、今年起きた新型コロナウイルスの感染拡大防止にも有効な方法であるため、非常によいかたちでの加速感が出てきています。

今後さらに「ニューノーマルな時代での働き方」ということで、このDXを活用したさまざまな事例、印鑑レスやさまざまな制度のすべてに対してのアプローチを加速しており、計画を上回る進捗ではないかと考えています。

2つ目は「事業モデルの変革」です。当社は過去、製品をSIする、構築するというビジネスモデルでしたが、今ではDX、クラウドサービスを中心とした新しい付加価値の上にSIを回すというビジネスを展開しています。

したがって、この新しい付加価値であるサービスの拡大が当社全体の事業の拡大につながるという考えのもと取り組んでいますが、このサービスの売上高についても昨年対比で12パーセントの増で、デジタルソリューションセグメントでのDX活用は計画どおり進んでいると考えています。

また、DXのサービスそのものの技術の進化ということで、事業を支える「DX領域の強化」については関連売上高が昨年比の3倍で、さらに新規の顧客も非常に増えてきており好調です。

成長戦略の進捗:デジタル領域(トピックス)

デジタル領域の顧客の拡大と今後の取り組みですが、スライドのグラフは今年度上期のお客さまの増加を表しています。特に新型コロナウイルスの感染拡大もあり、Zoomというサービスがこちらを大きく牽引しています。

3月末から急激に成長し、6月ぐらいがピークになっていると思いますが、そこから月額数はあまり変化することなく現在も続いており、3月末比で約8倍です。このDXにおけるお客さまの拡大が約1万社で、大きく拡大してきています。

今後は新しく増えたお客さまに対して、このDXのアップセル、クロスセルを行っていきたいと考えています。特に文教/自治体マーケットについては、今年度大きく広がった領域でもあります。ここにしっかりと新しい事業の拡大の足場を作っていきたいと考えています。

成長戦略の進捗:5G領域

5G領域についてはこれからということですが、インフラ部分についてはKDDIとの合弁企業であるKNSIで、現在基地局の工事を行っています。立ち上がりは少し苦労していましたが、この上期は非常に立ち上がり、前年比の2倍強で計画どおり順調にシェアが拡大しています。

また、5Gの投資もこの中に一部入ってくるようになってきたということで、こちらをしっかりと拡大していきたいということです。

そして、5Gについてはキャリアサービスだけではなく「ローカル5G」が期待されます。この後にご説明しますが、当社の新しい実証の場として新拠点を設けて拡大すると同時に、企業では三井不動産と5Gを使った新しいオフィス活用の検証という共同実証も始まります。

また、ケーブル事業者については各ローカルエリアでの5Gの活用ということで、現在連携を加速しているということです。こちらも非常に順調に案件の進捗があるということです。

成長戦略の進捗:5G領域(トピックス)

ローカル5Gの実用化に向けた取り組みの加速についてです。スライドの左側の写真が5Gの新しい技術者育成拠点として、来週の11月6日に新川崎にオープンします。

さまざまな技術者の育成、特に無線技術の育成ということですが、この中には5Gのいろいろな検証環境を含んでいます。5Gに関するいろいろな製品の検証や、実際にこちらで電波を吹きながらサービスを検証していく場所になっています。

今後はこちらの拠点を使いながら、ローカル5Gを含めたお客さまとの共同開発を加速していきたいと思います。

また、三井不動産との連携についてですが、スライドの写真はこのような未来をイメージした働き方を行うということで、リアルなオフィスと、バーチャルのアバターやロボット、AIを活用するなど、5Gを使った未来への取り組みをこちらで検証していく事業がスタートしています。

最後に

説明は以上になりますが、かねてからお話ししているとおり今年は中計の真ん中の年になります。「Ready to Jump」ということで、将来の「デジタル×5G」に向けた十分な技術者の育成や、不足する領域を強化すること等を進めながら、事業の品質を高め、事業を拡大していく予定です。

また、現在新型コロナウイルスの感染が非常に拡大していますが、当社はさまざまな社会課題に対応できる事業を持っていますので、社会貢献も忘れずに行いながら新しい未来に向けて進んでいきたいと思います。ご清聴ありがとうございました。

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