あなたの投資が世界を変える。その2つの理由とは? <HSBC投信レポート>

世界は急速に変化しています。2020年の出来事によって人々の行動は世界中で劇的に変化しました。依然としてロックダウン措置を実施中の国もあれば、その影響から抜け出しつつある国もありますが、多くの人々はこの変化が環境にもたらしたポジティブな影響を維持したいと考えています。

そのために、より環境に配慮した代替製品を見いだそうとしたり、化石燃料の使用が環境汚染の原因となっているガソリン車を電気自動車に買い換えたり、食生活における肉の摂取量を減らしたりする人がいます。これらの変化も環境の改善につながるものですが、さらに大きなインパクトをもたらすには、より大きくかつ世界的な視野で考える必要があります。

続きを読む

1980年代以降の温暖化ガス排出量全体の70%が、わずか100社の企業から排出されたと推定されています。これらの多国籍企業の活動が地球に与える影響は私たちが個々人の活動による影響よりもはるかに大きいため、これらの企業には変革をリードしていく責任があります。

しかしながら、私たち自身が、個人として世界のためにできることが何も無いわけではありません。地球規模でみれば政府や大企業の影響力が最大かもしれませんが、政府や大企業もさらに強い力である、資本の影響下にあります。

たとえば、政府は自国の経済を成長させるために、資本を呼び込み、また借り入れコストを低水準に維持する必要があります。また、上場企業にとっての主要な関心事項は、潜在的な株主の投資意欲を引き出すことと、既存株主の要求を満たすことにあります。つまり、政府や企業は資本提供者の期待に沿った行動を取っていると考えられます。

私たち個人は、この資本の力によって変化を実現させる「投資」という重要な手段を持っています。このことに気づいていない方もいるかもしれません。資本は資本市場における血液であり、資本を何に使うかを定める資本配分はその心臓にあたります。

投資は2つの点で世界を変化させることができます。第1に、投資によって組織の所有持分を得ることができます。所有権を持てば影響力が生じ、経営幹部に意見を表明したり、戦略的な決定の際に賛成または反対票を投じたりすることや、取締役を選任することが可能になります。

第2に、投資はメッセージ及びインセンティブとしての機能があります。投資は、投資家が期待する行動をメッセージとして伝え、さらなる資本投下という形で期待に沿う行動を奨励するためのインセンティブとなります。

私たち個人が世界に変化をもたらすための最も強力な手段は「投資」であることは皆さんも同意されることと思います。しかしながら、皆さん自身ができる行動としての、「投資」という手段は見過ごされがちです。投資を全く行わない人々や、投資をしても行使できる影響力を認識していない人々がみられます。

ESG(環境、社会、ガバナンス)格付の高い企業に投資することで、経済的なリターンだけでなく、地球環境の改善にも寄与できるという認識を持ちたいと考えます。

何が多くの人々に地球環境の改善のための直接的な行動の一つとしての投資を行うことをためらわせているのでしょうか。それは投資が複雑なものだと思われているからかもしれません。

私たちの多くは、どの企業が環境に良い影響もたらすのかを調査する時間と労力を持ち合わせていません。またその時間と労力をかけた結果、1、2社を特定したとしてもそのインパクトは限定的なものとなります。

しかしこの難問を克服する方法があります。それは、持続可能性の観点から最も魅力的な特徴を備えた株式と債券の両方に投資する、資産分散型ファンドに投資することです。

これにより、目的に沿った投資対象を特定するための調査活動を外部委託することが可能となり、また、多くの個人投資家の資本をまとめることにより影響力を高めることが可能となります。このような投資は、多くの異なる企業、業種、国に幅広い影響をもたらすことが可能となります。

ファンドが持続可能性に配慮したものであるとみなされるためには、以下の基準のうちの一つ(できれば複数)に適合している必要があります。

すなわち、①ポジティブ/ネガティブ・スクリーニングによる選別、②持続可能性のテーマに沿った投資、③経営への積極的なエンゲージメント、④持続可能性の観点が財務分析に統合されていること、⑤事業運営手法またはインパクト投資における最低基準を充足していることのスクリーニング、といった基準の一つ以上に適合している必要があります。

ここで申し上げたいのは、私たち個々人が日常的に取る行動が重要ではないと言っているわけではありません。それどころか、各人の行動こそが実際に変化を生み出す力になります。ファンドの例と同様に、すべての人がプラスチック製ストローを使わなくなれば、これらの行動の総和により変化を起こすことが可能です。

ただし、より広い分野に影響力を及ぼすためには、さらに大きな視点で考える必要がある、ということです。

Money Talks. あなたの貯蓄を投資に振り向けることにより、世界を変えることが可能です。投資は、大きな力を持つ企業や政府に影響を与えるための最も効果的な手段です。個々人の投資を通じた資本配分は唯一の解決策ではありませんが、最も重要な影響力を持つ手段であり、より多くの人々がこの投資という手段を活用し始めるべき時期が訪れています。

HSBC投信株式会社 代表取締役社長 金子 正幸

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。
金子 正幸

2020年3月、HSBC投信株式会社の代表取締役社長に就任。
大学卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し海外支店及び現地法人の経営管理、海外拠点統廃合、グループ財務戦略の立案、資本調達プロジェクト等を担当。その後2006年にドイツ証券株式会社に入社、金融機関の公募増資案件、優先出資証券・劣後債・シニア債の引受、国内外のアドバイザリー案件等のプロジェクトを遂行。
2013年HSBCグループ入社。HSBCグループでは香港上海銀行在日支店金融法人部長として金融機関顧客のリレーション全般を統括。2018年よりグローバル・バンキング副統括責任者に就任。
東京大学農学部農業経済学科、ニューヨーク大学スターン経営大学院卒。公認会計士。