2020年10月27日に行われた、株式会社マクアケ2020年9月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社マクアケ 代表取締役社長 中山亮太郎 氏

Makuakeのビジョンとミッション

中山亮太郎氏:みなさま、こんにちは。マクアケ代表取締役社長の中山です。上場後初の通期決算ではありますが、今回も新型コロナウイルス感染防止の観点からオンラインで実施させていただききますことをご了承ください。今回も前半で事業の概要や今後の戦略をご紹介し、後半に第4四半期と通期の決算に関してご説明します。

あらためまして我々のビジョンですが、「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」を目指しています。

既存の資本主義のルールだけではどうしても生まれるべきなのに生まれない、広がるべきなのに埋もれてしまう、残るべきなのに消えてしまうという状況ができてしまう仕組みだと考えています。そのような欠けた状態を我々が補完できればと思い、日々取り組んでいます。

事業内容(1)Makuake

その中でも弊社のメイン事業として運営する「Makuake」ですが、アタラシイものや体験の応援購入サービスと銘打ち、展開しています。

自分好みのライフスタイルに合ったアタラシイ何かに出会える楽しさや、作り手に直接応援の声を伝えられるといった今までにない出会いと新たな買い物体験ができる、そんな新商品や新サービスのデビューの場としてユーザーを拡大しています。

仕組みは、「Makuake」では実行者と呼んでいる新商品・新サービスをローンチしたい事業者が、量産やローンチ前に「Makuake」上にて先行販売できる場になっています。

消費者においては「自分好みの何か『アタラシイ』に出会いたい」という時に「Makuake」に訪れ、応援したいと思った商品や新サービスのチケットを購入できるようになっています。「Makuake」ではこのような声を「応援購入する」と呼んでいます。

実行者はおよそ2ヶ月から3ヶ月の期間で先行販売し、期間が終了したら期間内に応援購入された売上金を受け取って作り始め、作り終わったら応援購入してくれたサポーターに商品やチケットを届ける仕組みになっています。

「Makuake」は、応援購入総額から20パーセントの手数料をいただく成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。

事業内容(2)Makuake Incubation Studio及びその他

その他にも付随サービスとして「Makuake Incubation Studio」、通称「MIS」と呼んでいる大企業の研究技術を活用した新商品の企画プロデュースを自ら実施するサービスも展開しています。他にも、リアルショップを全国に10店舗ほど展開しており、「Makuake」後も継続して売上を伸ばしていくサポート等も実施しています。

Makuakeにより生まれ、広がる新たな商流

我々がいることで、新商品の流通のステップ自体も大きく変わると考えています。従来はメーカーが取引先の卸や小売に直接仕入れてもらう交渉を行うのが基本の流れだったと思いますが、「Makuake」でいったん消費者向けにデビューさせ、先行販売を行い、その後流通展開するという流れが生まれています。

この流れを「0次流通」と呼んでおり、こちらは従来のステップとの逆転現象を起こしていると考えています。

現在サイトには消費者のみならず、小売の仕入担当のバイヤーなども多く訪れており、自分のお店に合った新商品をいち早く仕入れるための見本市のような役割も担う流れになってきています。

実行者がMakuakeを活用する主な目的

実行者が「Makuake」を利用する理由としては、端的に言いますと質の高いプレマーケティングが可能になるという点です。より具体的にご紹介すると、主に5つのベネフィットが見えてきます。1つは、在庫を作ることなく、本当に購入されるか否かのテストマーケティングが可能になるという点です。

実際に購入されるかをテストするには、在庫を大なり小なり作ってテスト販売することが必要でしたが、「Makuake」では最初の在庫を作ることなく企画の段階で先行販売ができますので、どのような人が買うのかなど、質の高いテストマーケティングを実施することが可能になるというベネフィットが人気の1つになっています。

2つ目が、プロモーションです。みなさまがふだん小売等で買う新商品を低価格でプロモーションする手段は、テレビはもちろん、デジタル上でもなかなか存在しておらず、主に人どおりの多い小売の棚に並べるしかなかったと思います。

ECを行うにも、商品自体に知名度があったり、売り手自体に相当な集客ブランド力ないとなかなか見てもらえず、デジタルサイドでの課題として同じような課題が残ったままになるというのがありました。

しかし、「Makuake」のサイト自体は四半期でも100万人を超えるユニークユーザーが訪れており、メディアの記者にとっても新商品の情報がいち早く出てくる場になっているためニュースのネタ帳になるという生態系もできていますので、記事に取り上げられやすいという効果があります。

このような「Makuake」の集客や、メディア記事に展開していく等でプロモーションになることに非常にメリットを感じてもらっています。

3つ目は実績作りと端的に記載していますが、従来は販売実績のない中でなんとかして新商品を小売や卸業者に仕入れてもらうことが、流通してデビューさせていく上で必要でした。

しかし先に「Makuake」を利用すると、「どのような人がなぜ買ったか」「どれだけ買ったか」などの実績作りになりますので、小売や卸のバイヤーへのアピール材料としてはもちろん、銀行融資の際の商品性の事業性判断という与信材料につなげられるということもあります。そのため、「まず『Makuake』で実績を作ろう」ということも1つの理由になっています。

4つ目は、受注数のめどが立ちやすいため在庫リスクの軽減になるということが挙げられます。従来は在庫リスクと言いますか、「最初のロットをどのくらい作ったらいいのか」「在庫数をどのくらい設けていったらいいのか」をある程度直感で決めることも多くありました。

また小売の仕入れサイドの言った数のみに絞られてしまうなどもあり、販売のアップサイドとダウンサイドの精度が非常に低い状態だったのではないかと思います。しかし、先に「Makuake」で先行販売を行っていくことで需要のめどがある程度解像度高く出てくるため、在庫リスクの軽減になるという部分があります。

5つ目ですが、売上金が先に手元に入ってから作り始められますので、キャッシュ・フローの大幅な改善ができるという点も利用の大きな理由になっています。このような売上金が先に入るという点は資金調達的なニュアンスを帯びることがあるため「クラウドファンディング」と呼ばれています。

「Makuake」も当初はそのようなニュアンスで自分たちのサービスを表現していましたが、先ほどお伝えしたとおり、現在は他のベネフィットのほうが大きくなっており、マーケティングプラットフォームという側面もあるため、どちらかと言いますと消費者サイドに向き合って応援購入を広げていくプラットフォームになっています。

そのため、実は1年ほど前から自分たちで我々のことをクラウドファンディングのサービスと定義するのをやめています。

サポーターがMakuakeで楽しむ新しい消費スタイル「応援購入」

応援購入という言葉は聞いたことがあるようでないような言葉かと思いますが、実はこちらは我々が作った言葉で、今後この新しい消費スタイルが伸びてくると考えています。

特に自分の興味があるジャンルや体験に関しては、作り手の思いやこだわりなどの背景や「機能やデザインがなぜそのようになったか」のストーリーなど、文脈もセットで購入できるサービスや物に可処分所得が大きく流れ始めていると思っており、今後も大きくなってくるのではないかと考えています。

なぜかと言いますと、趣味嗜好がますます多様になっていく世の中において、ストーリーや背景が見えないまま画一的に量産され大量流通されたところに可処分所得はなかなか流れていかないだろうと思っており、それではユーザーサイドが満足いかないようにになっていくと思っています。

世界的にD2Cと呼ばれる領域で、コンシューマに思いを持ったストーリーブランドが物をダイレクトに販売していくという流れが世界的に一気に伸びてきていることも、そのような消費の在り方の世界的動向の変化が1つの事例として出ているのかなと思っています。

そのような消費スタイルである応援購入の体験を上げていくのが、我々のサービスの世界観を広げていく上で非常に重要だと思っています。

流通市場におけるポジション

我々が狙う市場についてあらためてご説明します。我々は流通市場にフォーカスしており、そこに変革を起こしていると考えています。流通市場を3つに分類し、その中の0次流通市場という、1次流通と記載している一般流通に出回る前の流通市場に軸足を定めています。

そちらの最大プラットフォーマーになることで、多くの新商品や新サービスの1次流通前のゲートウェイとして成長していくことを中期で見ています。

この0次流通に価値のあるプラットフォームがあることで、今までであればお蔵入りしていた本当は価値のある新商品が、必要な人に向けてしっかりとデビューしていける可能性が高まってくると思っています。

それ自体が我々が本望としている「生まれるべきものが生まれ、広がるべきものが広がり、残るべきものが残る世界の実現」に向けて近付いていく一手だと考えています。

当社が狙っていく新商品EC市場の規模と市場の拡大可能性

新商品のデビュー市場ですが、オフラインも含めると5兆円ほどあると見込んでおり、その中でもオンラインの新商品のデビュー市場の規模としては現在でも7,000億円以上で、5年後は1兆円の規模になると考えています。

ただし、オフラインが5兆円というのはかなりあると思いますが、オンラインの数字はあくまで潜在市場だと考えています。なぜかと言いますと、現在は新商品のデビューの流通ステップは基本的にはオフラインです。

オフラインの見本市や卸、リアル店舗というのが基本のステップになっていると思いますので、5兆円の中の7,000億円や1兆円はオンラインのほうにまだ顕在化していないと考えています。それは世の中の流通ステップの課題だと思っており、我々がチャンスだと思っているところです。

7,000億円や1兆円という数字は、世の中の15パーセントから17パーセント程度あると言われているEC化率を小売サイドに端的に掛けた数字であり、同等レベル……デジタルトランスフォーメーション、最近だとDXと言いますが、DX化していけば本来ならあるべき規模感の数字だと捉えています。

新商品の流通ステップをDXしていき、より生まれやすくして価値を帯びていくことでこの市場を顕在化していくことが、我々のこの市場への向き合い方だと思っています。

2020年9月期の総括

決算情報の説明に移ります。通期の総括としては、新商品や新サービスのデビューのステップにおける「Makuake」の市場の浸透が進み、実行者、サポーターの両方とも「Makuake」の利用を継続的に拡大させることができたと考えています。

また、第3四半期に新型コロナウイルスによって一過性的にマスクや除菌アイテムの売上が急増したものが実は多分に含まれていましたが、第4四半期にはそのような一過性のものはほとんどなくなった状況でした。

しかしその分マイナスになっているのではなく、それを補っても余りある応援購入総額の成長を実現でき、底上がりとともに成長性を保てたことは非常にポジティブに考えています。

また従来の決算発表でもお伝えしたとおり、業績予想の予算を上回る営業利益分に関してはブランディングのプロモーションに投資していくということで、TVCMやタクシー広告などを実施しました。結果、「Makuake」のブランド認知度の大幅増につなげることができ、非常によいスタートだったと考えています。

コロナ禍での変化:Makuake利用浸透の底上げ

よくご質問がありますが、新型コロナウイルスにおける「Makuake」の周辺環境の市場の捉え方についてご説明します。新型コロナウイルスにおいて、新商品のデビューステップのDXが非常に加速したと考えています。

少し補足しますと、新型コロナウイルスによって大なり小なり消費者のライフスタイルやワークスタイルなどの価値観が変化したからだと思っています。そのタイミングで、企業としてもそのような消費者のニーズに合った新商品を投入する必要が生まれるという状況が起きました。

実はこのような新商品開発に積極的な会社は増えたと感じており、その流れに我々も乗ってきたというのはあります。

ただし、従来の新商品のデビューのステップとしてはオフラインの展示会や見本市など小売の既存の流通が基本でしたが、そちらが今までどおりに稼働できないということもあり、事業者がデジタル上で最適な手段を模索するようになったというタイミングの中で、まさに「Makuake」の出番となりました。

マーケットでの「Makuake」で新商品をデビューさせていくというステップの浸透が大きく進んだと考えています。

TV広告効果

9月に関東、関西圏を中心にTVCMやタクシー広告を展開しましたが、認知度を底上げできる非常によい結果となり、タイミングとしてもよいタイミングで打てたと考えています。

おそらくご覧いただいた方は多かったのではないかと思っており、私自身も周りの方々から会うたびに声をかけられたくらいしっかりリーチできたと考えています。

キャスティングとしては、芸人で一番演技を評価されているとニュースで拝見した原田泰造と、女性から強い支持を得ている板谷由夏を夫婦役として起用させていただきました。

我々がベンチャー企業やスタートアップと定義されることもまだまだありますが、サービスとプラットフォームとしてのメジャー感の創出にもしっかりとつながったと考えています。

消費者保護に関する体制や考え方

ユーザーの拡大に際して、あらためてプラットフォームの健全性の維持と消費者保護の取り組みをご紹介します。すべての案件において、STEPごとの審査やモニタリング体制でサポートしています。

STEP1ですが、掲載前に実現性のチェックを実施しており、同時に表記が景表法や薬機法に反していないかなどを審査法務部門にて確認しています。

よく「おもしろくないものは弾くんじゃないか」というご質問をいただきますが、おもしろいかどうかは我々の判断にしていません。プレゼンテーションしていただいていることが「実行できるのかどうか」「作れるのかどうか」「オープンできるのかどうか」、そのような視点で審査を行っています。

おもしろいかどうかは我々の運営サイドというよりは「Makuake」上のユーザーに委ねるというスタンスを取っており、そのようなポリシーで運営しています。

STEP2ですが、実行者に対して「Makuake」での先行販売期間の後、制作進捗のレポーティングを行うように促しています。できあがる前に応援購入されている場合、進捗が進んでいるかどうかはわくわく感とともに安心感にもつながります。

その安心感を創出すること自体は実行者としても義務であると考えていますので、そちらが行われていない場合はオペレーターがしっかりと促しています。また物理上、作る前に購入していただくため納期のズレはどうしても発生しますので、納品日がズレる場合の早めの告知も促せるように、しっかりモニタリングしています。

STEP3です。基本的には実行者とサポーターで問題解決を図ることをルールとしていますが、サポーターに対して実行者からレスがなかったり、対応が不十分といった場合も残念ながら発生します。そちらをプラットフォームとして放置せず、実行者サイドにしっかりと対応するように促しています。

サポーターからカスタマーサポートに「実行者の対応がいまいちである」というお話をいただいたり、SNS等で何か起きているのではないかということを察知してオペレーターが動くという対応を行っています。

STEP4です。中には「作れなかった」「言っていたものとまったく違うものが届いた」「倒産してしまった」という事情が年間数件発生します。このようなものは一定の厳格な基準をもとに、「Makuake」でも返金対応を行うことがまれにあります。

返金の原資等に関しても保険等で賄える仕組みを構築していますので、そちらを通して消費者の保護にできるだけ努めていき、プラットフォーマーでありながらも介入できる部分は介入していくハイブリッドモデルを現在模索しています。より健全なプラットフォーム運営を目指し、日々ブラッシュアップしているところです。

2020年9月期 業績概要 計画比

通期の具体的な数字ですが、7月に出した上方修正後の通期着地予想に対しても上振れるかたちで着地できました。

当時、7月の時点では新型コロナウイルスの今後の影響がわからないということでネガティブシナリオとして想定していた景気の悪化などを織り込んでいましたが、そのようなものがなかったことや、ブランディングプロモーションのよい影響などが主な要因と考えています。

応援購入総額としては、2020年度の通期で146億6,400万円という規模になり、営業利益も5億1,000万円と最終的に予算を上振れるかたちとなりました。

2020年9月期 業績概要 前期比(通期)

前年と比較しても著しく成長できた1年となり、応援購入総額が2.7倍と、期初に計画していた成長が1年前倒したかたちになったと思っています。

また、営業利益に関しても大きなプロモーション費用を投下したにも関わらずしっかりと出せたということは、収益構造としてトップラインが伸びていけば伸びていくほどそれにしたがって収益力も高まっていく構造であるということを、あらためて確認できた部分でもありました。

非常によい財務状況を維持した中で、プロモーションにも投下できた時期だったと振り返っています。

2020年9月期 業績概要 前年同期比(単Q)

第4四半期に切ってみても、昨年の同期比で応援購入総額が3倍以上の伸びとなりました。営業利益についてもプロモーションの投資分でマイナスにはなっていますが、トップラインの伸びもありましたので想定よりもマイナス分を抑えられたかたちになっています。

2020年9月期 業績概要 前四半期比

第3四半期との比較でも順調に伸びています。第3四半期の応援購入総額にも先ほど少し触れましたが、一過性と思われる額を分析したところ8億円前後あったと見ています。実力値で実質38億円前後と考えると、一気に分母が上がった第3四半期対比でも非常に順調な成長率を示せたと思っています。

応援購入総額の推移

応援購入総額の推移のグラフです。ご覧のとおり一気に成長した部分がありますが、そちらの成長に頼る採用を早期に強化していたため、この伸びをチャンスロスせずにしっかり取り込めたところは非常に良かったと思います。現在も採用と育成の強化を重点項目として進めています。

販管費の構成比

販管費の内訳比率を参考までに出させていただきました。第4四半期に初めてブランディング広告費としてTVCMやタクシー広告、一部のWebの動画広告を実施しましたが、そちらを黄色い棒グラフで表しています。

今後も定期的にブランディング広告をどんどん投下していく四半期が出てくると思いますので、このような投資をしっかりと行いつつ、トップラインを伸ばしていきたいと考えています。

ブランディング広告費を除いた場合の営業利益推移

こちらも参考までに記載していますが、ブランディング広告の投資の有無で、ある程度の利益の実力値が見えるグラフを作成しました。実は四半期で3億円程度の営利が出る規模までは成長しており、年度で掛け算するといよいよ2桁億円レベルの営業利益の規模に成長できる事業レベルになっているのが見てとれます。

今後しっかりとプロモーション投資を行っていきたいと思っていますので、実力値自体を伸ばしていきながらも、投資していくところはメリハリをつけてきっちりと行っていきたいと思っています。

2020年9月期 貸借対照表 前期比

財務状況ですが、昨年に比べて上場した時の資金調達の部分と営業キャッシュ・フローの積み上がりの部分で引き続き健全な財務処理を維持しています。

2020年9月期 利益率 前期比(通期)

我々が1つの指標としてウォッチしていた対GMV比の営業利益率ですが、今期はブランディング広告のポストを出した上で3.5パーセントとなっています。

2020年9月期 利益率 前四半期比(単Q)

こちらに関しては平時で6パーセントを超えてきていますので、どんどん上がってきている部分です。

GMVの伸びにしたがって長期的に10パーセントを超える率になるビジネスモデルと見込んではいますが、かなり角度が高いと思っているところが見えてきたため、前回の決算説明でもお伝えしたとおり今後は対GMV比の営業利益率や、営業利益率自体もこだわりはしないフェーズにして、しっかりとトップラインへの投資を続けいきます。

数千億円の流通規模になった際、対GMV比の営業利益率10パーセントを出していけるような実力値にしていきたいと考えています。

2020年9月期 主要指標 前年同期比(単Q)

その他のKPIですが、何度もお伝えしているとおり新型コロナウイルスによる新商品のデビューステップのDXの影響から、引き続き掲載開始件数の伸びが非常に顕著だったことがありました。

2020年9月期 主要指標 前四半期比(単Q)

アクセスUUですが、第3四半期に巣ごもりや、先ほどお伝えしたマスクや除菌グッズの一過性ニーズ等が一気に増えましたので、アクセス数が急増しました。

アクセス数の一過性の増加や巣ごもり需要の一過性のものを除くと1,000万UUは底上がっていると見ていますので、安定してユーザー数が伸びたことは非常にポジティブに思っています。

掲載開始数の推移(重要指標)

新型コロナウイルスのビフォー、アフターで、まだアフターではありませんが、著しく掲載開始件数が伸びたことが見てとれると思います。

実行者のMakuakeリピート利用率

「実行者がどのくらいリピートして使うか?」とよくご質問いただきますが、第4四半期の1,559件の掲載プロジェクトの中で、過去に「Makuake」を利用したことのある実行者のプロジェクトの率は26.6パーセントと高い比率になっています。

企業がしっかりとタイミングを見て新商品を出したり店舗を出していくと思いますが、そのデビューのステップにおいて「Makuake」というサービスが入ってきていることが日に日に多くなってきていると思っています。

着実に、紳士にどのようにしたらベネフィットを出していけるのか向き合い、リピートしていただける事業者を増やしていきたいと考えています。

リピート応援購入金額の推移

34ページは消費者サイドで、1年以内にリピートしているアクティブユーザーによる応援購入総額の比率を表したグラフになっています。黄色い部分が新規ユーザーですが、新規ユーザーがこの後リピートユーザーとしてアクティブに積み上がっていくことが続いているため、応援購入総額の成長につながっていることがわかります。

このリピート率の高さがプラットフォーマーとしての底力の1つになっていると思っています。

リピート応援購入率を高く維持できる理由

高いリピート率を送出できている仕掛けですが、4つのサイクルが好循環を生み出している思っています。

1つ目は、何にも増してユニークな新商品や新サービスが増えれば増えるほど自分好みに出会えますので、ここの部分は重要です。先ほどご紹介したとおり右肩上がりに一気に伸びている部分がありますので、1つワークしていただきます。

2つ目が、先ほどご紹介した安心安全のプラットフォームの維持で、こちらもしっかりと注力していこうと考えています。

3つ目が、普通の買い物とは違った応援購入という新しい体験がおもしろいということに尽きると思っていますが、単純に知っているものを値段と機能とデザインがいいから買うのではなく、そのストーリーや背景、思いなどを知れることがまず楽しいと思います。

また作り手に対してコメントができたりつながれる、応援の声が届くという自己効力感につながる体験は応援購入として非常に強みになっていますので、このようなユニークな体験が楽しい部分になっているかと思います。

4つ目はテクノロジーの部分ですが、自分が好きなジャンル、例えば日本酒と登録しておくとそのプッシュ通知がきたり、属性に従って機械学習にも力を入れているためレコメンドで自分にあった新商品に出会いやすくなっている機能もあります。

このような4つのサイクルが好循環になっていることで高いリピート率を維持できていると思っています。そのため企業サイドも消費者サイドもリピートしていく仕組みになっているという部分は、我々が成長している大きな理由の1つになっているというところです。

2020年9月 4Qに掲載を始めた主なプロジェクト

第4四半期で主だったプロジェクトをご紹介します。スライド左上の家庭用の大型充電器ですが、日本は毎年7月から9月に台風や大雨が多いこともあり、今年も各地でいろいろな被害が出ました。

そのためしっかり備えておきたいというニーズが生まれ、このような家庭用の大型充電器が伸びています。実は去年と同じよう理由で伸びましたが、今年も伸びたのが1つ特徴的だったと思っています。

その他にも、新型コロナウイルスによるライフスタイルやワークスタイルの変化により、家の中の生活を豊かに便利にしていくアイテムや、家の中での仕事を便利にしていくアイテム、家の中での食生活を豊かにしていく新しい食というアイテムの需要が高まったと思っています。

外出のニーズも高まっており、密を避けたアウトドアレジャーということで、キャンプやバーベキュー等で使えるアイテムが非常に伸びました。

2020年9月 4Qに掲載を始めた主なプロジェクト(大企業)

大企業の活用も進んでおり、キャノンは新しいIoT双眼鏡を作ったり、ASICSはIoT連動のシューズがコーチになって走り方をコーチングしてくれる靴「IoTシューズ」をデビューさせたり、パイオニアが車の中で使えるグッズを作る時も「Makuake」を使っていただきました。

このような大手ブランドや有名ブランドが新商品を提供する時にも使っていただいています。また、繊維商社の大手の豊島に消費者向けの新商品の開発で活用していただいたり、素材メーカーの東レが新商品としてコンシューマ商品を出していく時に活用していただくという、大企業の活用事例も進んできました。

2020年9月期に掲載を始めたプロジェクトのジャンル別構成比

利用プロジェクトのジャンル別のグラフです。プロダクトが多いですが、だいぶいろいろなジャンルが含まれており、便利グッズもあればキッチン用品や家電アイテム、ステーショナリーなど、本当に多岐に渡っています。

ファッション関連のアイテムが単独としては一番多く、ジャケットやかばん、靴などの革小物、身に付けるもの、持ち運ぶものを含めていろいろなファッションアイテムが「Makuake」を通じてデビューしています。

その他もレストランやフードなどのジャンル、食のジャンルも大きな比率となっており、エンタメや、まだ小さいですがコスメ・ビューティージャンルも今後拡大していく兆しを見せています。

Topics

第4四半期の主なトピックです。羽田空港に新たにできた「和蔵場」という飲食と商業スペースが合体したようなスペースがありますが、そちらに「Makuake」でできた商品を展示するスペースを作らせていただきました。

また、ニューズピックスが銀座の東京にオープンした商業スペースに展示販売のブースを開設したりと、このような時期ですがオフラインでリアル体験のブランディングの試作としての強化も継続して行いました。

他にも「SmartNews」というニュースアプリに「Makuakeチャンネル」という新タブをオープンしました。こちらは「Makuake」のプロジェクトの詳細ページを並べているのではなく、「Makuake」のプロジェクトがどんどんいろいろなメディアでニュースになっていますので、このニュースをまとめるチャンネルになっています。

いろいろなニュースの切り口で非常にユニークなものになっており、我々とはまた違う見え方になりますので、独特なチャンネルとして非常に評判がよく僕も楽しく見ている部分です。

その他では、今回新型コロナウイルスでリアル開催は控えましたが、毎年開催している周年のアワードイベントをオンラインで開催しました。オンラインのため逆により多くの方々にご覧いただき、非常に感動的なイベントになったと思っています。来年はどのように開催するかといううれしい参考材料になりました。

拠点の拡大としては、ポータル名古屋拠点を新たに開設しました。もともと「Makuake」の利用が多かった東海、中部地方に向けてより手厚くサポートしていくかたちで1つ拠点を増やしました。

Makuakeの生態系強化

今後の中期成長戦略をご紹介します。先ほどの我々が0次流通のプラットフォーマーとして新商品のデビューを後押ししているとお伝えしましたが、まずはこちらを後押ししていく力を高めるべく生態系を強化していこうと考えています。

スライドに「Makuake」のロゴがありますが、オンラインでの新商品のデビューの場所であると位置づけており、こちらを軸足にまずは左の部分で、より企画のほうに入っていきたいと思っています。

すでに展開している「MIS」は、「Makuake」での未来のヒットノウハウのようなヒットデータを活用しながら、大企業の研究開発部門と一緒に新商品をプロデュースしているところも一部あります。

今後はこのデータベースをいろいろな企業と提携しながら活用していくことで、より解像度高く未来のヒットトレンドが見えてくると思っています。

未来のユーザーインサイトのようなデータをより多くの会社に配布していくことができれば、新たな市場におもしろい商品が投入されやすくなる生態系になっていくと考えています。このようなコラボレーションできる会社や、自社でどのようなツールを作っていくかといったところに、今後はフォーカスしていきたいと思っています。

「Makuake」の前がプロデュースフェーズで「Makuake」がデビューフェーズだとしたら、「Makuake」のあとはグロースフェーズだと思っています。

このグロースフェーズにおいて、先ほど少し触れたとおり、すでに「Makuake」がバイヤーにとっての仕入れのネタ帳になっているため非常にアクセスしてもらっている部分が多いです。

このようなバイヤーに向けての各種のサポートサービスを行っていけたらと思っています。いろいろなバイヤーが店舗に商品を仕入れる際に我々がサポートすることで、「Makuake」でできた素敵な商品がより広がりやすくなると考えています。

さらに「Makuake」のあとで言いますと、すでに実施しているところでは「Makuake」の中に「Makuake」後も継続EC販売できる「Makuakeストア」という機能がありますので、そちらの強化も実施していきます。

最近は自社のECサイトでの販売も増えてきていますので、「Makuake」を使っていただいたメーカーが「Makuake」でデビューした商品を自社で販売していく時のサポート体制も強めていきたいと思っています。

「Makuake」を使っていただく企業はEC運営にそれほど慣れていないところがありますので、このようなECの運営をサポートできるような会社を組むか、もしくは自分たちで行うというところを強化していきたい部分です。

また「Makuake」のあとの流れとして、amazonや楽天のようなショッピングモールに出店していくこともありますので、そちらもサポートしていきたいと考えています。以上がオンラインの動きになりますが、オフラインもしっかり強化していきたいと思っています。

スライドの左下です。最近は新型コロナウイルスで開催できていませんが、過去に定期的にいろいろな展示会とコラボレーションし、「Makuake」のブースを持っていったり、総合紹介を行ったりしていましたので、展示会も自社開催を含めながら検討していきたいと思っています。

「Makuake」はリアルのショップが現在10店舗ほど全国津々浦々にありますが、ショップもいろいろな体験のブラッシュアップや拡大といったところで強化していきたいと考えています。

このようなところを今後、資本提携、M&A、自社で構築していく部分などケースバイケースで最大効果が出せるようなかたちで検討を進めていき、プロデュースからデビュー、グロースといったところをしっかりと一気通貫でサポートすることで、0次流通から1次流通に橋渡しする最大の、そして最高のサービスとしていきたいと考えています。

こちらを今後は国内だけではなく、より立体的に国内外も含めて検討していく生態系を考えています。今後もしっかりとグロースさせていく上で先行投資を行っていきたいです。

認知度拡大のための積極的なブランディング広告投資

2020年度に大きな予算を使いましたが、広告ブランディングの投資も積極的に進めていきたいと考えています。

特にテレビ、最近だと動画ですね、ネット動画やタクシー広告等々いろいろな手段があると思いますが、特に手段を絞ることなく柔軟に考えながら展開していきたいと思っています。こちらに関してはしっかり投資を続けていきたいと思っています。

応援購入総額の規模拡大を最優先にした利益調整

43ページは前回も出しているイメージ図ですが、今後も営業利益としては微増益でとどめ、その分トップラインにしっかりと投資していくことを考えています。まずは数千億円の流通規模になるまでこちらを続けていきたいと思っていますので、チャンスロスのないようにしっかり投資していくことを考えています。

ESGを意識した事業拡大

ESGも取り組みを強化しており、我々は「E」「S」「G」の中で特に「S」、ソーシャルの部分が非常にユニークで、ソースの社会性が非常に高い事業だと評価されています。

事業自体が地域の事業の産業創出に貢献していたり、それによって地域貢献、地域活動につながったり、大企業の新しい技術をお蔵入りさせない、未来に向けた技術を事業化させていく部分もあります。

また、地方の一流企業に関しては非常に跡継ぎ問題等あると思いますが、跡継ぎがあとを継いだあとに新規事業にチャレンジしやすいように後押しするプラットフォームでもあると思っています。

事業がそのままストレートにこのような社会性につながっていくことは、我々も集中して事業に取り組みやすいところでもあります。ESGのすべてをバランスよくと意識しながら、こちらの部分も進めていきたいと思っています。

2021年9月期通期業績予想

最後になりますが、2021年の業績予想です。応援購入総額は今期の1.7倍になる249億2,400万円を見込んでいます。売上は51億7,200万円、営業利益は先ほどお伝えしたとおりプロモーションへの先行投資という部分もつきますので6億2,000万円と微増益で発表させていただきました。

2020年度に予想不可能だった新型コロナウイルスの影響で、前年比でトップラインで3倍伸びました。こちらはさすがにイレギュラーな成長率だと思い、我々も楽観視はしていません。

実は新型コロナウイルスの前も比較的高い成長率を維持していましたので、今期もしっかり新型コロナウイルス前の1.7倍前後という成長率に着実に成長していきたいと考えています。ただし、その中でもしっかりとプロモーションを中心とした先行投資を行っていくことでチャレンジを仕掛けていきたいと考えています。

生態系を強化していく投資を行いたいと思っていますので、先ほどお伝えしたとおり、投資フェーズにおいてチャンスロスが起きないようにマーケットをしっかり注視しながら、集中して引き続き事業に取り組んでいきたいと思っています。

今後ともぜひ応援していただきたいと思っていますので、引き続きこの事業をご支援いただければと思っています。応援のほど、よろしくお願いいたします。以上をもちまして、私からのプレゼンテーションは終わりたいと思います。ご清聴のほどありがとうございました。

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