これまで筆者は多くのお金の平均値をみてきましたが、「みんなそんなに貯金があるの?!」「そんなに稼いでいるのか…」と驚くことが多かったと感じます。それもそのはずで、平均値はある少数のデータが大きく引き上げてしまうこともあるからです。

「平均」というと、「普通」とか「一般的」といった言葉をイメージしやすいですが、例えば極端な例ですが、ビル・ゲイツ氏などのような超お金持ちが含まれていたら、当然のことながら平均値は実態とはかけ離れた貯蓄額となるでしょう。

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯)」によると、貯蓄現在高の平均値は1,755万円です。しかし貯蓄保有世帯の中央値は1,033万円、貯蓄ゼロを含む中央値は967万円と1,000万円以下になります。

「統計豆知識~平均値と中央値~」によると、

たくさんのデータを集めた統計をわかりやすく表すためによく使われるのが平均値です。富士山のように左右に同じように広がって分布しているときには,平均値が実感に合っています。ところが,(上の)貯蓄のように,左側から右肩下がりのグラフになるときには,平均は必ずしも実感と合いません。このような場合には,額の低い方から数えた真ん中の世帯の額(中央値)を確認したり,世帯分布のグラフを確認したりすることが必要です。

(出典:総務省統計局「第5章 家計資産」より)

今回は中央値を中心にみていきたいと思います。

中央値でみる、年齢別の貯蓄と負債状況

知るぽると(金融広報中央委員会)の「家計の金融行動に関する世論調査」(2019年)から、年齢別の貯蓄の中央値を中心にみてみましょう。中央値とは、データを小さい順に並べた時のちょうど真ん中にくるデータのことです。