株式市場の振り返り-円高進行のマイナス影響を吸収して日経平均株価は底堅い動きに
2016年8月1日(月)の東京株式市場は底堅い動きとなりました。日経平均株価は前日比+0.4%上昇する続伸となりましたが、TOPIXは▲+0.1%の下落で引けています。一方、新興株式市場の東証マザーズ総合指数は+2.1%の上昇となりました。
日経平均株価は、102円/ドル台を付ける円高進行を受けて、前日比▲153円安で寄り付いた後、間もなく一時▲250円安まで下落しました。しかし、その後は切り返して前場のうちにプラス転換した後、後場の開始直後は+108円高まで上昇する場面が見られました。その後は膠着状態になり、大引けは+66円高の16,635円で終わっています。円高進行の割には底堅く推移したと言えましょう。
東証1部で上昇したのは508銘柄、値下がり1,384銘柄、変わらず78銘柄でした。東証1部の出来高は24億409万株、売買代金は2兆4,867億円(概算)となっています。値下がり銘柄数が非常に多いのが特徴でした。
セクター動向と主要銘柄の動き-指数寄与度の高い値嵩株が上昇、金融関連はまちまち
東証1部で上昇したのは8業種、下落したのは25業種でした。上昇率上位は、銀行が先週末に引き続きトップになりましたが、逆に証券は下落率トップになっています。全体的に大きな特徴は見られませんが、強いて言えば、内需関連がやや弱いという印象があります。
個別銘柄では、ファーストリティリング(9983)とソフトバンクグループ(9984)が共に大幅高となり、日経平均株価の小幅上昇を牽引しました。他にも、KDDI(9433)、ファナック(6954)、TDK(6762)も値を上げ、指数の底上げに寄与しています。先週末に決算発表を行った企業では、ソニー(6758)が大幅高となり、年初来高値を更新して終わりました。一方で、村田製作所(6981)や東京エレクトロン(8035)が大幅下落となり、ライオン(4912)や任天堂(7974)も値を下げました。
東証マザーズ市場の動き-依然厳しい閑散相場の中で総合指数は+2%超上昇の続伸に
東証マザーズ総合指数は、寄り付きは小安く始まりましたが、前場の半ばから切り返して、+2%超上昇の続伸となりました。大型株市場より大幅に高い上昇率は久しぶりです。しかし、出来高は先週末を大きく下回る3,659万株に止まりました。一部の値嵩株が買われたことで、売買代金は若干増えて723億円となりましたが、深刻な薄商いが続いています。とても新興市場の動きとは思えません。なお、値上がりが109銘柄、値下がりは107銘柄、変わらず7銘柄でした。閑散相場を打破する物色テーマの登場が待たれます。
個別銘柄では、そーせいグループ(4565)が久々に大幅高となったのを始め、グリーンペプタイド(4594)、サンバイオ(4592)、ヘリオス(4593)など、アキュセラ(4589)以外の医療バイオ関連銘柄が軒並み上昇しました。また、時価総額の大きいCYBERDYNE(7779)は小幅高、ミクシィ(2121)は大きく値を上げて、ともに指数上昇に寄与しています。その他では、アカツキ(3932)、LITALICO(6187)等の上昇が目立ちましたが、その他には特に目立った動きは見られず、新興市場らしからぬ相場が続いているようです。
本日(8月2日)の注目点-Q1決算発表の第2弾が本格スタート、底堅さ第2弾なるか
週明けで月替わりとなった1日は、円高進行で軟調な展開が予想されたものの、意外な堅調ぶりを示した形となりました。ただ、下落銘柄数が圧倒的に多い中で、日経平均株価が小幅上昇したのは、底堅いと評価できる一方で、無理矢理に上昇させられた感もあります。一部の値嵩株の売買によって、底堅さが演じられたのかもしれません。こういう時は、粗い値動きに注意が必要です。
さて、2日(火)から本格的なQ1決算発表の第2弾がスタートします。今週は、業績相場へのシフトが加速するかどうかが確認できる重要な週になりますので、改めて各社の、とりわけ、主要企業のQ1決算に注目しましょう。引き続き、キーワードは“一旦、悪材料出尽くし”となります。逆に、足元で円高が進行しているため、楽観的な為替前提を据え置くようなパターンは、株価の再評価に繋がらないと考えられます。その意味からも、電機セクター、輸送機セクター、精密機器セクターに注視したい場面と言えましょう。
新興市場は、1日は続伸となりましたが、状況に大きな変化はありません。かなり厳しい閑散相場が続いており、尚且つ、導入したばかりの先物指数の影響も出始める頃です。冒険は避けて、様子見に徹したいところです。ただ、活気がない新興市場といえども、個別銘柄の決算動向は要チェックです。
青山 諭志