株式市場の振り返り-日銀の金融政策結果に対する思惑で乱高下、最終的には小幅上昇に
2016年7月29日(金)の東京株式市場は反発となりました。日経平均株価は前日比+0.6%の上昇、TOPIXも+1.2%の上昇で引けています。また、新興株式市場の東証マザーズ総合指数も+1.0%の上昇となりました。
日経平均株価は、前日比▲117円安で寄り付いた後、前場は前日終値を小幅に下回る推移となりました。しかし、日銀の金融政策決定会合の結果に対する思惑から、後場に入ると大きく変動し始めます。後場の開始間もなくには一時+202円高まで上昇すると、すぐに一時▲302円安まで急落しました。それから再びプラス圏に切り返すと、すぐに再び▲300円超安に下落する“バンジージャンプ相場”となりましたが、大引けは+92円高の16,569円で終わっています。
東証1部で上昇したのは1,241銘柄、値下がり604銘柄、変わらず126銘柄でした。東証1部の出来高は31億8,874万株、売買代金は3兆2,967億円(概算)となっています。金融政策のイベントによる変動があったとはいえ、高水準の商いとなりました。
セクター動向と主要銘柄の動き-マイナス金利拡大見送りで金融関連セクターが急騰
東証1部で上昇したのは25業種、下落したのは8業種でした。マイナス金利拡大が見送られたことから、上昇率上位には、銀行など金融関連セクターが名を連ねました。一方、下落した業種には、不動産など金利低下メリットの大きい業種が多く見られています。
個別銘柄では、野村ホールディングス(8604)が急騰し、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)や三井住友フィナンシャルグループ(8316)も大幅高となりました。また、ソフトバンクグループ(9984)も大きく値を上げ、任天堂(7974)も堅調でした。さらに、場中に決算発表を行ったアイシン精機(7259)も急伸しました。一方、京セラ(6971)が大幅安となり、ファナック(6954)、コマツ(6301)、村田製作所(6981)、花王(4452)などが値を下げて終わっています。
東証マザーズ市場の動き-総合指数は一時900ポイント割れも、最後は反発にこぎつける
東証マザーズ総合指数は、寄り付きから前日比マイナス圏に沈み、900ポイント割れで推移しました。しかし、大引けに掛けて切り返した結果、何とか900ポイントを維持する反発で終わっています。また、出来高は4,179万株、売買代金も676億円となり、前日より増加しましたが、深刻な低水準に変わりはありません。大型株市場からの資金シフトはまだ起きていないようです。なお、値上がりが130銘柄、値下がりは95銘柄、変わらず6銘柄でした。
個別銘柄では、そーせいグループ(4565)が小幅高となり、アキュセラ(4589)が大幅高になるなど、久しぶりに多くの医療バイオ関連銘柄が値を上げました。その他では、前日に好決算を発表したフリークアウト(6094)がストップ高となり、一方で、東証が管理銘柄に指定したエナリス(6079)はストップ安になるなど、一部の銘柄で激しい値動きが見られました。しかし、その他には特に目立った動きは見られず、新興市場らしからぬ相場が続いているようです。
本日(8月1日)の注目点-軟調な推移が予想される中、好業績銘柄の下値に注目
29日(金)は日銀金融政策決定会合の結果で相場が右往左往しました。しかし、従前から、過剰な期待を持つべきでないと主張してきましたので、大きなショックはないものと確信しています。今後も、日銀の金融政策には一切の期待を持たずに、冷静に臨むべきでしょう。
一方で、Q1決算発表はピークの第1弾を終えました。日銀の金融政策に振り回されましたが、業績相場は着実に進んでいると見てよさそうです。ただ、週末の海外市場では再び円高が加速しており、月替わりの1日(月)の相場は軟調な推移が予想されます。その軟調な推移の中で、好業績銘柄の下値を拾う戦略が望まれます。引き続き、電機セクターや景気敏感業種に注目したいところです。
新興株式市場には大きな変化はありません。日銀イベントは通過しましたが、曲がりなりにも“追加緩和策”が出たことで、大型株市場への資金シフトが続く可能性があります。新たな物色テーマが登場するまでは冒険は控え、じっくりと待つスタンスが良いのではないでしょうか。
青山 諭志