仮面夫婦は一見「夫婦の愛が冷めきっている状態」と思われがちですが、それだけではありません。中には「異性としては見られなくなったけど、家族として割り切っている」「恋い焦がれる感情はないけど、子どもを育てる良きパートナーだよ」と話してくれる仮面夫婦も多く、仮面夫婦として幸せに暮らしている夫婦を何組も見てきました。
仮面夫婦として上手く機能している場合、男性側は「家事や育児の面で助かっている」という人が多く、女性側は「経済的に大きな支えになっている」と話してくれる人も少なくありませんでした。
また、仮面夫婦を子どもの前でも徹底して演じることによって、子どもへ悪影響を与えるどころか「お父さんとお母さんはいつも仲良しだ」と感じさせることに成功している夫婦の姿もありました。
仮面夫婦で幸せになった夫婦
これは筆者の両親の話です。筆者の両親は双方に我が強く、若い頃はケンカが取っ組み合いに発展することもしばしば。
母は筆者が幼い頃から「離婚願望」が強く、ケンカの度に「離婚」を口にしていました。そんな両親も、もうすぐ結婚40周年。離婚危機をなんとか乗り越え、仮面夫婦を演じ続けてきた夫婦です。
筆者は幼い頃から「そんなにケンカばかりするなら、さっさと離婚すればいいのに」とすら思っていましたが、両親は仮面夫婦であり続けることを選択しました。ぶつかり合いながらも仮面夫婦を演じていると、ある時から「演じていた仮面が本物になり始めた」と母が教えてくれたのでした。
母曰く、仮面夫婦を演じているうちに父のどうしようもない人格に慣れ、「この人はこういう人なんだ」と諦めがついたそう。
それ以降は父に対して無駄に期待することが減り、お互いの関係性も安定し始めてケンカも減りました。今では2人で温泉に出かけたり一緒に買い物へ行く機会も増え、昔とは比べものにならないほど安定した夫婦生活を送っています。