このイギリスの国旗、どこが「まちがい」かわかりますか?

親子でチャレンジ、国旗のまちがいさがし

【正解の画像】赤い斜め線の位置がちがう。ちなみに旗の縦横比は1:2

本来の「ユニオン・ジャック」は軍艦に掲げられる旗

 これは意外に難しい問題だったかもしれません。

 正しいほうの国旗(別画像)をよく見てください。斜めの赤い線が走っているのは、同じく斜めの白い線の「中心」ではなく、ちょっとずらした位置ですね。もちろんこれには意味があります。

 イギリスの国旗は「ユニオン・フラッグ」と呼ばれています。ユニオン(連合)という名前がついているように、この国旗は、複数の国の旗が組み合わされてできたデザインなのです。ちなみに日本では「ユニオン・ジャック」と呼ぶ人も多いようですが、本来、「ジャック」とは、軍艦の艦首に掲げられる「艦首旗」のことを指す呼び方で、陸上で使われる旗ではありません。

 ユニオン・フラッグは、白地に赤い十字のイングランドの旗(聖ジョージ旗)と、青地に白い斜め十字のスコットランドの旗(聖アンドリュー旗)、それに白地に赤い斜め十字のアイルランドを表す旗(聖パトリック旗)の3つのデザインが組み合わさってつくられています。

 なお、「聖ジョージ」「聖アンドリュー」「聖パトリック」は、3つの国それぞれの「守護聖人」を表しています。守護聖人というのは、キリスト教の教えの中で、特定の国や地域、職業などを守っているとされる聖人のことを指します。

最初は「2つの旗」を組み合わせたものだった

 もともと1606年につくられた最初のユニオン・フラッグは、イングランド女王だったエリザベス1世が亡くなったことで、当時のスコットランド王がイングランド王を兼ねることになったときに、2つの国の旗を組み合わせてできたものでした。そのため、いまのイギリス国旗にある「赤い斜め十字」はまだ入っていませんでした(別画像参照)。

 それから約100年後の1707年には、イングランド王国とスコットランド王国が統合して「グレートブリテン王国」となります。

1606年につくられた「初代」のイギリス国旗

 その後、1801年にグレートブリテン王国とアイルランド王国が合同して、「グレートブリテンおよびアイルランド連合王国」が成立したときに、以前のユニオン・フラッグにアイルランドの聖パトリック旗を組み合わせて、現在のユニオン・フラッグがつくられることになりました。

 ただ、これらの旗を単純に重ねてしまうと、斜め十字のスコットランドの旗の上に、同じく斜め十字のアイルランドの旗がそのまま載ったデザイン(またはその逆)になってしまいます。どちらにしても2つの国に優劣をつけることになるため、そうならないように、スコットランドの白い斜め十字とアイルランドの赤い斜め十字の位置を少しずらしているのです。

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「あの旗」が入っていない……?

 ちなみに、オリンピックでは、1つの「主権を持つ国」で代表は1チームしか認められていないため、イギリスとして出場していますが、サッカーのワールドカップなどでは、連合王国としてのイギリスではなく、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドと、4つの地域が別々に出場しています(ラグビーなどでは北アイルランドの選手はアイルランド共和国代表に入ります)。

 ここまで説明すると、「でも、どうしてウェールズの旗は、イギリスの国旗に組み入れられていないの……?」という疑問が出てくるかもしれません。実は、ウェールズは1282年にイングランド王のエドワード1世によって併合され、16世紀前半には法律の上でもイングランド王国の一部とされたため、初代ユニオン・フラッグがつくられた1600年代はじめには、すでに「独立した国」という扱いではなかったからです。

 このように、イギリスの国旗には、日本人には意外と知られていない歴史が表れています。イギリスのEU離脱に反対しているスコットランドが将来、仮にイギリスから分離すると、歴史あるユニオン・フラッグのデザインが変わるかもしれませんね。

 

この記事の出典:
苅安望[監修]『国旗のまちがいさがし

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2005年創業。ビジネス書・実用書を中心とした書籍出版や企業出版、メディア・コンテンツ事業、デザイン制作事業などを手がける。

主な刊行書籍に、20万部突破の『誰からも「気がきく」と言われる45の習慣』をはじめ、『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』 『起業家のように企業で働く』 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』 『自分を変える習慣力』 『鬼速PDCA』など。