2020年1月30日に行われた、株式会社あおぞら銀行2020年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社あおぞら銀行 代表取締役社長 CEO 馬場信輔 氏\n株式会社あおぞら銀行 取締役専務執行役員 CFO 芥川知美 氏
決算ハイライト
馬場信輔氏(以下、馬場):あおぞら銀行の馬場でございます。本日はお忙しいところご参加いただき、誠にありがとうございます。また、投資家・アナリストの皆様には、日頃より大変お世話になっております。最初に、私から一言、お話させていただきます。
当期は、法人およびリテール向けの顧客ビジネスが好調に推移したことに加え、マーケット業務も堅調な実績となりましたことなどから、連結粗利益は通期業績予想に対して、約85パーセントの進捗。親会社株主純利益も、約82パーセントの進捗となりました。
第3四半期の配当は、第1四半期・第2四半期同様、1株あたり年間配当予想156円の4分の1にあたります、1株あたり39円と決定いたしました。
当行グループは、ビジネス分野ごとの選択と集中を進めていくとともに、将来の成長のため、新しいビジネスへの取り組みも実施しております。
昨年7月には、リテール業務における顧客基盤の一層の拡充を目指して、スマートフォンアプリを軸とした新しいマネーサービス『BANK』の提供を開始しております。おかげさまで、新規口座ならびに預金残高とも順調に増加しております。
これに加え、アジア経済の成長を取り込むべく、ベトナムの金融機関に対する戦略的投資を行うことも決定しております。
先行き不透明な業務環境が続くことが予想されますが、今後ともリスク管理を徹底しつつ、将来の持続的な成長に向けた取り組みを推進してまいります。
ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続きご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。それでは、CFOの芥川より、決算につきましてご説明申し上げます。
損益:概要
芥川知美氏(以下、芥川):芥川でございます。投資家・アナリストの皆様には、日頃より大変お世話になっております。本日公表しましたニュースリリースに沿って、2020年3月期第3四半期決算の説明を申し上げます。
損益の概況をご覧ください。当期のトップライン、連結粗利益は前年同期比122億円増加し、750億円。経費は前年同期比22億円増加し、381億円。実質業務純益は前年同期比99億円増加し、368億円となりました。
与信関連費用は5億円の利益、法人税等は142億円の費用となり、ボトムライン・親会社株主純利益は、前年同期比横這いの297億円となりました。それでは、個別項目についてご説明いたします。
損益:連結粗利益 ー 資金利益 ー
資金粗利益は前年同期比28億円減少し、371億円となりました。運用サイドは、貸出金利息が前年同期比34億円増加した一方、有価証券利息配当金が前年同期比39億円減少したことなどから、資金運用収益は前年同期比横這いとなりました。
貸出金利息の増加につきましては、国内貸出残高が増加したことに加え、国内低金利環境が継続するなか、スペシャリティファイナンスの取り組みにより、貸出スプレッドが増加していることによるものでございます。
一方、有価証券利息配当金の減少は、私募投信の解約益が、前年同期比36億円減少したことが主な要因です。
調達サイドは、前年同期比と比べ外貨調達コストが上昇したことから、資金調達費用は、前年同期比27億円の増加となりました。資料には記載がございませんが、私募投信の解約益の影響を除くと、資金利益は前年同期比8億円増加しております。
利回りは、国内貸出金利回りが上昇した一方、私募投信の解約益などの減少により、有価証券利回りが低下いたしました。
資金調達利回りは、外貨調達コストが前年同期比では上昇したことにより、上昇いたしました。なお国内の調達コストは、低金利環境を反映し、低下しております。
ネットの資金粗利鞘は表の一覧下のとおり、前年同期比16ベーシスポイント縮小し、1.17パーセントとなりました。こちらも資料に記載がございませんが、私募投信の解約益の影響を除くと、資金粗利鞘は前年同期比4ベーシスポイントの縮小に留まり、1.154パーセントとなっております。
損益:連結粗利益 ー 役務取引等利益・特定取引利益 ー
役務取引等利益は、事業法人のお客様に対する提案型営業による、付加価値の高い案件の取り組みに注力した結果、貸出関連手数料が好調に推移し、全体では前年同期比17億円増加し、95億円となりました。
参考欄に記載しておりますが、特定取引利益に計上される、仕組債販売に係る利益を含めた個人のお客様への投資性商品販売利益は、前年同期比13億円増加し、58億円となりました。
投信や保険の販売に係る利益が伸び悩んだものの、仕組債の販売に係る利益は、オーダーメイド型商品の組成等、お客様の運用ニーズにきめ細かく対応したことから、順調に推移しております。
特定取引利益は、只今申し上げました仕組債の販売収益に加え、金融法人および事業法人のお客様向けデリバティブ関連商品の販売が拡大したこと。
さらに、やや昨年振るわなかったトレーディング収益も、顧客ビジネスの拡大に合わせて堅調に推移したことなどから、前年同期比71億円増加し、125億円となりました。
損益:連結粗利益 ー その他業務利益 ー
国債等債権損益は、米国債、REITの売却益を中心に、前年同期比82億円増加し、123億円の利益となりました。
市場環境の変化を捉えた機動的な対応を行ったことにより、期初に想定していた水準に比べ、前倒しで利益が計上できており、また評価損益も3月末対比で増加しております。
国債等債権損益を除くその他の業務利益については、前年同期比20億円減少し、33億円の利益となりました。
組合出資損益は、不良債権関連やバイアウトを中心に堅調な実績で推移しており、全体で64億円の利益を計上しております。
以上によりまして、非資金利益は前年同期比150億円増加し、378億円。連結粗利益は損益概況で申し上げましたとおり、750億円となりました。
損益:経費
次段の経費につきましては、GMOあおぞらネット銀行や、新しいマネーサービス『BANK』の提供による経費増加などにより、前年同期比22億円増加し、381億円となりました。
引き続き、コストコントロールに努めており、通期予算530億円に対する進捗率は72パーセントとなっております。OHRは50.9パーセントとなりました。
なお、単体ベースのOHRは45パーセントとなっております。その結果、実質業務純益は368億円となりました。
損益:与信関連費用
与信関連費用は、上期の不良債権の発生により、個別貸倒引当金の繰入が増加したものの、保守的な引き当てを実施している正常下位大口先の格上げ等に伴い、一般貸倒引当金の税入益を計上したことなどから、全体としては5億円の利益となりました。
なお10月-12月期については、貸出残高の増加に伴う一般貸倒引当金の繰入増加により、全体として9億円の費用となりましたが、不良債権の新規発生はございません。
従来より保守的な引当方針を継続しており、当期末の貸出金全体に対する貸倒引当金の比率は、1.41パーセントと高い水準を維持しております。
株式等関連損益は46億円の利益となりました。法人税等は142億円の費用となり、以上の結果、損益概況でご説明いたしましたとおり、当期の親会社株主純利益は、前年同期比横這いの297億円。通期業績予想に対して、81.5パーセントの進捗となりました。
バランスシート:概要
バランスシートについてご説明いたします。主要項目につきまして、スライドをご覧ください。
バランスシート:調達
預金、譲渡性預金、債権、社債の残高を合計したコア調達が、2019年3月末、1,372億円増加し、当期末残高は3兆6,519億円となりました。このうち、個人のお客様からの調達が3月末比1,684億円増加し、個人調達比率は55パーセントとなっております。
冒頭、社長の馬場からも紹介させていただいた新しいマネーサービス『BANK』ですが、2019年7月のサービス開始以来、大変ご好評いただいておりまして、新規口座・預金残高とも順調に増加したことが、個人のお客様からの調達残高の増加に繋がっております。
バランスシート:貸出 ー 全体・国内業種別 ー
続きまして、貸出金は3月末比1,585億円増加し、2兆9,384億円となりました。国内向け貸出は、適切なリスク・リターンの発布を重視した運用を継続するなか、貸出スプレッドの拡大を図り、残高が前期末1,688億円増加いたしました。
バランスシート:貸出 ー 海外向け ー
また、海外向け貸出は102億円減少したものの、米ドルベースでは4,100万ドルの増加となりました。
貸出ポートフォリオの資産の質と、リスク耐性を高めるため、北米向けコーポレートローンの一部について入れ替えを実施するなど、リスク管理の強化を図りつつ、慎重かつ選択的に売上を行っております。貸出金全体に対する海外向け貸出の比率は、国内貸出の増加により、36.8パーセントとなっております。
バランスシート:有価証券
有価証券は外国国債、モーゲージ債等の増加により、3月末比53億円増加し、1兆2,461億円となりました。当期において、市場環境の変化を捉えた機動的な対応により、123億円の売却益を計上しておりますが、当期末の評価損益は3月末比172億円増加し、551億円の益となっております。
当行は株式の一部についてヘッジを行っておりますが、実施手段の評価損益を含めたネットの評価損益は、3月末比252億円増加し、395億円の益となっております。
金融再生法開示債権は、破綻先に対する32億円の再生ファイナンスの取り上げ等により、3月末比30億円増加し、186億円。開示債権比率は0.07ポイント上昇し、0.62パーセントとなりました。
9月末対比では、開示債権は19億円の減少。開示債権比率は0.09ポイントの低下となっております。
参考:自己資本比率(2019年9月末)
当期末の自己資本比率は後日報告させていただきますが、引き続き十分な水準を維持する見込みでございます。なお冒頭、社長の馬場からコメントありましたとおり、第3四半期の1株あたり配当は、年間配当予想156円の4分の1にあたる39円に決定いたしました。
決算のご説明は以上で終わります。ステークホルダーの皆様におかれましては、今後ともあおぞらグループにご支援賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。