「夫は、『僕はもう耐えられない。君はもうすぐ42歳、僕も45歳になる。正直、僕が不妊治療に向き合うのが怖くなってしまった。子どもはいらない、ゆっくり二人で過ごしたい。それが無理だというなら、お互いのために離婚しよう』と言ったのです」
Aさんは、その言葉を受け入れられなかったそう。自分がこれだけ子どもが欲しいと思っているのに、そんな後ろ向きの考え方をしていたなんて!と悲しい気持ちになり、強い口調で言い返したといいます。
「そのときは私も『どうしても諦められない!』と、結婚してはじめて大喧嘩をしました。簡単に『離婚』と言い出したことも頭にきて。でもそのあと冷静になって、夫なりにいろいろ考え、簡単に口にしたわけではないことが理解できてきました。そして、ゆっくり二人で過ごしたいと言ってくれたことが染みわたってきたんです」
本当のところ、Aさんは今でも子どもを諦めるという決心はついていないそう。でも、来月できるか分からない妊娠と、来月には去ってしまう夫、どっちを取るのかと考えたら答えは自然と出てきたといいます。
「子供のいない人生」ではなく「夫と出会えた人生」
「子どものいない人生というと、何かが足りていないような不十分さが出てしまいますが、今は夫と出会えた人生を楽しもうと切り替えました。もちろん、今でもつらいと思うことがあります。あのときお腹に宿った子がもし生まれていたら、今何歳なんだな…とか、芸能人の育児トークをきくと、私もこうだったかもしれないのに…と落ち込む日も。でも、今は夫と趣味や旅行を楽しもうという気持ちのほうが強くなってきたので、少しずつ乗り越えられているなと感じています」
40代の妊娠・出産はそこから先も長いもの。治療自体が長引き、治療費などで生活が苦しくなるケースもあるといいます。そしてなにより、妊娠は一人ではできません。ときにはお互いの気持ちや方向性を確かめ合い、もし願いが叶わなかったときの「やめどき」をきちんと話し合っておくことも大切かもしれませんね。
WANNAGROWライターズ