ようやく株式相場が動き出したか?
4月末の“日銀ゼロ回答”サプライズで株式相場が急落してから早1か月、伊勢志摩サミットなどの重要イベントも終わり、日本の株式相場も何となく動き始めたような気配が強まっています。
急落以降の株価、とりわけ、5月後半は動きが少なく、膠着状態に近い様相でした。膠着状態を抜けると、株価は上昇するにせよ、下落するにせよ、動きが加速するケースがよく見られます。今回はどうでしょうか。
ところで、ちょうど1年前の今頃、日本の株式相場で何が起きたか覚えているでしょうか?
ご存知の通り、株式相場は日々動いていますので、1週間前の相場のことも忘れがちです。それが1年前のことになれば、覚えていない人が圧倒的に多くても不思議ではありません。鮮明に覚えている人は、非常に少ないのではないでしょうか。
1年前の今頃、日本株は12連騰を記録
実は、1年前の今頃、具体的には5月15日から6月1日にかけて、東京株式市場は12連騰となりました(日経平均株価、TOPIXとも)。12連騰ということは、1週間が5営業日ですから、約2週間半も毎日上昇していたことになります。2016年になってから未だ5連騰がない現状を見ると、信じられないような話です。
そして、5月14日に19,570円だった日経平均株価は、6月1日には20,569円まで上昇しています(いずれも終値)。ちなみに、日経平均株価の12連騰は史上第3位の連騰記録(タイ記録)になっています。
もう1つ注目したいのは、12連騰したにもかかわらず、上昇幅が意外に小さかったことです。2週間半も上げ続けるならば相当に上昇する印象がありますが、実際に上昇したのは約1,000円、上昇率は+5%に過ぎませんでした。12連騰の間、+1%超の上昇は1日もなく、最後の2日間に至っては、+0.1%未満の上昇でした。
今振り返ると、少し妙な感じがします。当時は、外国人投資家の日本株買いが既に峠を越えており、大きな買い手はGPIFと日銀でした。いわゆる“官製相場”と言えますが、最後は無理矢理に株価を持ち上げたような印象が拭えません。
ファンダメンタルズを分析することの重要性
12連騰の頃、新聞やテレビのニュースでは、日本経済の力強さが評価されたとか、企業業績の伸長が期待されたなどの評価が目立っていました。1年経った現在、あの頃の前向きな評価は影を潜めたようです。
株価が好調だと、筆者を含めた市場関係者は、何事も良い方向へ考えがちです。それは、株価は常に先を読みに行く、先を織り込みに行くという考えから抜け出せないためかもしれません。株価の騰落とは別に、ファンダメンタルズを十分に分析することが重要と言えます。
あれから1年後の日本株の動きに注目
さて、あの12連騰からちょうど1年が経過しようとしていますが、5月30日の日経平均株価は前日比+233円高(+1.3%上昇)となり、これで4日続伸となりました。もし、5月31日も上昇となれば、2016年に入ってから初の5連騰になります。
消費再増税の延期等、国内政治経済の動きが本格化し始めたことなどから、この続伸がいつまで続くのか注目したいと思います。
LIMO編集部