株式市場の振り返り-粗い値動きの末に横這いとなったが、新興市場は再び急落
2016年5月18日(水)の東京株式市場は前日終値並みとなりました。日経平均株価は前日比▲0.0%の下落、TOPIXは+0.1%の上昇で引けています。一方、東証マザーズ総合指数は▲7.8%安となる急落となりました。新興市場に異変が起きつつあるのかもしれません。
日経平均株価は、NY市場の下落などを受けて前日比▲41円安で寄り付きましたが、その後の値動きは粗くなりました。前場は下値を模索しながら下げ続けたかと思えば、一気に切り返し、一時は+142円高となる場面が見られました。しかし、後場に入ると再び弱含み始め、一時は▲139円安となっています。大引けに掛けて戻しましたが、結局は▲8円安の16,644円で終わりました。
東証1部で上昇したのは778銘柄、値下がり1,056銘柄、変わらず117銘柄でした。東証1部の出来高は23億4,197万株、売買代金は2兆3,366億円(概算)となっています。依然として薄商いですが、前日、前々日と比べると、大きく増加しています。それでも、証券会社の収益悪化懸念は消えません。
セクター動向と主要銘柄の動き-18業種が上昇、15業種が下落。全体的に方向感は乏しい動き
東証1部で上昇したのは18業種、下落したのは15業種でした。上昇率上位は、鉱業+7.2%、銀行+3.2%、海運+3.0%、石油・石炭+2.7%、卸売+1.2%などでした。一方、下落率が大きかったのは、電力・ガス▲1.2%、情報・通信▲0.9%、サービス▲0.7%、食料品▲0.6%、輸送用機器▲0.6%などでした。鉱業が大きく買われましたが、目立った特徴はなかったと見られます。
個別銘柄では、取引時間中に燃費不正測定が明らかになったスズキ(7269)が、一時は▲15%安へと急落しました(終値は▲9%安)。その他の主力銘柄では、KDDI(9433)、セコム(9735)、日東電工(6988)、電通(4324)などが下落し、塩野義製薬(4507)や花王(4452)も値を下げました。一方、ソフトバンクグループ(9984)、京セラ(6971)、東京エレクトロン(8035)、TDK(6762)などの指数寄与度の大きい銘柄が上昇しました。また、ソニー(6758)やパナソニック(6752)などの電機主力銘柄も堅調。そして、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)など銀行株が久しぶりに大きく値を上げています。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-伊勢志摩サミット絡みの動きを待つのみ。為替の風向きが変わる可能性にも注意
18日は政策期待が後退したという見方があったようですが、相場が下落した後付けの理由付に過ぎません。伊勢志摩サミット絡みの動きも徐々に出始めると期待されます。今週末(20~21日)に開催されるG7財務大臣・中央銀行総裁会議を含めて、19日からの動きに注視したいと思います。逆に、今週、来週と何もなければ、政策期待は後退したのではなく、空振りに終わったということになるでしょう。
19日(木)の注目ポイントに変わりはありません。政府の景気対策の恩恵銘柄で、この決算発表時に下がった銘柄を拾うことが有効です。引き続き、建設、不動産、小売、医薬品、トイレタリーの各セクターに注目します。特に、パフォーマンスの冴えない不動産株、及び、医薬品株に目を向けましょう。また、これも繰り返しになりますが、伊勢志摩サミットで為替相場の風向きが変わることも十分に考えられますので、過度に売られた輸出関連銘柄もコツコツと拾うのも一考に値します。
青山 諭志