3. 遺族厚生年金の月6万7500円(年81万円)は非課税。税金の計算に入るのは妻の年84万円だけ
夫婦2人のときは、夫の老齢年金にも妻の老齢年金にも、所得税や住民税の計算がかかわっていました。夫が亡くなったあとに妻が受け取る遺族厚生年金は、扱いが違います。
3.1 厚生年金保険法第41条で、老齢厚生年金以外の給付には税金をかけられない
厚生年金保険法第41条第2項では、保険給付として受け取ったお金を基準に、租税その他の公課をかけることはできないと定めています。ただし、老齢厚生年金は除かれています。
そのため、夫の老齢厚生年金には税金の計算がかかわりますが、妻が受け取る遺族厚生年金は非課税です。同じ第41条により、厚生年金から出る障害厚生年金も非課税になります。
この例では、夫が受け取っていた老齢厚生年金の年108万円(月9万円)は税金の計算に入っていました。夫が亡くなったあとに妻が受け取る遺族厚生年金の年81万円は、その4分の3にあたる額ですが、税金の計算には入りません。
3.2 月13万7500円のうち、税金の計算に入るのは月7万円
月13万7500円の例で、年額にして分けると次のとおりです。
- 妻の老齢基礎年金:年84万円(所得税・住民税の計算に入る)
- 遺族厚生年金:年81万円(非課税)
- 年金の合計:年165万円
国税庁によると、公的年金等の収入金額が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は必要ありません。非課税の遺族厚生年金は、この400万円の収入金額にも含めません。
ただし、公的年金等以外の所得がある場合などは、住民税の申告が必要になることもあります。税金の扱いで迷ったときは、税務署や住んでいる市区町村で確かめておきましょう。
4. まとめ
子どもがいない妻でも、夫が厚生年金に入っていれば遺族厚生年金を受け取れます。夫の年金が月16万円(基礎7万円・厚生9万円)、妻が月7万円なら、妻の年金は月13万7500円です。
夫の年金の合計が同じでも、厚生年金の部分が多いほど妻の年金は増え、内訳によって月1万5000円の差が出ます。遺族厚生年金は非課税で、税金の計算に入るのは妻自身の老齢基礎年金だけです。
夫の年金の内訳は年金額改定通知書などで確かめ、自分の場合の額は年金事務所で確かめておきましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の年金額や受給の可否、税金の扱いは個別の状況で異なるため、日本年金機構や年金事務所、税務署でご確認ください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「通知書の見方を調べる」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」
中本 智恵