婚姻届を出していない事実婚(内縁)のパートナーが亡くなったとき、遺族年金は受け取れるのでしょうか。「籍を入れていないから対象外」と考えている方もいるかもしれません。
日本年金機構の「遺族年金ガイド」には、届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にある人(内縁の配偶者)は、配偶者に含まれると書かれています。ただし、亡くなった人に生計を維持されていたことなどの要件があります。養子縁組をしていない連れ子は、遺族年金の「子」に含まれません。
この記事では、事実婚の配偶者が対象になる根拠と、生計維持の条件、給付ごとの違い、連れ子の注意点、請求のときの注意点を確認します。
1. 事実婚(内縁)の配偶者も、遺族年金の対象に含まれる
遺族年金は、婚姻届を出した法律上の配偶者だけが対象ではありません。日本年金機構の資料から、事実婚の扱いを確認します。
1.1 年金機構の「遺族年金ガイド」は、内縁の配偶者を含むと説明している
日本年金機構の「遺族年金ガイド」(2026年4月1日版)の受給要件のページには、配偶者について、婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にある人(内縁の配偶者)が含まれると書かれています。
遺族厚生年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた「配偶者」「子」「父母」「孫」「祖父母」が受け取れる年金です。このうち配偶者に、内縁の配偶者も含まれる形です。
法律婚と事実婚で、遺族年金の扱いがどこまで同じかについては、資料に書かれていない点もあります。個別の判断は、年金事務所で確認してください。
1.2 対象になるのは、「生計を維持されていた」配偶者
事実婚であっても、受け取るには、死亡した人に生計を維持されていたことが必要です。ガイドの「遺族年金Q&A」には、生計維持について次のように書かれています。
- 死亡当時、亡くなった人と生計を同一にしていたこと(同居している場合のほか、別居していても仕送りを受けていたり、健康保険の被扶養者であったりする場合に認められる)
- 原則として、年収が850万円未満であること(退職や廃業などで、おおむね5年以内に850万円未満となる見込みがある場合も含む)
事実婚の場合、住民票上の住所や世帯が別になっていることもあります。別居していても、仕送りや被扶養者である事実があれば認められるとされていますが、実際の判断は年金事務所が行います。
2. 事実婚で受け取れる給付と、注意したい点
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金のほか、国民年金だけの独自の給付として寡婦年金があります。事実婚の場合の扱いを、一覧にまとめました。
2.1 寡婦年金は、事実婚を含む婚姻関係が10年以上続いた妻が対象
ガイドの「国民年金の独自給付」のページによると、寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者の保険料納付済期間と免除期間が合わせて10年以上ある夫が死亡したときに、夫に生計を維持され、かつ夫との婚姻関係(事実婚を含む)が10年以上続いている妻が、60歳から65歳になるまで受け取れる年金です。
夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取ったことがある場合や、妻が繰上げ受給の老齢基礎年金を受け取っている場合は、請求できないとされています。
3. 養子縁組をしていない連れ子は、「子」に含まれない
ガイドには、遺族年金の「子」は、死亡した人の実子または養子を指し、養子縁組をしていない配偶者の子は含まれないと書かれています。
たとえば、事実婚のパートナー(遺された側)に前の結婚の子がいて、亡くなった人と養子縁組をしていない場合、その子は遺族年金の「子」に含まれません。
遺族基礎年金は、「子のある配偶者」または「子」が受け取る年金です。対象になる子がいるかどうかで、受け取れるかが変わります。連れ子がいる場合は、養子縁組の有無を、年金事務所で確認しておくと安心です。