世帯年収1000万円と聞くと、ゆとりのある家計をイメージする方も多いかもしれません。ただ、同じ世帯年収1000万円でも、1人が1000万円を稼ぐ「片働き」か、夫婦それぞれが500万円ずつ稼ぐ「共働き」かによって、手元に残る金額は変わります。

「税金や社会保険料は、世帯の合計で決まるのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。実は、所得税や住民税は1人ひとりの所得にかかるため、稼ぎ方によって負担が変わるのです。

この記事では、国税庁の資料や2026年度の社会保険料率をもとに、世帯年収1000万円の片働きと共働きで、税金・社会保険料・手取りがいくら違うのかを試算します。

1. 同じ世帯年収1000万円でも手取りが変わるのはなぜ?

まずは、稼ぎ方によって手取りが変わる仕組みを確認しておきましょう。

1.1 所得税は1人ひとりの所得にかかる

所得税は、世帯の合計ではなく、1人ひとりの所得に対してかかります。夫婦で同じ1000万円を稼いでいても、1人で1000万円なのか、2人で500万円ずつなのかで、それぞれの税額の計算が別々に行われます。

1.2 所得が多いほど税率が上がる「累進課税」

所得税の税率は、課税される所得金額が多くなるほど高くなる「超過累進税率」です。国税庁の所得税の速算表によると、税率は次のとおりです。

  • 195万円未満:5%
  • 195万円以上330万円未満:10%
  • 330万円以上695万円未満:20%
  • 695万円以上900万円未満:23%
  • 900万円以上1800万円未満:33%
  • 1800万円以上4000万円未満:40%
  • 4000万円以上:45%

このほか、所得税額の2.1%の復興特別所得税もかかります。1人に所得が集中すると高い税率がかかる部分が増えるため、同じ世帯年収でも、所得を2人に分けたほうが税金は少なくなりやすいのです。

2. 【試算】世帯年収1000万円、片働きと共働きの手取りはいくら?

では、実際に手取りはいくら違うのでしょうか。夫が年収1000万円で妻が専業主婦の「片働き」と、夫婦がそれぞれ年収500万円の「共働き」で比べてみます。

【試算】世帯年収1000万円、片働きと共働きの手取りの差は?1/2

【試算】世帯年収1000万円、片働きと共働きの手取りの差は?

出所:国税庁「No.2260 所得税の税率」、全国健康保険協会「令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます」などをもとにLIMO編集部作成

2.1 試算の前提

  • 2人とも40歳未満の会社員で、協会けんぽ(東京都)に加入
  • 賞与はなく、年収の12分の1を毎月の給与として受け取る
  • 社会保険料は2026年度の料率で1年分を計算(健康保険料率9.85%、子ども・子育て支援金0.23%、厚生年金保険料率18.3%をそれぞれ労使で折半、雇用保険料は本人負担0.5%)
  • 所得税は令和8年分の給与所得控除・基礎控除などで計算し、住民税は所得割10%、均等割(森林環境税を含む)5000円で計算
  • 片働きの妻は収入がなく、夫の扶養に入っている。そのほかの所得控除は考えない

2.2 片働きの手取りは約738.5万円

夫が1人で年収1000万円を稼ぐ片働きの場合、税金と社会保険料は次のとおりです。

  • 社会保険料:約126.6万円
  • 所得税(復興特別所得税を含む):約74.5万円
  • 住民税:約60.5万円
  • 手取り:約738.5万円

2.3 共働きの手取りは約788.4万円

夫婦がそれぞれ年収500万円の共働きの場合、1人あたりの税金と社会保険料は次のとおりです。

  • 社会保険料:約72.3万円
  • 所得税(復興特別所得税を含む):約9.2万円
  • 住民税:約24.3万円
  • 手取り:約394.2万円

夫婦2人分を合わせると、手取りは約788.4万円です。同じ世帯年収1000万円でも、共働きのほうが片働きより手取りが年に約50万円多い計算になりました。