夫婦ともに年金で暮らしている70歳前後の方の中には、「夫が先に亡くなったら、1人で年金だけで暮らしていけるのか」と心配している方もいるのではないでしょうか。
夫が亡くなると年金は大きく減りますが、1人になれば生活費も減ります。大切なのは、減った年金で、1人分の生活費をまかなえるかどうかです。
この記事では、70歳で夫を亡くした妻の年金と、65歳以上の単身世帯の平均的な生活費を比べて、毎月いくら足りなくなるのかを試算します。
1. 70歳で夫を亡くした妻の年金は、平均的なケースで月約14.3万円
日本年金機構によると、70歳で夫を亡くした妻が受け取れる遺族年金は遺族厚生年金です。65歳以上は自分の老齢厚生年金が優先して支給され、遺族厚生年金は計算した額との差額が支給されます。
夫の年金を厚生労働省の男性の平均月額(16万9967円)とし、妻の年金を試算すると次のとおりです。
- 専業主婦だった妻:月14万2728円(自分の老齢基礎年金6万1011円+遺族厚生年金8万1717円)
- 共働きだった妻(自分の年金が女性の平均):月14万2728円(自分の年金11万1413円+遺族厚生年金3万1315円)
- 長く働いた妻(自分の老齢厚生年金が9万円):月16万489円
2. 1人になると、生活費は月約14.8万円
総務省の「家計調査」(2025年平均)によると、65歳以上の無職世帯の毎月の家計は次のとおりです。
- 夫婦のみの世帯:消費支出26万3979円、税金や社会保険料(非消費支出)3万2851円、毎月の不足4万2435円
- 単身世帯:消費支出14万8445円、税金や社会保険料1万2991円、毎月の不足2万9980円
夫婦から単身になると、消費支出は月約11.6万円少なくなります。ただ、住居費や光熱費などは1人になってもあまり減らないため、夫婦のときの半分にはなりません。
3. 毎月の不足は、夫婦の平均の約4.2万円から約1.9万円に
妻の年金から、家計調査の単身世帯の平均と同じだけ税金や社会保険料が引かれると仮定すると、手取りは次のようになります。
- 専業主婦・共働きだった妻:手取り12万9737円で、単身の平均支出に対して毎月1万8708円の不足
- 長く働いた妻:手取り14万7498円で、毎月の不足は947円
夫婦のみの無職世帯の平均では毎月4万2435円が足りていないので、1人になると、毎月の不足はむしろ小さくなる計算です。夫が亡くなって年金が大きく減っても、生活費も同じように減れば、家計がすぐに大きく崩れるわけではありません。