入院が月末から翌月にかかったとき、自己負担の上限は、入院の期間をひとまとめにして計算されるのではありません。高額療養費は、診療を受けた月ごとに計算されるためです。

同じ入院で、同じ金額を支払っても、月をまたぐと自己負担が増えることがあります。2026年8月から上限額が見直され、年単位の上限も新しく設けられたため、月ごとの上限を知っておくと、入院の時期を考える材料になります。

この記事では、協会けんぽの案内をもとに、会社員などが加入する協会けんぽの70歳未満の月額上限と、月をまたぐ入院の計算例を整理します。

1. 高額療養費は診療を受けた月ごとに計算され、月をまたぐ入院は月ごとに申請する

協会けんぽのQ&Aでは、高額療養費は1か月(暦月単位)にかかった医療費をもとに決まると説明されています。月をまたいで入院した場合は、診療月ごとに申請書を提出し、月ごとに自己負担限度額を超えた金額が払い戻されます。

1.1 申請書は、診療月ごとに1か月につき1枚必要

申請書は、1か月ごとに1枚必要です。たとえば、1月の途中から2月にかけて入院した場合は、1月分と2月分を別々に計算し、それぞれ申請します。

2. 70歳未満の月額上限は2026年8月から見直され、区分エは月額6万1500円

2026年8月から2027年7月までの月額上限は、区分エ(標準報酬月額26万円以下)で6万1500円1/5

2026年8月から2027年7月までの月額上限は、区分エ(標準報酬月額26万円以下)で6万1500円

出所:全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費」、厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」をもとにLIMO編集部作成

協会けんぽのページでは、令和8年8月から令和9年7月までの70歳未満の自己負担限度額が、標準報酬月額によって5つの区分に分けて示されています。

  • 区分ア(標準報酬月額83万円以上):27万300円+(総医療費-90万1000円)×1%、多数回該当14万100円、年間上限168万円
  • 区分イ(53万〜79万円):17万9100円+(総医療費-59万7000円)×1%、多数回該当9万3000円、年間上限111万円
  • 区分ウ(28万〜50万円):8万5800円+(総医療費-28万6000円)×1%、多数回該当4万4400円、年間上限53万円
  • 区分エ(26万円以下):月額6万1500円、多数回該当4万4400円、年間上限53万円
  • 区分オ(低所得者):月額3万6900円、多数回該当2万4600円、年間上限29万円

この区分は、協会けんぽなど会社員が加入する健康保険のものです。国民健康保険では、標準報酬月額ではなく所得(旧ただし書き所得)で区分が決まり、区分エに当たるのは旧ただし書き所得210万円以下の世帯です。

2.1 年間上限は2026年8月に新設され、毎年8月から翌年7月までの12か月間で計算する

年間上限は毎年8月から翌年7月までの12か月間の自己負担が対象2/5

年間上限は毎年8月から翌年7月までの12か月間の自己負担が対象

出所:全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費」、同「【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます」をもとにLIMO編集部作成

リストの「年間上限」は、2026年8月の見直しで新しく設けられた仕組みです。月ごとの自己負担が積み重なっても、年間の上限額に達した後は、それを超えた分を保険者から払い戻してもらえます。

対象になるのは、暦年(1月〜12月)ではなく、毎年8月から翌年7月までの12か月間の自己負担の合計です。最初の対象期間は、2026年8月から2027年7月までとなります。

標準報酬月額が15万円以下であることが確認できた人は、区分エの年間上限が41万円になり、2027年8月以降に償還払いされます。厚生労働省の資料では、この区分は年収換算でおおむね200万円までとされています。協会けんぽでは、年間上限の申請受付は2027年8月から始まる予定です。