3. 再婚相手と離婚しても、一度なくなった遺族厚生年金は戻らない

厚生年金保険法第63条は、婚姻をしたときに遺族厚生年金の受給権が「消滅する」と定めています。法律には消滅した受給権を元に戻す定めはなく、のちに再婚相手と離婚したり、死別したりしても、受給権は戻りません。

65歳以降も、遺族厚生年金は受け取れなくなったままです。夫の遺族厚生年金をあてにした老後の生活費の計画は、再婚する前に見直しておく必要があります。

4. 旧姓に戻すだけなら遺族厚生年金は続く。届書は2週間以内に出す

夫を亡くしたあとに旧姓に戻した場合は、婚姻ではないため、遺族厚生年金の受給権はなくなりません。日本年金機構によると、マイナンバーが登録されている人の氏名が変わると、理由を確かめるために「遺族年金失権届」か「遺族年金受給権者氏名変更理由届」が送られてきます。

  • 旧姓に戻した場合など:「遺族年金受給権者氏名変更理由届」を出す
  • 婚姻した場合:「遺族年金失権届」を出す
  • 届書が2週間以内に出されないと:年金の支払いが一時止まることがある

届書が届いたら、氏名が変わった理由に合うほうを選んで、早めに返送しましょう。

5. 再婚したら10日以内に「遺族年金失権届」。年金証書と戸籍抄本などを添える

日本年金機構によると、遺族年金を受けている人が婚姻をしたときは、「遺族年金失権届」を10日以内に出します。

  • 提出先:年金事務所または街角の年金相談センター
  • 添付するもの:年金証書と、氏名が変わった理由が分かる書類(戸籍抄本など)

届出をしないまま遺族厚生年金を受け取り続けると、受け取りすぎた年金を返すことになります。再婚や同居を考えている段階で、年金事務所に扱いを確かめておくと安心です。

6. まとめ

遺族厚生年金は、届出をしていない事実婚を含めて、再婚すると受給権がなくなります。夫の報酬比例部分が月10万円で、40歳以上で夫を亡くした子のいない妻なら、遺族厚生年金と中高齢寡婦加算で年153万5500円になり、50歳で再婚すると65歳までの15年で約2303万円を受け取れなくなります。

一度なくなった遺族厚生年金は、のちに離婚しても戻りません。再婚を考えたら、受け取れなくなる額と届出の期限を、年金事務所で確かめておきましょう。

※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の年金額や受給権の扱いは個別の状況で異なるため、日本年金機構や年金事務所でご確認ください。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

参考資料

中本 智恵