毎月の年金を中心に暮らす世帯では、食費や光熱費の請求が少し増えるだけでも、やりくりに響きやすいものです。この先も今の暮らしを続けられるのか、ふと考える人もいるのではないでしょうか。

物価の高い状態が続くなかで、老後のお金は年代を問わず気になる話題です。これから老後を迎える人にとっても、いまの高齢者世帯の家計は、備えを考えるうえで参考になるでしょう。平均や割合を知っておくことは、わが家の家計を落ち着いて見直すきっかけにもなるはずです。

厚生労働省の2025(令和7)年国民生活基礎調査の概況によると、高齢者世帯のうち、暮らし向きを「苦しい」と答えた世帯は5割を超えています。

本記事では、高齢者世帯の生活意識と、70歳代の無職世帯の1か月の収入と支出を、最新の公的な調査で確かめます。平均の数字を知っておくと、わが家の家計を見直すときの目安を持ちやすくなるでしょう。

記事の後半では、70歳代の貯蓄や年金の平均月額、12月に振り込まれる年金の中身と、年末年始の出費の組み立て方もあわせて紹介します。

1. 【高齢者世帯の生活意識】「苦しい」は52.1%、「普通」は41.7%

2025年の調査で、高齢者世帯の暮らし向きの答えは次のとおりでした。

1.1 【一覧】高齢者世帯の生活意識(2025年)

  • 大変苦しい:21.0%
  • やや苦しい:31.1%
  • 普通:41.7%
  • ややゆとりがある:5.4%
  • 大変ゆとりがある:0.8%

「大変苦しい」「やや苦しい」の2つを足した「苦しい」は52.1%で、「普通」の41.7%を上回っています。

1.2 「苦しい」という答えを、家計の数字とあわせて読む

生活意識は、暮らし向きをどう感じているかを答えたもので、収入や貯蓄の金額とは別の物差しです。同じくらいの収入でも、住まいの費用や医療のかかり方によって、受け止め方は変わってくるでしょう。

答えの背景にある事情は、住まいや健康、家族の形によって世帯ごとにさまざまです。暮らし向きの感じ方は、収入だけでなく支出の重さにも左右されやすいものです。

2. 【70歳代の夫婦世帯の生活費】1か月の消費支出はいくらか

総務省統計局がまとめた2025年平均の家計調査では、二人以上の世帯で、世帯主が65歳以上かつ無職の世帯の1か月の家計を、世帯主の年齢ごとに確かめられます。

2.1 【一覧】世帯主が70〜74歳の無職世帯の1か月

  • 実収入:28万7725円(うち社会保障給付22万4980円)
  • 非消費支出:3万9127円
  • 可処分所得:24万8599円
  • 消費支出:28万5844円
  • 不足分:3万7245円

2.2 【一覧】世帯主が75歳以上の無職世帯の1か月

  • 実収入:25万2798円(うち社会保障給付21万1289円)
  • 非消費支出:3万1563円
  • 可処分所得:22万1235円
  • 消費支出:24万8460円
  • 不足分:2万7225円

世帯主が70歳代の無職世帯の1か月の家計収支(二人以上の世帯・2025年)1/2

世帯主が70歳代の無職世帯の1か月の家計収支(二人以上の世帯・2025年)

出所:総務省統計局「家計調査結果」をもとにLIMO編集部作成

どちらの年齢でも、消費支出が可処分所得を上回っており、その差が毎月の不足分です。収入の多くを占める社会保障給付には、公的年金が含まれます。

この不足分は、貯蓄などから補うことになります。毎月の不足が小さく見えても、1年、10年と続けば、手元の貯蓄の減り方は大きく変わってくるでしょう。わが家の1か月の不足分がいくらなのかを、まず知っておくことが、これからの家計を考える出発点になります。

2.3 毎月の不足分を、わが家の家計に置きかえる

わが家の不足分を知るには、年金の振込額などの手取りの収入と、1か月の支出を並べてみるのが近道です。通帳の記録やクレジットカードの明細から1か月分を書き出すと、平均の数字と見比べやすくなります。

なお、この表は夫婦のみの世帯に限らず、子どもなどと暮らす二人以上の世帯も含めた平均です。わが家と見比べるときは、暮らす人数の違いも頭に置いておきたいところです。人数が多い世帯ほど、食費などの支出も増えやすいでしょう。