通帳に記帳した際、前回の年金支給額と異なっていることに気づいた経験はありませんか。

2026年の次の年金支給日は12月15日(火)です。この日は、所得税の精算や在職定時改定の反映により、10月の支給額から変動する方がいます。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、年金の支給額は、額面だけでなく差し引かれる税金や保険料と合わせて、早めに確かめておきたいテーマです。ここでは、12月15日(火)に支給額が変わる2つの理由を整理し、厚生労働省の最新統計から60歳代から90歳以上までの平均月額を見ていきます。

1. 12月15日(火)の年金支給額が変わる2つの理由

10月の支給額から12月の支給額が変わるのには、主に2つの理由が考えられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.1 理由1:所得税の1年分の精算。引かれすぎた分は原則として戻る

令和8年度税制改正で所得税の基礎控除が引き上げられ、令和8年分の公的年金の源泉徴収にも反映されることになりました。

ただし、10月の振込までは改正前の控除額で所得税が源泉徴収されています。12月15日(火)の振込では、改正後の控除額で計算した1年分の税額と、すでに源泉徴収された税額との差が精算されます。

日本年金機構の「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」によると、この精算で還付すべき金額が生じる場合は、原則としてその金額が還付されます。

また、源泉徴収の対象とならない年金額の基準も、65歳以上で年214万円未満(改正前205万円未満)、65歳未満で年164万円未満(改正前155万円未満)へと変更されています。

1.2 理由2:在職定時改定。働きながら受給する人の年金額が増額

働きながら老齢厚生年金を受け取っている方は、年金額そのものが増える可能性があります。これは「在職定時改定」という制度によるものです。

対象は、65歳以上70歳未満で、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受け取っている方です。

毎年9月1日を基準日として、前年9月から当年8月までの厚生年金加入期間が年金額に反映され、10月分から改定後の金額が支給されます。

年金は偶数月に前2カ月分がまとめて支給されるため、10月・11月分の年金が口座に振り込まれる12月15日(火)に、増額分が反映されることになります。

ただし、額面が上がると所得税や翌年度の住民税、保険料の計算に影響することもあります。増えた分がそのまま手元に残るとは限りません。

2. 10月にすでに変わったこと:住民税・保険料の「本徴収」

12月の支給額の変動とは別に、10月15日の支給分からすでに手取り額が変わっている方もいるでしょう。

これは、年金から天引きされる個人住民税や社会保険料(国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料)の計算方法が切り替わったためです。

年金天引きの仮徴収と本徴収のしくみ2/10

年金天引きの仮徴収と本徴収のしくみ

出所:厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」

年度前半(4月・6月・8月)は前年度の金額を基にした「仮徴収」が行われますが、10月からは確定した年税額・年保険料を基にした「本徴収」に変わります。

前年より所得が下がった方は手取りが増え、逆に所得が上がった方は手取りが減る場合があります。