4. 【2026年の見直し】在職老齢年金と「106万円の壁」はどう変わった

2025年6月に成立した年金制度改正法にもとづいて、2026年には年金と社会保険の見直しが順に始まっています。働きながら年金を受け取る人と、パートで働く人にかかわる主な見直しは次のとおりです。

4.1 在職老齢年金:2026年4月から基準額が月65万円に

在職老齢年金は、働きながら老齢厚生年金を受け取る人の年金が、給与との合計額によって減らされるしくみです。日本年金機構によると、年金が減る基準額は2026年4月から、月51万円から65万円に引き上げられました。

給与と老齢厚生年金の月額の合計が65万円以下なら、年金は減らされません。働いて収入を得ても年金が減りにくくなったのです。

4.2 パートの社会保険:2026年10月に賃金要件を撤廃

パートなどで働く人が勤め先の社会保険に入る要件のうち、所定内賃金が月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃されました。いわゆる「106万円の壁」と呼ばれてきた要件です。

いまの主な要件は、週の所定労働時間が20時間以上であること、学生でないこと、勤め先の従業員が51人以上であることです。従業員数の要件は、2027年10月から36人以上に広がる予定です。

5. 【試算】パートで厚生年金に入ると年金はいくら増えるか

月15万円に届くかどうかは、厚生年金に入っていた期間で大きく変わります。では、パートで厚生年金に入ると、将来の年金はどのくらい増えるのでしょうか。

老齢厚生年金のうち報酬比例部分は、2003年4月以後の加入期間について、次の式で計算します。

  • 報酬比例部分(年額)=平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数

平均標準報酬額とは、加入期間中の給与と賞与をならした月の額のことです。月給がおよそ10万円の人なら、保険料の計算に使う標準報酬月額は9万8000円になります。

5.1 月給約10万円のパートが厚生年金に入った場合

  • 10年(120か月)加入:年約6万4457円(月約5371円)
  • 20年(240か月)加入:年約12万8913円(月約1万743円)

※LIMO編集部による試算。標準報酬月額9万8000円で賞与なし、過去の給与の再評価は考えないものと仮定した場合

増える額は月1万円前後ですが、老齢厚生年金は一生受け取れます。国民年金だけの人に比べて、上乗せの分だけ毎回の振込額が増える計算です。

勤め先の社会保険に入ると、毎月の給与から保険料が引かれるので、手取りは減ります。いまの手取りと将来の年金のどちらを重く見るかは家計によって違うので、勤め先の担当者や年金事務所で、自分の場合の保険料と年金額を確かめてから考えるのがおすすめです。

6. まとめにかえて

2024年度末時点で、厚生年金を月15万円以上受け取っている人は49.8%でした。男性は68.8%ですが、女性は12.3%にとどまり、男女で大きな差があります。

年金の額は、会社員として働いた期間と給与で決まります。2026年は在職老齢年金の基準額が月65万円に上がり、パートの賃金要件もなくなりました。

自分の年金の見込額は、誕生月に届く「ねんきん定期便」やねんきんネットで確かめられます。わからない点は、近くの年金事務所や街角の年金相談センターで相談してみてください。

参考資料

太田 彩子