金利の上昇(価格の下落)トレンドが長期化するリスクに身構えてきた債券市場で、10月は一転して金利が下がる1カ月となりました。

財務省が公表している国債金利のデータによると、10年国債の利回りは10月7日の3.111%を月内の高値として低下に転じ、10月15日には2.948%と3%を下回りました。10月30日は2.817%で、月初(10月1日)の3.092%からは▲0.275%の低下です。

個人向け国債の利率は8月に「固定5年」が年2.06%と2%台に乗り、その後も9月募集2.24%、10月募集2.39%と上がってきました。

「元本割れのない国債で2%台の利率がつくなら、値下がりリスクのある株を手放して国債に移したほうがよいのでは」と考えた方も多いのではないでしょうか。とくに、利息の代わりに配当を受け取る目的で高配当株(ボンドプロキシー)を持ってきた方は、乗り換えを迷う場面が続いてきたはずです。

一方、10月の金利低下で、個人向け国債の利率がこのまま右肩上がりで上がり続けるとは限らないことも見えてきました。

本記事では、10月の国債金利の動きと個人向け国債の最新の条件を確認したうえで、NISA口座の高配当株を慌てて国債に乗り換えなくてよい3つの理由を見ていきます。

1. 10月は国債金利が低下、10年は3%割れ

国債利回りの推移(2026年10月・10年と5年)1/1

国債利回りの推移(2026年10月・10年と5年)

出所:財務省「国債金利情報」をもとにLIMO編集部作成

10月1日と10月30日の国債の利回り(財務省「国債金利情報」)を年限別に並べると、次のとおりです。

  • 1年:1.668% → 1.659%(▲0.009%)
  • 3年:2.077% → 1.982%(▲0.095%)
  • 5年:2.407% → 2.237%(▲0.170%)
  • 10年:3.092% → 2.817%(▲0.275%)
  • 20年:3.910% → 3.652%(▲0.258%)
  • 30年:4.122% → 3.908%(▲0.214%)

目を引くのは、期間の長い国債ほど低下幅が大きい点です。1年はほぼ横ばいだった一方、10年は▲0.275%、20年は▲0.258%と大きく下がりました。3年も10月23日に1.979%と2%を下回り、月末まで1%台で推移しています。

個人向け国債の利率は国債の利回りをもとに決まるため、この動きは11月以降の利率にも関わってきます。

2. 10月募集の個人向け国債の発行条件(11月16日発行)

10月8日から30日まで募集された個人向け国債の条件は以下のとおりです。現在は募集を締め切っています。

  • 変動10年(第199回債):初回の利率 年2.05%(税引後1.6335425%)→利率は半年ごとに見直し
  • 固定5年(第187回債):年2.39%(税引後1.9044715%)→利率は満期まで変わらない
  • 固定3年(第197回債):年2.07%(税引後1.6494795%)→利率は満期まで変わらない
  • 募集期間:2026年10月8日~10月30日
  • 発行日:2026年11月16日
  • 利払日:毎年5月15日・11月15日(年2回)
  • 償還期限:変動10年は2036年11月15日、固定5年は2031年11月15日、固定3年は2029年11月15日
  • 募集価格・償還金額:額面100円につき100円(中途換金時も同じ)
  • 中途換金:発行後1年経過すればいつでも可能(直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれます)
  • 取扱金融機関:872機関

固定5年は8月募集の2.06%から2カ月で+0.33%上がり、3タイプとも2%台がそろいました。

3. 11月募集分は11月6日に利率公表、12月募集からは「個人向け国債プラス」に

次の募集は11月分です。財務省の発行スケジュールでは、日程は次のように予定されています。

  • 対象:変動10年(第200回債)、固定5年(第188回債)、固定3年(第198回債)
  • 利率の公表:募集開始日の前営業日(11月6日)
  • 募集期間:2026年11月9日~11月30日
  • 発行日:2026年12月15日

固定5年・固定3年の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前の市場実勢利回りをもとに計算されます。10月募集分では10月6日がその日にあたり、財務省の国債金利データでは5年国債の利回りは2.418%でした。

10月30日時点では2.237%と、その時点から▲0.181%下がっています。11月募集分の基準日は11月5日にあたるため、この水準が続けば、11月の固定5年は10月の2.39%を下回る可能性があります。

ただし、利率は11月5日の実勢で決まるため、現時点で水準を言い切ることはできません。

また、財務省は12月募集分から販売対象を一部の法人などにも広げ、商品名を「個人向け国債プラス」に変更するとしています。