4. Teslaとのつながりと、統合した場合の姿
SpaceXとTeslaは、すでにお金・電池・人・チップでつながっています。TeslaはSpaceXに20億ドルを出資する株主で、SpaceXはTeslaの蓄電池「Megapack」を購入しています。2026年2月からはTeslaの取締役がSpaceXの取締役を兼任し、半導体工場Terafabの費用をどちらが払うかも詰めている段階です。
統合については何も決まっていません。そのうえで泉田氏は、仮に両社が一緒になった場合の姿を、勢いのあるベンチャーが目指す「垂直統合型モデル」(部品から製品・サービスまでを1社で手がける形)の完成形になぞらえます。ロケットで宇宙へ運び、Starlinkで宇宙と地上をつなぎ、Terafabでチップを作り、Teslaの車やロボットがそのAIを載せて動く、という構図です。
「究極に言っちゃうと、データセンターも宇宙に持ってくみたいな話をしてるんだけど、宇宙から地球上で動くものを全部コントロールできるような会社になっちゃう」
5. まとめ:SIが「収益の柱」として定着するかが最大の観測点
泉田氏が「一番大事なポイント」に挙げるのは、SI事業が他社と比べても高い利益率で、しっかり収益の柱になるかどうかです。
「これが他のプレイヤーと比べてもやっぱり利益率高くて、しっかり収益の柱になってるってなると、SpaceXのまず見方は全然変わると思います」
泉田氏の見立てでは、今回の黒字の背景には、キャパ不足の中で計算資源を有利な条件で貸せていることがあります。羽根の内製などで電力を早く立ち上げられることは、その優位性をこの先も保つための打ち手です。次の決算で見るべきは、SIの営業利益が売上の伸びについてくるか(今回は売上の5割超に対し、営業利益は15.4%)、そして大口顧客2社への集中がどう変わるかです。
注意点もあります。売上の約5割は2社に支えられており、契約は90日前の通知で解約できます。キャパ不足が和らいで売り手市場でなくなれば、貸し出しの条件も変わり得ます。また、宇宙にデータセンターを置く構想やTerafabは、まだ計画の段階です。
参考資料
- SpaceX「2026年7〜9月期 決算リリース」(2026年10月20日)
- SpaceX「2026年7〜9月期 決算説明会 書き起こし」(2026年10月20日)
- SpaceX「Form 10-Q(2026年9月30日終了四半期)」(2026年10月22日)
- SpaceX「目論見書(Form 424B4)」(2026年6月11日)
- Tesla「Form 10-Q(2026年9月30日終了四半期)」(2026年10月22日)
- Tesla「株主総会招集通知(Form DEF 14A)」(2026年10月19日)
- YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
各資料の入手先: SpaceX IRページ
※リンクは記事作成時点のものです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。