3. 【リタイア後】厚生年金に20年以上入った男性の年金は月17万6793円が目安

働かずに年金で暮らす場合はどうでしょうか。厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」には、令和6年度に65歳になる人の経歴の型ごとの年金額(概算)が載っています。

3.1 夫婦の標準的な年金額は月23万7279円

  • 【厚生年金期間中心(20年以上)の男性】月17万6793円
  • 【夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額】月23万7279円

3.2 年金生活の夫婦は毎月4万2434円の不足

総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、手取り(可処分所得)が月22万1544円、消費支出が月26万3979円でした。手取りに対して、毎月4万2434円が足りていません。

※年金額は令和8年度の月額で、経歴の型ごとの平均的な概算です。年金額(厚生労働省)と家計(総務省)は別の資料なので、差し引きせずに見ています。

男性の年齢別の所定内給与(月額、2025年)1/1

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査の概況で、男性の所定内給与は25〜29歳が月28万8000円、50〜54歳が月43万7500円、55〜59歳が月44万5600円、60〜64歳が月35万8500円、65〜69歳が月30万4300円

出所:厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査の概況」をもとにLIMO編集部作成

4. 【まとめ】会社を辞めたあとは、働くか・年金かで収入が変わる

ここまでの数字を、働く場合と年金の場合に分けて振り返ります。

4.1 60代前半で働けば月35万8500円が平均

男性の所定内給与は、60〜64歳で月35万8500円、65〜69歳で月30万4300円です。55〜59歳の月44万5600円がもっとも高く、60代は低くなっています。

ただし波平さんは平均的な給与より高いため、月35万8500円より高くなる可能性も考えられます。

4.2 厚生年金に20年以上入った男性の年金は月17万6793円が目安

働かずに年金で暮らす場合、厚生年金に20年以上入った男性の年金は月17万6793円が目安です。年金で暮らす夫婦の家計は、手取りより支出が毎月4万2434円多くなっています。

ただしこちらに関しても、波平さんの給与は平均よりも高いため、年金についても平均より高いことが考えられます。

いずれにせよ、現役時代の収入より減る可能性が考えられますが、「60歳代をどう過ごしたいか」が重要でしょう。60歳代からの生活に向けて、50歳代から仕事やリタイア、年金について考え、調べたいものです。

5. 【元証券会社員の視点】検証:同居の家計は、退職のタイミングで変わる

ここからは、磯野家のような同居の家計で押さえておきたい点を確かめます。

5.1 マスオさんの給料がある間は、家計の柱が2本ある

磯野家では、波平さんが会社を辞めても、マスオさんの給料があります。家計の柱が2本ある間は、波平さんの収入が減っても、家計全体への影響はやわらぎます。

ただし、家計をどう分担しているかは、作中では描かれていません。同居の家計を考えるときは、誰がどの費用を払っているのかを、先に確かめておくことが大切です。

同居では、住居費や光熱費を一つの家計でまかなえる面もあります。どちらかの収入が減ったときに、誰がどの費用を受け持つのかを決めておくと、家計を見直しやすくなります。

5.2 退職前に、働く場合と年金の場合の両方を見積もる

60代で働けば給料は入りますが、50代の平均と比べると低い水準です。年金だけで暮らす場合は、毎月の支出を貯蓄などで補うことになると考えられます。

退職の数年前から、働く場合の給料と、年金の見込額の両方を並べておくと、そのあとの家計の見通しを立てる手がかりになるでしょう。

6. まとめにかえて

まずは、ねんきん定期便で年金の見込額を確かめてみましょう。そのうえで、勤め先の再雇用の条件もあわせて調べておくと、60代の働き方を選びやすくなります。

家族の中で誰が働き、誰が年金で暮らすのかによって、家計の形は変わります。退職が近づいたら、家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

※本記事の金額は、統計の平均と概算です。実際の給料や年金額は、勤め先や加入期間、収入などによって変わります。将来の見込額は、ご本人あてに届くねんきん定期便のほか、ご本人が登録する「ねんきんネット」でも確かめられます。

参考資料

宮野 茉莉子