3. 【元銀行員の視点】預金と住宅ローン、同じ0.1%でも家計への響き方は違う
ここからは、預金と住宅ローンを両方持っている家計の目線で考えます。
住宅ローンの相談を受けていた頃、繰上返済をすべきかどうかを尋ねられることがありました。手元資金を減らしてまで返すべきか、金利と残高を見て一緒に考えていたのを思い出します。
当時は預金にほとんど利息がつかない時期でした。それでも、教育費の山が来る時期を伝えると、返済を急がない判断に落ち着く方が多数派だったように思います。
いまは預金にも利息がつき、住宅ローンの金利も上がっています。すなわち、手元のお金を預金に置くか、繰上返済に回すかを、金利の差で比べる場面が増えています。
ただし、繰上返済に回したお金は、あとから引き出すことができません。急な出費に備える分は手元に残し、そのうえで残高と金利を見比べておきましょう。
4. 【確認のしかた】11月中に見ておきたい2つの書類
金利が動くこの時期に、手元で確かめておきたいものを挙げます。
4.1 住宅ローンの「ご返済のお知らせ」
現在の適用金利、残高、金利の見直しの型(毎月型か年2回型か)が記載されています。金利がいつ見直され、いつの返済から反映されるかを見ておいてください。
4.2 普通預金の通帳や取引明細
普通預金の利息は、毎日入金されるわけではなく、決まった時期にまとめて口座に入ります。利息が入る時期は金融機関によって違うため、通帳や取引明細で確かめることをおすすめします。
5. 【落とし穴】返済額が変わらなくても利息の割合は増えている
変動金利で元利均等返済の場合、金利が上がっても、すぐに月々の返済額が増えるとは限りません。
三菱UFJ銀行の案内では、返済額は5年ごとに見直され、それまでは金利が変わっても返済額は変わりません(5年ルール)。見直し後の返済額も、それまでの125%を超えない仕組みです(125%ルール)。
ただし、返済額が同じままでも、返済額のうち利息に充てられる割合が増え、元金の減り方は遅くなります。金利が大きく上がり、利息だけで返済額を超えた場合は、超えた分が未払利息として翌月以降に繰り延べられます。
返済額だけを見て「何も変わっていない」と判断せず、残高の減り方まで確認しておくとよいでしょう。なお、5年ルールや125%ルールの有無は、金融機関や契約によって異なります。
6. 11月の金利の変化は、預金と住宅ローンの両方で確かめる
ゆうちょ銀行の通常貯金は11月9日から、三菱UFJ銀行の普通預金は11月2日から年0.5%になります。預金300万円なら、税引前の利息は年3000円増える計算です。
一方で、短期プライムレートは11月2日から2.625%に上がり、住宅ローンの変動金利も12月から見直されます。残高3000万円で金利が0.25%上がると、初回の利息は月6250円増える試算です。
ご自身の適用金利や返済への反映時期が分からないときは、借入先の金融機関の窓口に相談するのもひとつの方法です。
※試算は、記事内に記載した条件をもとにした概算です。実際の利息や返済額は、預入期間や適用金利、契約内容によって異なります。金利や返済のルールは、各金融機関の最新の案内でご確認ください。
※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
参考資料
- ゆうちょ銀行「貯金金利の引き上げのお知らせ」
- 三菱UFJ銀行「円普通預金金利の改定について」
- 三菱UFJ銀行「短期プライムレートの改定について」
- 三菱UFJ銀行「【住宅ローン】変動金利の基準金利見直しについて」
- 三菱UFJ銀行「住宅ローンの5年ルール・125%ルールについて知りたい。」
中本 智恵