離婚して子どもを育てている方にとって、別れた元夫が亡くなったという知らせは、思いがけないかたちで届くことがあります。
そのとき気になるのが、「離婚した自分は遺族年金を受け取れないとしても、子どもはどうなるのか」という点ではないでしょうか。
離婚した元妻は遺族年金の対象になりませんが、子どもは、亡くなった父に生計を維持されていたなどの要件を満たせば、遺族年金を受け取れる場合があります。ただし、母と暮らしているか、元夫が再婚していたかによって、受け取れる年金が変わります。
この記事では、離婚した元夫が亡くなったときに子どもが受け取れる遺族年金と、支給停止になるケース、2028年4月からの見直し、離れて暮らしていた子の「生計同一」の証明方法を整理します。
1. 離婚した元夫が亡くなったら、遺族年金は誰が受け取れる?
遺族年金は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族が受け取る年金です。離婚した元妻と子どもでは、扱いが大きく異なります。
離婚した元夫が亡くなったら、誰が遺族年金を受け取れる?1/3
出所:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」、日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとにLIMO編集部作成
1.1 離婚した元妻は対象にならない
遺族年金を受け取れる「配偶者」は、亡くなった時点で配偶者である人です。離婚した元妻は配偶者ではないため、元夫の遺族年金を受け取ることはできません。
1.2 子どもは受け取れる場合がある
一方、子どもは、元夫が亡くなった後も法律上の親子関係が続きます。遺族年金の対象となる「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方で、婚姻をしていない方です。
このような子が、亡くなった父に生計を維持されていた場合は、遺族基礎年金や遺族厚生年金の対象になります。生計維持の認定には、生計を同じくしていたことと、収入の要件(前年の収入が850万円未満など)を満たしている必要があります。
1.3 子が受け取れる遺族年金の額
元夫が会社員などで厚生年金に加入していた場合、子は遺族厚生年金を受け取れる可能性があります。遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
たとえば、元夫の平均標準報酬額が40万円で、厚生年金の被保険者期間を300月とみなして計算すると、遺族厚生年金は年49万3290円(月約4万1107円)になります。
遺族基礎年金を子が受け取る場合の額は、年84万7300円に2人目以降の子の加算額(2人目は24万3800円、3人目以降は各8万1300円)を加えた額で、これを子の数で割った額が1人あたりの額となります(2026年4月分から)。
2. 母と暮らす子は受け取れる?支給停止になるケース
子が遺族年金の受給権を得ても、一定の場合は「支給停止」となり、実際には支払われません。離婚家庭で特に関係するのが、次のルールです。
2.1 遺族基礎年金:生計を同じくする母がいる間は支給停止
子に支給する遺族基礎年金は、配偶者が遺族基礎年金の受給権を有するときや、生計を同じくする父又は母がいるときに支給停止されます。
そのため、元夫が亡くなった後も子が母(元妻)と暮らし、生計を同じくしている場合、子の遺族基礎年金は現在の制度では支給停止になります。
2.2 遺族厚生年金:元夫に再婚相手がいるかで変わる
子に支給する遺族厚生年金は、配偶者が遺族厚生年金の受給権を有しているとき(その配偶者の遺族厚生年金の支給が停止されている間を除く)に支給停止されます。
元夫が再婚していなかった場合は、受給権を持つ配偶者がいないため、母と暮らしていても子は遺族厚生年金を受け取れます。
一方、元夫が再婚していて、再婚相手が遺族厚生年金の受給権を持っている場合は、その間、子の遺族厚生年金は支給停止になります。