4. 【特別支給の老齢厚生年金】1964年4月1日までに生まれた女性は63歳から
1966年(昭和41年)4月1日以前に生まれた女性は、65歳より前に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れる場合があります。厚生年金に1年以上入っていたことなどが条件です。
受け取り始める年齢は生年月日で決まり、この世代の女性が受け取れるのは報酬比例部分です。
- 1962年(昭和37年)4月2日〜1964年(昭和39年)4月1日生まれ:63歳から
- 1964年(昭和39年)4月2日〜1966年(昭和41年)4月1日生まれ:64歳から
同じ1964年生まれでも、4月1日までなら63歳から、4月2日以降なら64歳からと分かれます。また、公務員として共済組合等に入っていた期間の分は男性と同じ扱いになり、1964年生まれの女性には特別支給の老齢厚生年金はありません。
4.1 1964年2〜3月生まれの女性に届く請求書
日本年金機構の年間予定表では、来年2〜3月に63歳になる女性へ、年金請求書が次の日程で送られる予定です。
- 11月6日:1964年(昭和39年)2月10日〜2月20日生まれ
- 11月13日:1964年(昭和39年)2月21日〜3月1日生まれ
- 11月27日:1964年(昭和39年)3月2日〜3月9日生まれ
- 12月4日:1964年(昭和39年)3月10日〜3月20日生まれ
- 12月11日:1964年(昭和39年)3月21日〜4月1日生まれ
同じ日には、65歳になる1962年(昭和37年)生まれの人にも年金請求書が送られます。
4.2 試算の女性なら63歳から月約6万2000円
先ほどの試算の女性が1964年(昭和39年)4月1日までの生まれなら、63歳と64歳の2年間は、報酬比例部分の月約6万2000円を受け取る計算です。65歳からは老齢基礎年金が加わり、月約13万3000円になります。
63歳を過ぎても厚生年金に入って働く場合は、給与と年金の合計によって年金の一部が止まることがあります。請求書が届いたら、印字された加入記録にもれがないかを確かめましょう。
女性が平均給与342万円で40年働くと、年金は月約13万3000円で、いまの女性の平均を月2万円ほど上回る計算になりました。自分の見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめられます。
ここからは、試算どおりにならない場面と、年金から差し引かれるものについて、元公務員の視点で見ていきます。
5. 【元公務員の視点】試算どおりにならない2つの場面
試算は、40年間同じ水準の給与で働き続けた場合の数字です。実際には、働き方や暮らし方によって受け取る額は変わります。
5.1 会社を離れた期間は報酬比例部分が増えない
出産や育児で会社を辞め、会社員の夫の扶養に入った期間は、国民年金の第3号被保険者になります。この期間は老齢基礎年金の加入期間に数えられますが、老齢厚生年金は増えません。
たとえば試算の女性が10年間会社を離れると、老齢厚生年金は30年分の月約4万6900円になります。老齢基礎年金と合わせると月約11万7500円で、いまの女性の平均に近い額です。
5.2 年金から差し引かれる保険料もある
65歳を過ぎると、介護保険料は原則として年金から差し引かれます。国民健康保険料や、75歳からの後期高齢者医療保険料も、条件によっては年金から差し引かれる仕組みです。
筆者が元公務員として国民健康保険を担当していた頃、窓口では「年金から差し引かれる額が急に上がった」という相談をよく受けてきました。保険料は前の年の所得などで決まるため、年金の額面だけでなく、差し引かれた後の手取りで家計を考えておくと安心です。
6. まとめにかえて
女性が平均給与342万円で40年働いた場合の厚生年金は、月約13万3000円という試算になりました。いま受け取っている女性の平均11万1413円を、月2万円ほど上回ります。
ただ、会社を離れた期間があれば報酬比例部分は少なくなり、年金からは保険料も差し引かれます。まずはねんきん定期便やねんきんネットで自分の加入記録と見込額を確かめ、気になる点は年金事務所や街角の年金相談センターで相談してみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金」
- 日本年金機構「主な行事・通知書発送の年間予定表(2026年4月1日〜2027年3月31日)」
太田 彩子