「NISAなんてデメリットしかない。やめとけ」。家族や同僚、SNSでこう言われて、始めるかどうか迷っている方もいるのではないでしょうか。
NISAには元本保証がなく、値下がりすれば損をすることもあります。損失が出たときの税金の扱いや、投資枠のルールなど、知らずに始めて「こんなはずでは」と感じやすい点もあります。
一方で、NISA口座数は2026年6月末で3048万口座にのぼり、元本保証がないことを知ったうえで利用している人も少なくありません。
この記事では、NISAが「やめとけ」と言われる理由を制度のしくみから整理したうえで、それでもNISAを使う人がいる理由を、金融庁などのデータをもとに確認します。
1. NISAが「デメリットしかない、やめとけ」と言われるのはなぜ?
「やめとけ」という声の背景には、投資そのもののリスクと、NISA特有のルールの両方があります。よく聞かれる5つの理由と、制度上の実際を整理しました。
【チェック表】NISAが「やめとけ」と言われる5つの理由1/3
出所:日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」、金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」をもとにLIMO編集部作成
1.1 理由1:元本保証がなく、損をすることがある
NISAは、投資で得た利益にかかる税金を非課税にする制度で、預金のように元本が保証される商品ではありません。NISA口座で買った株式や投資信託が値下がりすれば、元本を下回ることもあります。
非課税になるのは、配当金や売却益などの「利益」です。そもそも利益が出なければ、非課税のメリットは受けられません。
1.2 理由2:損をしても損益通算や繰越控除ができない
NISA口座では、上場株式や公募株式投資信託等の配当金や売買益等は非課税となる一方で、売買損失は税務上ないものとされます。
そのため、特定口座や一般口座で保有するほかの上場株式等の配当金や売買益等との損益通算はできず、損失の繰越控除(3年間)もできません。課税口座であれば損失を税金の計算に生かせる場面でも、NISA口座の損失は生かせない点が「デメリット」と言われる理由の一つです。
1.3 理由3:使い残した枠は繰り越せず、売った枠もすぐには戻らない
NISAの年間投資枠は、18歳以上の場合でつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。ある年に使い残した年間投資枠を、翌年に繰り越すことはできません。
また、一度利用した年間投資枠を、その年に再び利用することもできません。売却によって減った非課税保有額は、翌年以降に年間投資枠の範囲内で再利用できますが、「売ったらすぐに買い直せる」わけではありません。
1.4 理由4:買える商品や使える金融機関に制限がある
つみたて投資枠で買えるのは、金融庁に届け出られた対象商品に限られます。また、つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関で利用することはできず、NISA口座の金融機関を変えられるのも年単位です。
証券会社では上場株式やETFなども買えますが、銀行・郵便局などで投資できるのは公募株式投資信託です。金融機関によって選べる商品が異なることも、不便に感じられる点でしょう。
1.5 理由5:配当金の受け取り方によっては税金がかかる
NISA口座で保有する上場株式の配当金やETF・上場REITの分配金を、「株式数比例配分方式」ではなく、ゆうちょ銀行・郵便局等や指定の銀行口座で受け取る(「配当金領収証方式」等)場合、配当金等は非課税とならず、20.315%の税率で源泉徴収されます。
「NISAなのに配当金から税金が引かれていた」という経験から、「NISAは意味がない」と感じる人もいるかもしれません。
2. それでもNISAを使う人がいる理由
こうしたデメリットがあっても、NISAを使う人は増え続けています。元本保証がないことを承知のうえで利用する人がいるのはなぜでしょうか。
2.1 理由1:運用益にかかる約20%の税金がかからない
課税口座で投資をすると、売却益や配当金などの利益には、通常20.315%の税金がかかります。NISA口座であれば、年間投資枠と非課税保有限度額(生涯1800万円)の範囲内で、この税金がかかりません。
金融庁の資料には、2003年1月から2022年12月まで毎月末に主な株式指数へ1万円ずつ積立投資した場合のシミュレーションがあります。総積立額240万円に対し、20年後の資産額は全世界株式(MSCIオール)に連動する資産で690万円、日経平均株価に連動する資産で443万円でした。
この結果をもとに、運用益に20.315%の税金がかかると仮定して計算すると、全世界株式の場合は運用益450万円に対して税金は91万4175円、日経平均の場合は運用益203万円に対して41万2394円です。NISA口座で運用していれば、これらの税金はかかりません。
ただし、これは過去の実績をもとにした試算で、将来の運用成果を保証するものではありません。シミュレーションでも、税金・手数料等は考慮されていません。