2026年12月15日(火)には、10月分と11月分の年金が2か月分まとめて振り込まれます。遺族年金を受け取っている人にとっても、年内最後の振込日です。
会社員だった夫を亡くした妻が受け取る遺族厚生年金は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で決まります。そこに、子の有無や妻の年齢によって別の給付が加わります。
この記事では、夫の平均標準報酬額が30万円で加入40年だった場合を例に、2026年4月分からの額で妻の年金を試算し、65歳の前後で何が変わるかを確認します。
1. 遺族厚生年金の受給要件と、受け取れる遺族の範囲
遺族厚生年金を受け取れるかどうかは、亡くなった人がどの条件に当てはまるかと、遺族の順位で決まります。
1.1 短期要件3つと長期要件1つ
日本年金機構によると、遺族厚生年金は、亡くなった人が次のいずれかに当てはまる場合に支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間の死亡
- 被保険者期間中に初診日のある病気やけがで、初診日から5年以内の死亡
- 障害等級1級・2級の障害厚生年金を受けている人の死亡
- 老齢厚生年金の受給権者、または受給資格期間が25年以上ある人の死亡
最初の3つを短期要件、4つ目を長期要件といいます。短期要件のうち1つ目と2つ目は、保険料を納めた期間と免除期間の合計が国民年金の加入期間の3分の2以上あることなど、保険料納付要件を満たす必要があります。
1.2 受け取れるのは生計を維持されていた最も順位の高い遺族
遺族の順位は、子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母の順です。夫・父母・祖父母は亡くなったときに55歳以上であることが条件で、受け取りは原則60歳からになります。
子は18歳になった年度の3月31日までの人、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある人です。子のない30歳未満の妻は、受け取れる期間が5年に限られます。
2. 【モデルケース】加入40年・平均標準報酬額30万円の夫なら遺族厚生年金は年59万1948円
ここからは、夫が平均標準報酬額30万円で厚生年金に480月加入していた場合で計算します。加入期間はすべて平成15年4月以後とします。
2.1 報酬比例部分を計算する
平成15年4月以後の報酬比例部分は、平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数です。30万円×5.481/1000×480月で、夫の報酬比例部分は年78万9264円になります。
2.2 4分の3を掛けた年59万1948円が遺族厚生年金
遺族厚生年金はこの4分の3で、年59万1948円です。月に直すと4万9329円になります。
短期要件に当たるときは、加入期間が300月未満でも300月あるものとして計算されます。長期要件ではこの扱いはありません。
3. 65歳未満の妻の年金は、遺族基礎年金か中高齢寡婦加算が加わる
65歳になるまでの妻は、子がいるかどうかで受け取る年金の組み合わせが変わります。
3.1 子が1人いる妻は年168万3048円
子のある妻は、遺族厚生年金と国民年金の遺族基礎年金を合わせて受け取ります。2026年4月分からの遺族基礎年金は年84万7300円(昭和31年4月2日以後生まれの場合)、子の加算額は1人目・2人目が各24万3800円、3人目以降が各8万1300円です。
子が1人なら、84万7300円+24万3800円+59万1948円で年168万3048円になります。
3.2 子のいない40歳以上65歳未満の妻は年122万7448円
夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満で子のいない妻などには、中高齢寡婦加算が付きます。2026年度は年63万5500円です。長期要件のときは、夫の厚生年金の被保険者期間が20年以上あることが条件です。
59万1948円+63万5500円で、年122万7448円になります。
4. 65歳以上の妻の遺族厚生年金は、自分の老齢厚生年金との差額になる
65歳を過ぎて自分の老齢厚生年金を受け取るようになると、遺族厚生年金の額の決まり方が変わります。
4.1 自分の老齢厚生年金が優先される
平成19年4月1日以後は、まず自分の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金に相当する額は支給停止になります。老齢基礎年金は、遺族厚生年金と合わせて受け取れます。
4.2 差額だけが遺族厚生年金として支給される
65歳以上の配偶者の遺族厚生年金は、「報酬比例部分の4分の3」と「報酬比例部分の2分の1+自分の老齢厚生年金の2分の1」の高いほうです。妻の老齢厚生年金が年40万円なら、後者が39万4632円+20万円で59万4632円となり、前者の59万1948円を上回ります。
59万4632円から40万円を差し引いた年19万4632円が、遺族厚生年金として支給されます。老齢基礎年金が満額の84万7300円なら、合計は年144万1932円です。
夫が平均標準報酬額30万円・加入40年なら、遺族厚生年金は年59万1948円です。子のいない40歳以上の妻は中高齢寡婦加算と合わせて年122万7448円、65歳以上で老齢厚生年金が40万円ある妻は差額の19万4632円を受け取ります。
自分の場合の額は、年金証書や年金決定通知書、年金振込通知書で確かめられます。
ここからは、遺族年金の振込額から天引きされる保険料と、引かれないものの違いを見ていきます。