賃貸住宅に住んでいると、2年ごとなどの契約更新のたびに、更新料や火災保険料の支払いが必要になることがあります。生活保護を受けている人にとっては、毎月の保護費からまとめて出すのが難しい額です。
厚生労働省の局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」は、借家や借間の契約更新に際して契約更新料等が必要な場合、住宅扶助の特別基準額の範囲内で必要な額を認定して差し支えないとしています。
この記事では、生活保護を受けている世帯の状況と、住宅扶助の家賃の限度額、契約更新料が認められる範囲を確認します。
※生活保護法第1条は、国が生活に困っているすべての国民に、困っている程度に応じた保護を行い、最低限度の生活を保障して自立を助けることを、この制度の目的としています。病気やけが、障害、高齢、失業、介護や子育てなど、保護を受けるまでの事情は一人ひとり違います。本記事は、制度を必要とする方が安心して利用できるよう、制度の内容等をお伝えするものです。
1. 生活保護を受けている世帯は令和8年7月分で164万4102世帯、保護率は1.60%
はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、生活保護を受けている人と世帯の数を見ておきます。
1.1 生活保護を受けている人は196万9655人
厚生労働省が2026年10月7日に公表した「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人で、前年同月より2万438人(1.0%)少なくなりました。
人口100人あたりの保護率は1.60%で、前年同月の1.61%を下回っています。
1.2 世帯数は164万4102世帯、前年同月より3516世帯少ない
生活保護を受けている世帯数は164万4102世帯で、前年同月より3516世帯(0.2%)少なくなりました。
2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、家賃は住宅扶助の限度額の範囲で
契約更新料の話に入る前に、保護費の決まり方と、家賃を支える住宅扶助の仕組みを確認します。
2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される
生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。
- 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
- 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
- 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
- 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円
2.2 住宅扶助の家賃は、厚生労働大臣が別に定める限度額の範囲内
厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」は、住宅扶助の家賃・間代・地代等の基準額を、1級地と2級地で月1万3000円以内、3級地で月8000円以内と定めています。
家賃がこの額を超えるときは、都道府県や指定都市、中核市ごとに厚生労働大臣が別に定める額の範囲内の額とされています。実際の家賃は、地域と世帯人員ごとに決まるこの限度額をもとに認定されます。
3. 生活保護の契約更新料は住宅扶助の特別基準額の範囲内で認定できる
借家や借間の契約を更新するときの費用は、局長通知の住宅費の項目に定められています。
3.1 契約更新料等は特別基準額の範囲内
局長通知は、生活保護を受けている人が住んでいる借家・借間の契約更新等に際して、契約更新料等が必要な場合には、特別基準額の範囲内で必要な額を認定して差しつかえないとしています。
3.2 特別基準額は、世帯人員1人の限度額に1.3〜1.8の率を掛けた額
ここでいう特別基準額は、世帯人員別の限度額のうち、世帯人員が1人の場合の限度額に、世帯人員に応じた率を掛けて得た額です。
住宅扶助の特別基準額は、世帯人員が1人の場合の限度額に、1人なら1.3、7人以上なら1.8を掛けて決まります2/2
出所:厚生労働省「生活保護法による保護の実施要領について」を参考にLIMO編集部作成
- 1人:1.3
- 2人:1.4
- 3人:1.5
- 4人:1.6
- 5人:1.7
- 6人:1.7
- 7人以上:1.8
生活保護を受けている世帯は164万4102世帯です。住んでいる借家の契約更新で更新料等が必要なときは、世帯人員1人の限度額に1.3〜1.8の率を掛けた特別基準額の範囲内で、必要な額を認定できる扱いです。単身世帯なら、限度額の1.3倍が上限になります。
更新の通知が届いたら、支払いの期限より前に、担当のケースワーカーに相談しておきましょう。
ここからは、更新手数料・火災保険料・保証料の扱いと、保護を始めるかどうかの判定での契約更新料の扱いを見ていきます。