生活保護を受けてひとりで暮らしている人が入院すると、留守のあいだの家賃をどうするかが気がかりになります。退院したあとに戻る部屋を残しておけるかどうかは、暮らしを立て直すうえで大切な点です。

厚生労働省の局長通知「生活保護法による保護の実施要領について」は、単身の人が入院・入所している間の家賃について、6か月以内に退院できる見込みがある場合に限り、入院後6か月間を限度に認定できるとしています。

この記事では、生活保護を受けている単身世帯の状況と、入院中の家賃の扱いを確認します。

※生活保護は、最低限度の生活を保障し、自立を助けることを目的に、国が生活に困っているすべての国民へ、困っている程度に応じて必要な保護を行う制度です(生活保護法第1条)。受給の背景には、病気やけが、障害、高齢、失業、介護や子育てなど、それぞれの事情があります。本記事では、制度を必要とする方が安心して利用できるよう、制度の仕組み等を紹介します。

1. 生活保護を受けている高齢者の単身世帯は令和8年7月分で84万4423世帯

はじめに、厚生労働省の被保護者調査で、ひとり暮らしの高齢者がどのくらい生活保護を受けているかを見ておきます。

1.1 生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯

厚生労働省が2026年10月7日に公表した「被保護者調査(令和8年7月分概数)」によると、生活保護を受けている人は196万9655人、世帯数は164万4102世帯でした。

1.2 高齢者世帯のうち単身世帯は84万4423世帯、全体の51.6%

保護を停止している世帯を除いた163万5284世帯のうち、高齢者世帯は90万3116世帯で55.2%でした。

このうち単身世帯は84万4423世帯で、全体の51.6%を占めています。生活保護を受けている世帯の半数あまりが、ひとり暮らしの高齢者ということです。

2. 生活保護の保護費は最低生活費と収入の差額、家賃は住宅扶助で認定される

入院中の家賃の話に入る前に、保護費の決まり方と、家賃がどの扶助にあたるかを確認します。

2.1 収入が最低生活費に届かない分が保護費として支給される

生活保護では、世帯の収入と厚生労働大臣が定める基準で計算した最低生活費を比べ、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が保護費として支給されます。

生活扶助基準額の例(令和8年10月1日現在、児童養育加算等を含む)1/2

3人世帯・高齢者単身世帯・高齢者夫婦世帯・母子世帯の生活扶助基準額を東京都区部等と地方郡部等で比べた棒グラフ

出所:厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」を参考にLIMO編集部作成

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳):東京都区部等16万8020円、地方郡部等15万370円
  • 高齢者単身世帯(68歳):東京都区部等7万7980円、地方郡部等6万9950円
  • 高齢者夫婦世帯(68歳、65歳):東京都区部等12万5460円、地方郡部等11万1720円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳):東京都区部等20万50円、地方郡部等17万9300円

2.2 食費や光熱費は生活扶助、家賃は住宅扶助

最低生活費のうち、食費や光熱費など日常の生活費にあたるのが生活扶助です。家賃や間代は、住宅扶助として別に認定されます。

住宅扶助の家賃には、厚生労働大臣が地域と世帯人員ごとに定める限度額があり、その範囲で実際の家賃が認定されます。

3. 単身で入院したときの家賃は、退院の見込みがあれば入院後6か月まで認定できる

単身の人が入院・入所したあとの家賃の扱いは、局長通知の住宅費の項目に定められています。

3.1 6か月以内に退院できる見込みがある場合に限られる

局長通知は、単身の人が医療機関や介護老人保健施設、職業能力開発校、社会福祉施設等に入院・入所している間も、それまでどおり住宅費を支出しなければならない生活実態にある場合について定めています。

この場合、入院・入所後6か月以内に退院・退所できる見込みがあるときに限り、入院・入所後6か月間を限度として、その住宅費を認定して差し支えないとされています。

単身の人が入院・入所したとき、住宅費は原則6か月、延長すると最長9か月、家財保管料は12か月が上限です2/2

単身で入院・入所したときに認定できる期間の上限を、住宅費の原則6か月、延長した場合の9か月、家財保管料の12か月で比べた横棒グラフ

出所:厚生労働省「2026(令和8)年4月1日施行 生活保護実施要領等」を参考にLIMO編集部作成

3.2 病状が変わったときは、さらに3か月まで延長できる

入院後に病状が変わり、6か月を超えて入院することが明らかになった場合でも、その時から3か月以内に確実に退院できる見込みがあれば、さらに3か月を限度として住宅費を引き続き認定できるとされています。

生活保護を受けている高齢者の単身世帯は84万4423世帯です。単身で入院したときの家賃は、退院の見込みがあれば入院後6か月まで、病状によってはさらに3か月まで認定できる扱いです。

入院が決まったら、家賃の支払いをどうするか、早めに担当のケースワーカーに相談しておきましょう。

ここからは、入院が長くなるときの家財の保管料や処分料、家財を運ぶ費用の扱いを見ていきます。